ケトン食導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 10:11 UTC 版)
「ケトジェニック・ダイエット」の記事における「ケトン食導入」の解説
ケトジェニック療法を導入するにあたっては、ジョンズ・ホプキンス病院が発表した診療指針が採用されている。患者と介護士に対して、短期間の入院に備えての話し合いが必要になる。ケトジェニック療法を続けている最中に合併症が発生するリスクに備えて、大抵の医療施設では、医師による厳重な監理下でケトン食療法を開始する。最初に診察を受ける際、患者はケトジェニック療法を実践して問題ないかどうかの検査を受ける。患者が今まで食べてきたものや、どのような食事がいかなる影響を及ぼすのかについて念入りに調べる(タンパク質と炭水化物に対するケトン産生比率に関わる脂肪の摂取量、水分の摂取量)。入院する前日の患者は、炭水化物の摂取比率が減少する可能性があり、夕食後に空腹を覚えることが多い。入院中は、カロリーが無く、カフェインも含まない飲み物は自由に飲んで構わない。夕食の際には、特製のエッグノッグ( Eggnog )が提供される。ケトーシス状態に誘導するために摂取するエッグノッグは、「脂肪分を48%以上含むホイップクリーム」( Heavy Whipping Cream )を60g、低温殺菌した生卵を25g、カロリーがゼロの甘味料、わずかな量のバニラ香料を加えて作る。砂糖は使わない。このエッグノッグの栄養素の構成比率は、「脂肪(4):タンパク質と炭水化物(1)」であり、脂肪が24g、タンパク質が4g、炭水化物が2gとなる( 24:6 = 4:1 )。このエッグノッグは、カスタードやアイスクリームの材料にもなり、冷凍保存する。翌日の夕食では、最初に出された時よりも量を増やしたエッグノッグが提供され、3日目までは一般的なケトン食が提供される。4日目の朝にケトン食を摂ってから、患者は退院する。可能であれば、患者が服用している薬は炭水化物を含まないものに変更される。入院中の患者の血糖値の測定は1日を通して複数回行なわれ、酸血症の兆候を示さないかどうか検査される。エネルギー不足と倦怠感がしばしば見られるが、それらは2週間以内に解消される。患者の家族は、栄養管理、食事療法のやり繰り、各食事の準備、病気への処置、砂糖をいかに避けるかについて、まる3日間の講義に出席する。患者の両親に要求されるケトジェニック療法の実践に必要な知識と献身の水準は、投薬治療におけるそれよりも遥かに高くなる。 ジョンズ・ホプキンス病院が公表しているケトジェニック療法は、方式は複数あれど診療における大まかな点は共通している。ケトン食療法を開始するにあたっては、必ずしも入院の必要は無く、外来通院しながらでも実行可能である。一部の医療施設では、最初の3日間では食事の摂取量は維持するが、「脂肪:タンパク質・炭水化物」の摂取比率を「2:1」から「4:1」に変更する。ケトン食の恩恵を得ている患者であれば、開始して5日以内に発作の頻度が低下(1~2日間の絶食を組み合わせた場合)し、患者の四分の三は2週間以内に、23日も経過すれば患者の90%は発作の頻度が低下する。絶食を取り入れない場合、症状の改善が見られるまで時間(2週間)がかかるが、長期に亘っての発作の減少率には影響しない。患者の両親は、ケトン食療法の効能について最終的な結論を下すまで、少なくとも3か月はこの食事療法を続けることを推奨される。
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