コジイとは? わかりやすく解説

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コジイ


C. cuspidata var. sieboldii) 両者木材同じようシイノキとして扱われていることが多いでしょう前者本州関東以西)、四国九州沖縄台湾中国中南部などに分布しており、照葉樹林代表的な樹種とされています。後者本州福島県および新潟県以南四国九州沖縄済州島などに分布してます。

木材
両者木材はよく似ているので馴れない区別しにくいでしょう一般にシイノキのほうが材質的優れているといわれています。心材と辺材境界はやや明らかに見えます前者くすんだ黄褐色後者くすんだ黄白色です。コジイはより淡色で、辺心材色の差はあまりありません。年輪大き道管環状配列しているために、はっきりとしています。肌目は粗です。気乾比重はコジイで0.52、シイノキで0.61です。保存性低く、とくにコジイは低いとはいえません。切削などの加工はとくに難しくはありません。どちらかというと狂い易い木材いえます

用途
建築内装器具椎茸ほだ木などがよく知られています。


小椎

読み方:コジイ(kojii)

ツブラジイ別称
ブナ科常緑高木園芸植物

学名 Castanopsis cuspidata


ツブラジイ

(コジイ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/07 08:47 UTC 版)

ツブラジイ
開花期のツブラジイ(岐阜県金華山
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類I eurosids I
: ブナ目 Fagales
: ブナ科 Fagaceae
: シイ属 Castanopsis
: ツブラジイ C. cuspidata
学名
Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky (1912)[1]
シノニム
変種
  • タカサゴジイ C. c. var. carlesii
  • C. c. var. cuspidata

ツブラジイ(円椎、学名: Castanopsis cuspidata)は、ブナ科シイ属に属する常緑高木

名称

標準和名は「ツブラジイ」とされるが、「コジイ」という名前も相当普及しており、文献等を調査する場合にはどちらでも調べる必要がある。標準和名「ツブラジイ」は「円らなシイ」ということで、同属のスダジイと比較した時の堅果(ドングリ)の形状に因むと見られる[5]。「コジイ」は「小さな椎」でこれもスダジイの堅果と比較したときに小さいことに因むとみられる。樹高や幹回りの大きさ自体には両者に極端な差はなく、どちらも樹高30m前後に達する高木である[6]。なお本項では特に指定のない場合は「ツブラジイ」で統一する。

「シイ」と呼ばれるほかに、方言名は多くあるものの、殆どが語尾に「シイ」が付く。「マメジイ」「マルコジイ」「タイコジイ」「イボシイ」など丸みを帯びたドングリを指すと見られる名前が多い。「コジイ」系も分布地全域で使われているが、これを短縮した「コジ」「コジノキ」などは九州に見られる。同地ではスダジイを「シ」と呼ぶ名前も知られている。関西から中国四国では「シイガシ」という名前も広く使われている。由来のよくわからない「アサガラ」(九州南部)「サンカラ」(伊豆半島)などがある[7]

「シイ」は植物は渋みが少なく簡単に食べられるドングリに付けられるが多い。別属のマテバシイが代表的であるが、広島県周辺ではブナを「ノジイ」「ノジ」と呼ぶという[7]

シイ属の属名Castanopisは「クリ属Castanea)に似た」という意味。渋みが少なく食べやすいこと、および海外種にはクリのように棘のある殻斗を持つものが多いという形態的特徴を踏まえた命名と見られる。

形態

最大樹高30m、胸高直径1.5mに達する常緑広葉樹で、枝はよく分枝し広葉樹らしい丸い樹冠を持つ[6]。樹皮は灰色で滑らか、老木になっても殆ど割れない。葉は濃い緑色の卵状楕円形で葉先は鋭く尖り、裏面は灰褐色でざらざらとした触り心地になる。葉縁には先端側にだけ鋸歯が現れ、特に若い木だと著しいが老木ではわかりにくい[6]

