ウォードッグ隊の逃亡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 03:05 UTC 版)
「環太平洋戦争」の記事における「ウォードッグ隊の逃亡」の解説
灰色の男たちはこの戦争がオーシア軍優勢のまま進むことを懸念していた。クルイーク要塞の陥落によってシーニグラードへ至るルート上には市街地しかなく、このままでは戦争はオーシアの勝利に終わり、戦争の長期化が望めないからである。灰色の男たちはオーシア軍優勢の原因をウォードッグ隊にあると考えており、クルイーク要塞から帰投中のウォードッグ隊を直接攻撃し抹殺を試みた。第8492飛行隊がウラジミール山脈上空を飛行中のウォードッグ隊を引率し、電子妨害でAWACSとの連絡を絶った上で多数の戦闘機部隊によってウォードッグ隊に強襲を仕掛けた。灰色の男たちによる直接攻撃は失敗し、ウォードッグ隊は包囲を突破してサンド島空軍基地に帰還した。ウォードッグ隊パイロットは灰色の男たちの機体から流れた通信を聞いて、本戦争にベルカ人の関与があることを確信した。 一方でサンド島空軍基地でも動きがあった。サンド島空軍基地の副司令官を務めるアレン・C・ハミルトン少佐は過去に第8492飛行隊への派遣将校を務めていた人物であった。彼は好戦派の軍人である基地司令官のペロー大佐に讒言し、ウォードッグ隊のパイロットをユークトバニアのスパイであると信じさせた。 ペロー大佐はもともとウォードッグ隊に不信感を抱いていた。宣戦布告前までウォードッグ隊隊長だったバートレット大尉はベルカ戦争時にユークトバニア陸軍情報部のナスターシャ・V・オベルタス少佐と恋仲にあり、それがペロー大佐が不信感を抱く原因になっていた。また、バートレットはユークトバニア軍の捕虜になった後、自力で脱走してユークトバニア国内の反政府レジスタンスと合流しており、グルビナの捕虜収容所に彼の姿はなかった。バートレットの脱走後に収監されたオーシア軍の捕虜たちは当然ながらバートレットの姿を見ていないと報告し、ペロー大佐の不信感は強まることとなった。加えてバートレット大尉のベルカ戦争時に撃墜された際における不審行為が発覚した。B7Rでの空戦でバートレット大尉はベルカ軍機によって撃墜されたが、その際に核兵器を国内で使うことに反発して戦闘機を強奪し、混戦の最中にあるB7Rに逃亡し現地で撃墜されたベルカ軍パイロットのウォルフガング・ブフナー大佐と出会い、彼を連れて味方の前線まで帰還した。バートレット大尉はオーシア陸軍に対しブフナーを自身の編隊員であると説明した。当時のオーシア軍はベルカ軍の電磁兵器によって情報が錯綜していたこともあり、バートレットの説明を信じてブフナーを味方として扱った。以後、ブフナーはピーター・N・ビーグルという偽名で活動し、サンド島空軍基地で航空機の整備兵になっていた。こうした情報によりペロー大佐はバートレット大尉をスパイと断定し、ビーグル特務少尉および、彼と親しくバートレットの教え子でもあるウォードッグ隊のパイロットをスパイと認定した。 12月7日1時30分頃、サンド島空軍基地に帰還したウォードッグ隊パイロットはビーグルと共に第8492飛行隊およびベルカ人が戦争に関与していることを伝えるため、ペロー大佐とハミルトン少佐に向けて報告しようとしたものの話し合いは破綻した。ペロー大佐は警報を鳴らし、警備隊員に逮捕および実弾の使用許可を命じた。3時20分頃、ウォードッグ隊パイロットのブレイズ、ケイ・ナガセ、ハンス・グリム、整備兵のピーター・N・ビーグル、報道班員のアルベール・ジュネット、犬のカークは、警備が薄かったC格納庫から練習機のホークT.1Aに乗って基地から脱出した。 ハミルトン少佐はオーシア軍の各航空部隊に練習機の撃墜を命じた。ウォードッグ隊は北に逃れソロ島上空に達した。7時00分頃、第8492飛行隊はソロ島上空を飛行中のウォードッグ隊を捕捉したが、ソロ島が発する地磁気の乱れによってレーダーでウォードッグ隊を捕捉できなくなった。ウォードッグ隊は島のトンネル内を飛行したことで、一時的に第8492飛行隊を振り切った。その後、トンネルから脱出した一行を空母ケストレルから発艦したマーカス・スノー大尉が搭乗するF-14A戦闘機が捕捉し、全機を撃墜した。また、AWACSや第8492飛行隊も撃墜される様子をレーダー上で捉えた。8時20分頃、海兵隊のヘリ部隊であるシーゴブリン隊によって練習機の残骸が確認され、搭乗員の全員死亡を伝えた。公式にはウォードッグ隊のパイロットはこれをもって全員死亡したとされるが、実際にはスノー大尉のF-14Aから事前にベイルアウトするよう発光信号を受けており、全員が撃墜される前にベイルアウトし、シーゴブリン隊によって救助されケストレルまで移送されていた。 ケストレルの艦長を務めるニコラス・A・アンダーセン大佐は、通信情報艦アンドロメダが捕捉したベルカ語の暗号文から、今戦争におけるベルカ人の関与を知っていた。ケストレルはすでに数々の戦闘で艦載機とパイロットをほぼ失っており、カーウィン島で停泊を続けていた。だがウォードッグ隊一行を救助したことと、グランダー社がユークトバニアに密輸しようとサンド島空軍基地にあった戦闘機を搭載した船舶を拿捕したことによって戦闘機が運用できるようになった。以降、ケストレルを中心とした艦隊は、ユークトバニア本土侵攻軍とは別に独自の行動を見せるようになる。
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