エンジン数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 16:09 UTC 版)
飛行機のエンジンは、エンジンに着目した場合に、1基、2基、3基...と数え、飛行機に着目した場合には、単発(または1発)、双発(または2発)、3発、4発...と数えることが多い。 一般にジェットエンジンは、小型であればあるほど推力重量比が高くなる傾向にある。そのため小型エンジンを多数搭載したほうが、大型エンジンを少数搭載するよりも、重量や推力では有利になる。 その一方、逆に小型エンジンを多数搭載するよりも、大型エンジンを少数搭載したほうが、燃費効率の面では有利になる。また、エンジンは航空機の部品の中では最も高価かつ精緻なものであり、数を増やす事は製造、維持コストの上昇にもつながる。 実際の航空機においては、民間のビジネスジェット・旅客機・輸送機では、双発以上が通例である。これは、万が一のエンジン故障の場合を想定しているためであり、エンジン故障で即飛行不可能となる単発機は存在しない。小型のひとり乗りスポーツ機においては単発の例が存在するが、これは操縦士ひとりが機外に脱出できれば人命の安全は確保できるためである。そのような訓練を積んでいない乗客を乗せる旅客機において、単発機という選択はありえない。 双発機においても、エンジンが1基止まった場合60分以内に緊急着陸可能な空港がある航路のみを運航できるという規則が存在し、太平洋や大西洋などの広い海を横断する航路が設定できないなど、運航上の制約ができてしまう。従って長距離旅客機の場合は、全てが3発、あるいは4発のエンジンを搭載していた。しかし近年ではエンジン単体の信頼性が向上したため、ETOPSルールにより双発機でも外洋を航行できるようになっている。上記の通りエンジン数が少なければ機体価格や燃費の面で有利になるため、航空会社のコスト削減要求が厳しい近年においては、可能であればエンジン数が少ないほうが望ましい。 軍用機、特に戦闘機においては、単発か双発の場合が多い。訓練された軍人のみが搭乗する軍用機においては、性能が目的に合致していれば安全性の要求は民間の場合よりも緩いものとなるためである。爆撃機や輸送機など大型機にはエンジンを4発搭載した例も見られるが、これは機体規模に対して必要な推力を得るためである。推力が十分であれば、エンジン数を減らす事は好ましい事とされ、近年の単発機は推力において、過去の双発以上の機体の推力の合計を上回るケースもしばしば見られる。典型的な例として、F-5戦闘機の改良発展型のF-20は、双発から単発へとエンジン数を減らし、かつ推力は増大している。 さらに多くのエンジンを搭載する飛行機として、ボーイング B-47の6発や、ボーイング B-52の8発がある。これらはパイロン1つに小型エンジン2基をセットにしている。これは機体規模が大きいこととあわせて、当時の技術では必要な推力を得るためにエンジン数を増やす必要があったからである。B-52は現役の爆撃機であり、新型のエンジン4発に換装するプランが提案されている。 近年の機体としてアントノフ An-225 という6発機が存在するが、これは最大離陸重量で世界一の大型機である。
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