日本のシイ属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/25 19:08 UTC 版)
日本のシイ属には、以下の2種が分布している。両者は共通点が多く、また交雑により区別が困難な場合や、中間と思われるものもある。両種とも暖帯の平地における普通種で、琉球列島・九州から本州にかけての照葉樹林の代表的構成種で照葉樹林で多く見られる、また都市部でも神社などによく残っている。また、大きいものは25mにも達する大木となる。大木では樹冠が丸く傘状になる。葉は同じブナ科の常緑樹であるカシ類と比べ小さめで、つやのある深緑、やや卵形で先端が伸びた鋭尖頭、全縁あるいは弱い鋸歯がある、また葉の裏は金色がかって見える。果実は完全に殻斗につつまれて熟し、それが裂けて外に出る。果実はいわゆるドングリ(堅果)であるが、やや小型で色が黒く、お尻の白い部分との境の段差が、ややはっきりしない。殻を割ると中の種子は白く、生で食べるとやや甘みがある。 ツブラジイ(コジイ、C. cuspidata)- 関東以西に分布する。果実は球形に近く、スダジイに比べ小さい。 スダジイ(ナガジイ、イタジイ、C. sieboldii)- シイ属の中では最も北に進出してきた種であり、大きな木では、樹皮に縦の割れ目を生じる。福島県、新潟県の佐渡島にまで生育地がある、果実は細長い。琉球諸島のスダジイを区別して亜種オキナワジイ (C. sieboldii ssp. lutchuensis) とする場合がある。沖縄では伝統的にイタジイの名が和名として用いられてきた。両者が共存する地域では、スダジイが海岸近くに、コジイが内陸に出現することが多い。 両種の果実は冬芽が扁平で芽鱗が2列に配列し、殻斗の表面にはイボ状の突起がある、この点は海外に産するシイ属の多くの種と異なっており、特殊な形態である、かつて日本産のシイ類および近似種をシイ属Shiia、その他、海外産の多くのシイ類をクリガシ属Castanopsisとして分離させることもあった(現在はCastanopsisに統合されている)。
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