雌雄同株で雄花と雌花を同じ株に付ける。雄花は当年生の枝の葉腋にできる。コナラ属クリ属のように垂れ下がる雄花ではなく、マテバシイ属のように枝先に斜上する。雌花穂も斜上するタイプで、雄花穂より枝先にできることが多い。雌花穂には総苞(幼いドングリの原基になる)が10個程度ついている[6]。花は動物の精液に例えられる悪臭を放つ虫媒花である。花粉は長球形で毛糸玉が絡まった模様が現れる[8]。これらの点は同じブナ科虫媒花グループのクリ属やマテバシイ属と同じである。

堅果(ドングリ)は受粉後翌年に熟すものでスダジイに比べて丸いものである。総苞は最初はドングリを完全に包んでいるが、完熟すると3つに割れる。

根系は水平根をよく出すタイプであるが、垂下根もよく伸ばす。細根では根端肥厚が見られ、菌根を形成している[9]

類似種

スダジイとはよく似る。初島(1976)は両者の形態的に分かりやすい相違点として樹形、鋸歯の形、ドングリの形状を挙げている[10]。スダジイは枝下高が低く、低い位置から大枝を分枝させるのに対し、ツブラジイは比較的通直で枝下高が高いと言われることが多い。

スダジイとは雑種を形成し中間的な形質のものが生まれ、葉や堅果の形では見分けにくいものがあるという。顕微鏡で葉の組織を観察するという方法が提案されている[11]。根系にも若干差が出ることが指摘されている。前述のようにツブラジイが水平根を発達させるタイプなのに対し、スダジイは垂下根を発達させるという[9]

生態

生態的な面では同じブナ科常緑樹ということでシイ・カシとまとめられることが多い。なお、カシ類は同じブナ科に属すもののコナラ属に入り、分類学的には比較的縁遠いグループである。

他のブナ科樹木と同じく、菌類と樹木のが共生して菌根を形成している。樹木にとっては菌根を形成することによって菌類が作り出す有機酸や抗生物質による栄養分の吸収促進や病原微生物の駆除等の利点があり、菌類にとっては樹木の光合成で合成された産物の一部を分けてもらうことができるという相利共生の関係があると考えられている。菌類の子実体は人間がキノコとして認識できる大きさに育つものが多く、中には食用にできるものもある。土壌中には菌根から菌糸を通して、同種他個体や他種植物に繋がる広大なネットワークが存在すると考えられている[12][13][14][15][16][17]。外生菌根性の樹種にスギニセアカシアが混生すると菌根に負の影響を与えるという報告がある[18][14]。土壌の腐植が増えると根は長くなるが細根が減少するという[19]

樹木の種類によって土壌に蓄積するケイ酸がの組成が異なるという[20]

スダジイとは住み分けをしていることが各地で報告されている。概ねスダジイの方がより広い分布適地を持ち、ツブラジイは局所的にスダジイより優勢になるという報告が多い[21][11]

スダジイも含めシイ類は後述のように軽く比較的強度の低い木で、台風による折損や根返りなどの攪乱を受けやすい。これに対してイスノキは台風での攪乱を比較的受けにくいといい、常緑広葉樹林群落の維持に台風が大きく影響している[22]

堅果(ドングリ)は様々な動物の餌になっている[23]。後述のように渋みが少なく人間も食べやすい。イノシシタンニン結合性タンパク質を含む唾液を分泌することで、渋いドングリを食べることに適応しているが、ツブラジイを食べる時期にはこのタンパク質を分泌せず、渋いコナラを食べる時期だけ分泌することが知られている[24]タヌキなどはコナラよりも明らかにツブラジイを好むといい、中型動物への餌資源として影響は大きい[25]

ナラ枯れ

ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病、英:Japanese oak wilt)は、本種をはじめ全国的にブナ科樹木の枯損被害をもたらしている病気である。原因は菌類(きのこ、カビ)による感染症であることが、1998年に日本人研究者らによって発表され[26]カシノナガキクイムシという昆虫によって媒介されていることが判明した[26]。ミズナラが特にこの病気に対しての強感受性であるが、ツブラジイはそれよりも低い[27]、本種も大径木の方が穿孔されやすいという[28]

分布

日本関東地方南部以西から四国九州)及び朝鮮半島南部に自生している。日本では、シイの中でも南方の地方のほうに多く分布している[29]

