オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの軍物語(第44夜 - 第145夜)
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「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの軍物語(第44夜 - 第145夜)」の解説
バートン版「オマル・ビン・アル・ヌウマン王とふたりの息子シャルルカンとザウ・アル・マカンの物語(第45夜‐第146夜)」 東洋文庫版「オマル・ブヌ・アン・ヌウマーン王とふたりの御子シャルカーンとダウール・マカーン、そしてこの人たちに起こった驚異珍奇な物語(第45夜‐第146夜)」 ある時代のバグダードにオマル・アル・ネマーン王がいた。いくさに強く、版図を遠くひろげ、内には寛仁大度をみせて尊敬をあつめる名君である。オマル王にはひとりだけ息子がおり、王子シャールカーンは武芸に秀でた勇敢な男であった。だがその後、オマル王の側室サフィーアが懐妊し、男女の双子を産む。最初に生まれた女の子はノーズハトゥザマーン、次に生まれた男の子はダウールマカーンと名づけられた。男の子が生まれた場合、将来の王位争いを避けるため殺してしまおうと考えていたシャールカーンだが、最初に女の子が生まれた時点の報告しか聞いていなかったため、男の子の存在を知らない。 ある日、ルーム(ローマ)とコンスタンティニアの王アフリドニオスの使者が来て、カイサリア王ハルドビオスとの戦争に同盟を持ちかけてくる。ある族長がアフリドニオスに献上しようとした数々の霊験をうちに秘めた三つの宝玉を、カイサリア軍が横取りしてしまったため何度か攻め込んだのだが、歯がたたないというのだ。大宰相ダンダーンとシャールカーンが兵を率いて派遣された。 軍はある谷で大休止をとるが、ひとり地形偵察に出たシャールカーンは、キリスト教の僧院で相撲をとっている美しい白人の乙女とそれにかしづく美女奴隷たちを見る。欲情したシャールカーンは剣をとって乱入し、我のものになり一緒に来るよう要求するが、乙女は承知しない。乙女に恋してしまっていたシャールカーンは、せめて歓待を受けさせてくれと申し入れ、乙女は彼を僧院へいざなった。 次の日目覚めると、乙女はシャールカーンの正体を知っていた。彼はその日から数日間歓待を受ける。歓待を受けている途中、カイサリアの貴族マスーラの軍が押しよせてきてシャールカーンを出せと要求。乙女はハルドビオス王の娘、アブリザ女王だった。アブリザはシャールカーンをかばって別人だというが、マスーラは是が非でも引き連れていくと言って聞かない。それなれば、一人対百人の兵ではなく、順番に一対一で戦って勝ったならば連行せよ、とアブリザは命じた。シャールカーンがすべての兵を撃退すると、アブリザは、自分は折り合いの悪い老婆「災厄の母」によって回教徒に与したとされるだろう、ここから立ち去るのを手助けしてくれと言う。そしてこの戦争が罠であることを明かす。 実はサフィーアはアフリドニオス王の娘であった。ある祭りの帰途、サフィーアが乗る船が多くの美女たちとともに海賊に鹵獲され、カイサリア軍が海賊を駆逐してサフィーアたちをハルドビオス王に献上し、ハルドビオス王はそれをまたオマル王に贈ったのである。アフリドニオス王はそれを知ると、ハルドビオス王と協力してオマル王に復讐しようとしたのだ。ただし宝玉は実際に存在し、アブリザが所有している。それを知るとシャールカーンは自軍にもどり、兵をまとめて帰還させる。殿軍をつとめるシャールカーンに手強い騎兵が追いすがるが、それは後を追ってきたアブリザだった。彼らは連れだってバグダードに入る。 報告を受けたオマル王は、献上された宝玉を三人の子にわけあたえる。ここで初めてダウールマカーンの存在を知り、また、オマル王にアブリザへの欲望を見たシャールカーンは、ひどいショックを受けてしまった。 再三アブリザをくどくオマル王だが、アブリザは拒否しつづける。そこでオマルは麻酔薬をもちい、アブリザが寝ているうちに処女を奪ってしまった。アブリザは懐妊し、やがて臨月になると、忠実な奴隷女と屈強の黒人奴隷をひとりずつ伴い、故国をめざして出奔する。道中欲情した黒人奴隷はアブリザに襲いかかり、彼女が自由にならないと知るとこれを殺し、姿をくらます。最後の息で男の子を産みおとすと、そこにハルドビオス王が現れ、子を国へ連れかえった。ハルドビオス王は復讐を誓い、災厄の母の進言を聞いて、オマル王を閨房から罠にかけるため、美女をあつめてアラビア式の教育をほどこしはじめる。一方、アブリザがいなくなったことを知ったシャールカーンはいたく傷心し、父王に頼んでダマスの太守に任命してもらい、宮殿を出た。 十四歳になっていたダウールマカーンは、姉ノーズハトゥをさそって父王に内緒で巡礼に出る。しかし途中で熱病にかかり、治療のために金もつきてしまった。働きにいくといって出て行ったノーズハトゥはそのまま姿を消し、漂白したダウールマカーンは、ある風呂焚きにひろわれる。回復したダウールマカーンは風呂焚き夫婦を従者にして帰国の途につく。ダマスにつくと風呂焚きの妻が熱病で病死するが、ひきつづきバクダードに向かうことにする。 一方、ノーズハトゥはベドウィン人に誘拐され、ダマスの奴隷市場で売りに出されていた。ふっかけるベドウィン人に対し、ある商人が十万ディナールの値をつける。ノーズハトゥがあらゆる学問に通暁していることを知ると、商人は喜び、彼女をシャールカーンに献上する。シャールカーンはノーズハトゥを解放し妻とすることを宣言。学問を示せというシャールカーンに対し、ノーズハトゥは「三つの門についての言葉」を物語る。
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