カンザス準州知事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:03 UTC 版)
「ジョン・ギアリー」の記事における「カンザス準州知事」の解説
ギアリーは1856年1月31日にピアース大統領からのカンザス準州知事指名を受け入れた。奴隷制を擁護する集団がギアリーに反対し、その代わりに知事代行のダニエル・ウッドソンやイリノイ州の政治家で測量長官のジョン・カルフーンを支持した。ギアリーは新しい職に対する準備で1ヶ月を過ごしてから、準州に向かった。ミシシッピ川を遡っているときに、船がミズーリ州グラスゴーに入り、偶々最近首になったばかりの前知事ウィルソン・シャノンと出合った。二人は当時起こっていた『血を流すカンザス」危機について短時間議論した。ギアリーはその前にミズーリ州知事のスターリング・プライスと会っており、プライスは自由州支持者ならばミズーリ州内を安全に通過できると約束した。 ギアリーは9月9日にカンザスのレブンワース砦に到着し、翌日準州都ルコンプトン(英語版)に行って、カンザスの最も若い知事に就任した。ギアリーは以前の政府における統治経験によって準州内に平和をもたらすことができると考えたが、暴力沙汰を止めることができなかった。最初の演説で聴衆に向かって、「私は、いかなる党派も、いかなる派閥も、北部も、南部も、東部も、西部も知ろうとは思わない。カンザスと私の郡をのぞいて何も。」と告げた。ギアリーは当時あったカンザス民兵隊を解体し、新しい州民兵隊を組織し、秩序を保つために連邦軍に大きく依存した。10月17日から準州内の20日間の巡遊を開始し、住民の意見を得るためにどこでも立ち止まって話しかけた。 ギアリーは中立的平和調停者として努力したにも拘らず、奴隷製擁護派の議会と対立した。ミズーリ州の「ボーダー・ラフィアンズ(英語版)」と呼ばれる武装大部隊がローレンスに向かい再度町を焼こうとしているのを止めさせた。さらに、ルコンプトン憲法(英語版)制定会議への代議員を選出する法案に拒否権を発動した。この法案は、憲法案がアメリカ合衆国議会に批准を求めて提出される前の住民投票を省略することになっていた。しかし、議会はその拒否権も覆した。 ギアリーはバーモント州議会が1856年から1857年に掛けての厳しい冬を遣り過ごす援けになると送ってくれた2万ドルを送り返したことで、自由州支持者達を怒らせもした。ギアリーはその返書で「ここには疑いもなく苦しみがある...過去の混乱と現在の極端に寒い気候の結果として。しかし、おそらくは他の準州あるいは合衆国のどの州でも存在するようなものは無い」と記した。 当初ギアリーはカンザスの奴隷制廃止論者達から受け取った提案を酷く忌み嫌った。しかし1856年の大統領選挙の時までにその立場を一転させ、チャールズ・L・ロビンソンやサミュエル・ポメロイと親しい友人になっていた。さらに、奴隷制擁護集団を全く信用せず、ピアース大統領に宛てた手紙で、準州内の貧困について彼らを非難していた。ギアリーはアメリカ合衆国上院に送るカンザスの代表について、民主党の推薦を拒否するところまで行った。その代わりに自由州支持者達と共同して自由州としてトピカ憲法に従いカンザスがアメリカ合衆国に加盟する計画を案出した。この案では彼自身が民主党政権の知事となっていた。アメリカ合衆国議会ではこの案に対する支持が得られなかった。 ギアリーは間もなく、その私設秘書ジョン・ギホン博士が奴隷制擁護ラフィアンズに襲われた後で、身の危険を感じるようになった。当時の大統領当選者ジェームズ・ブキャナンに辞任状を提出したが、再指名されるものと予測もしていた。ブキャナンはその代わりに3月12日に3月20日付けでギアリーを解雇した。ギアリーの準州に対する退任挨拶では、彼がその職を求めたわけではなく、「決して望ましいものではない」と述べた。さらに「最近準州をかき回している問題の大半は、その福祉のために特別の興味も無い者達によって起こされている...実際の市民の大半は保守的であり、法を尊び平和を愛する人々であり、それによって準州全体を苦しめることになるその権利全体に固執するよりも和解とその結果としての平和のために犠牲となることを選ぶ」と付け加えた。 ギアリーは銃で武装し夜の間に準州を離れて、3月21日にワシントンD.C.に戻った。その後多くの大衆集会でカンザスの危険な状況について語った。ギアリーはカンザス準州に平和をもたらすことをしなかったが、その治世で就任前よりもより平和な状態にした。ギアリーはペンシルベニアの農場に戻り、再婚した。
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