人間との関係

生態的にはカシ類としばしば一緒にされるが、利用はかなり異なる。

食用

ドングリの中でも渋みが少なく、食べやすい種類である。食味は、スダジイよりもツブラジイのほうが優れていると評されている[29]。食用利用は古く、遺跡からもよく出土している[29]

日本産シイ類の澱粉は組成的にはトウモロコシのものに比較的近く、糊化温度はジャガイモに近いという[30]

木材

道管の配置は環孔材で気乾比重は0.55程度[31]。コナラ属のナラ類カシ類が0.7から0.9が多いのに比べると軽い木材である。硬いナラやカシに比べると加工はやや楽であるが、耐久性は低い。

吉野ケ里遺跡から出土した木材を観察した結果、弥生時代に比べて奈良時代には樹種別にほぼ用途が決まっており、井戸枠にはツブラジイやクリが使われていた[32]

象徴

シイ類は神社などにはしばしば出現する樹種である[33]

万葉集』にも歌われている。

  • 家にあれば 笥(け)に盛る飯(いい)を 草枕 旅にしあれば の葉に盛る(有間皇子

自治体の木

著名な個体

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky ツブラジイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pasania cuspidata (Thunb.) Oerst. ツブラジイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Castanopsis thunberii (Makino) Hatus. ツブラジイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky f. angustifolia Nakai ツブラジイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
  5. ^ 邑田仁 監修 (2004) 新訂原色樹木大圖鑑. 北隆館, 東京. 国立国会図書館書誌ID:000007340594
  6. ^ a b c d 林弥栄 (1969) 有用樹木図説(林木編). 誠文堂新光社, 東京. 国立国会図書館書誌ID: 000001136796(デジタルコレクション有)
  7. ^ a b 倉田悟 (1963) 日本主要樹木名方言集. 地球出版, 東京. 国立国会図書館書誌ID: 000001050277 (デジタルコレクション有)
  8. ^ 三好教夫, 藤木利之, 木村裕子 (2011) 日本産花粉図鑑. 北海道大学出版会, 札幌. 国立国会図書館書誌ID: 000011156282
  9. ^ a b 苅住昇 (2010) 最新樹木根系図説 各論. 誠文堂新光社, 東京.国立国会図書館書誌ID: 000011066224
  10. ^ 初島住彦 (1976) 日本の樹木―日本に見られる木本類の外部形態に基づく総検索誌―. 講談社, 東京. 国立国会図書館書誌ID: 000001121521(デジタルコレクション有)
  11. ^ a b 小林悟志 (2008) 九州南部における葉の表皮組織の形態に基づくツブラジイとスダジイおよび雑種の分布. 植生学会誌 25(1). p.51-61. doi:10.15031/vegsci.25.51
  12. ^ 谷口武士 (2011) 菌根菌との相互作用が作り出す森林の種多様性(<特集>菌類・植食者との相互作用が作り出す森林の種多様性). 日本生態学会誌61(3), pp. 311 - 318. doi:10.18960/seitai.61.3_311
  13. ^ 深澤遊・九石太樹・清和研二 (2013) 境界の地下はどうなっているのか : 菌根菌群集と実生更新との関係(<特集>森林の"境目"の生態的プロセスを探る). 日本生態学会誌63(2), p239-249. doi:10.18960/seitai.63.2_239
  14. ^ a b 岡部宏秋,(1994) 外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育). 土と微生物24, pp. 15 - 24.doi:10.18946/jssm.44.0_15
  15. ^ 菊地淳一 (1999) 森林生態系における外生菌根の生態と応用 (<特集>生態系における菌根共生). 日本生態学会誌49(2), pp. 133 - 138. doi:10.18960/seitai.49.2_133
  16. ^ 宝月岱造 (2010)外生菌根菌ネットワークの構造と機能(特別講演). 土と微生物64(2), pp. 57 - 63. doi:10.18946/jssm.64.2_57
