日本のシャーマン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 16:33 UTC 版)
日本、韓国、台湾、中国大陸、東南アジアなどにおいては、脱魂(ecstasy)型がないとは言えないが、圧倒的に憑依(possession)型が多い。 古来「巫女」と呼ばれる職能者が政治や軍事などの諸領域で活躍したことはよく知られている。『三国志』魏書東夷伝の倭人条、いわゆる『魏志倭人伝』に記述された邪馬台国女王の卑弥呼が用いたという「鬼道」もシャーマニズムと言われている。また『日本書紀』の、神代巻の天照大神、崇神紀の倭迹迹日百襲姫、垂仁紀の倭姫、仲哀紀の神功皇后(気長足姫)などもシャーマンの例として挙げられる。いずれも卑弥呼に比定する有力説のある人物である。 山上伊豆母は、4世紀の三輪王朝、5世紀の河内王朝、そして崇仏派の蘇我氏による大化の改新によって律令制国家となる以前の大和朝廷は、三輪氏や多氏といった巫を司る一族と政を司る大王の共同統治が行われてきたと主張している。その後も壬申の乱に至るまで、常世神など縁起不詳の神が顕現し世を騒がす事件が起きている。『日本書紀』には壬申の乱の際に、生霊神という神が顕現し大海人皇子(天武天皇)を守護すると神語したという記述がある。 現代でも、アイヌの「トゥスクル」、下北半島の恐山におけるイタコ、沖縄県周辺のユタ(ユタ(シャーマン)とノロ(祭司)とは役割が異なる)など、各地域にシャーマンに当てはまる事例がある。また都市においてもみられる。また小口偉一は、日本の宗教信仰の基底にシャマニズム的傾向があるとし、新宗教の集団の形成や基盤も同様であるとした。新宗教の教祖らの中には召命型シャーマンの系統に属すると思われるような人がいるのである。 近年、旧来とは違った型のシャーマンが多数出現している。依頼者の心身異常の原因について、動物霊の障りであるという説明を避け、意識・無意識・潜在意識といった心理学用語を使って説明する者たちで、チャネラー、スピリチュアル・カウンセラーなどと呼ばれるが、これらも新しい装いをしたシャーマンに属すると言えよう。
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