  17. ^ 東樹宏和. (2015) 土壌真菌群集と植物のネットワーク解析 : 土壌管理への展望. 土と微生物69(1), p7-9. doi:10.18946/jssm.69.1_7
  18. ^ 谷口武士・玉井重信・山中典和・二井一禎(2004)ニセアカシア林内におけるクロマツ実生の天然更新について クロマツ実生の菌根と生存率の評価. 第115回日本林学会大会セッションID: C01.doi:10.11519/jfs.115.0.C01.0
  19. ^ 喜多智靖(2011)異なる下層植生の海岸クロマツ林内でのクロマツ菌根の出現頻度. 樹木医学研究15(4), pp.155-158. doi:10.18938/treeforesthealth.15.4_155
  20. ^ 河野樹一郎, 河野耕三, 宇田津徹朗, 藤原宏志 (2006) 宮崎県南部の 照葉樹林における樹種構成と表層土壌中の樹木起源珪酸体との関係. 植生史研究 14(1), p.3-14. doi:10.34596/hisbot.14.1_3
  21. ^ 山中二男 (1955) 高知県東部の暖帯林. 日本生態学会誌 4(4), p.148-151. doi:10.18960/seitai.4.4_148
  22. ^ 井藤宏香, 伊藤哲, 中尾登志雄 (2009) 南九州の壮齢照葉樹二次林における主要構成樹種の台風被害の特徴—一斉萌芽に由来する二次林構造と地形の影響—. 日本森林学会誌 91(1), p.35-41. doi:10.4005/jjfs.91.35
  23. ^ 吉川徹朗 (2007) ブナ科堅果に対するイカル Eophona personata の採食行動. 山階鳥類学雑誌 38(2), p.143-146. doi:10.3312/jyio.38.143
  24. ^ 大森鑑能, 細井栄嗣 (2022) 西日本の照葉樹林におけるイノシシ(Sus scrofa)のタンニン結合性唾液タンパク質産生量の季節変化. 哺乳類科学 62(2), p.121-132. doi:10.11238/mammalianscience.62.121
  25. ^ 大森鑑能, 細井栄嗣 (2021) 本州西部における中大型哺乳類3種の堅果類選択性とタンニン収斂性の関係. 哺乳類科学 61(2), p.239-247. doi:10.11238/mammalianscience.61.239
  26. ^ a b 伊藤進一郎, 窪野高徳, 佐橋憲生, 山田利博 (1998) ナラ類集団枯損被害に関連する菌類. 日本林学会誌 80(3), p.170-175. doi:10.11519/jjfs1953.80.3_170
  27. ^ 村田政穂, 山田利博, 伊藤進一郎 (2020) ブナ科樹木萎凋病菌 Raffaelea quercivoraに対するブナ科9樹種の感受性. 樹木医学研究 24(2), p.87-91. doi:10.18938/treeforesthealth.24.2_87
  28. ^ 末吉智秀, 田代健二, 今岡成紹, 平山知宏, 平田令子, 伊藤哲 (2018) 宮崎県のスダジイ・ツブラジイ優占林におけるブナ科樹木萎凋病被害. 日本森林学会誌 100(6), p.224-228. doi:10.4005/jjfs.100.224
  29. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 110.
  30. ^ 杉本温美, 井ノ内直良, 宮崎真由美, 森川拡晃, 不破英次 (2004) 数種のドングリ澱粉の構造と熱的性質. Journal of Applied Glycoscience 51(1), p.45-49. doi:10.5458/jag.51.45
  31. ^ 貴島恒夫, 岡本省吾, 林昭三 (1962) 原色木材大図鑑. 保育社, 東京. 国立国会図書館書誌ID: 000001030638 (デジタルコレクション有)
  32. ^ 能城修一, 鈴木三男, 辻誠一郎 (1999) 佐賀県吉野ケ里遺跡から出土した木製品の樹種. 植生史研究 6(2), p.63-78. doi:10.34596/hisbot.6.2_63
  33. ^ 夏原由博, 藁科宗博 (1998) 大阪市内の3神社林の植生. 生活衛生 42(1), p.23-26. doi:10.11468/seikatsueisei1957.42.23

参考文献

関連項目

外部リンク



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