アリアン 4とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 宇宙百科事典 > アリアン 4の意味・解説 

アリアン4

分類:ロケット


名称:アリアン4(Ariane 4)
打ち上げ国名機関:欧州/欧州宇宙機関(ESA)
開発機関・会社:欧州宇宙機関(ESA)
運用機関会社:アリアンスペース
打ち上げ場所:ギアナ宇宙センター
運用開始年:1984年1月29日

アリアン4は、1979年12月24日に初の打ち上げ成功したアリアン1から、1984年8月4日1987年11月21日打ち上げられアリアン3アリアン2へとつづいた、アリアン・シリーズの最新タイプにあたります。アリアン4はアリアン3アリアン2同様にアリアン1と同じ機体改良により能力増加させたものですが、ヨーロッパにおける今後衛星打上げもうひとつ主役となるはずのアリアン5場合には、まったく新し設計なされてます。
各段、とりわけ第1段と、その補助となるロケット・ブースター採用によって、1型場合には1.8tにすぎなかった静止軌道への移行(トランスファ)可能な積載重量も4.8tと、およそ3近くにも増大してます。
また、アリアンシリーズの打ち上げ回数も、1996年秋に90回を超えました
静止軌道への移行性能7の5型比べれば小型ではあるものの、アリアン4の役割は、いまなお高いものとなってます。

1.どんな形をし、どんな性能持っているの?
アリアンは、第1段ロケット周囲に2〜4基の固体または液体ロケット・ブースターとりつけた3段打上げ機で、推力増大ブースターとして大型固体ロケット装着したタイプは、言わば3.5段に相当します
アリアン4は、細かく分類すると、固体ブースター(P)液体ブースター(L)取り付け数により、40、42P、44P、42L、44LP、44Lの6タイプあります
そのうち本体新型打上げ回数も多い44Pを例にとると、第ゼロ段に相当する固体ロケット・ブースターそれぞれ発射時の総重量12.56t、直径1.07m、全長12.2m、推力70.36t。第1段は、総重量243.6t、直径3.8m、全長23.6m、推力293.7t。第2段は、総重量37.13t、直径2.6m、全長11.5m、推力82t。第3段は、直径2.66m、全長11.85m、推力6.4tとなってます。打ち上げ部の発射総重量343トン直径3.8m、全長46.95m、打上げ時の実効推力は516tに達します
液体方式の44Lは液体ロケット・ブースターが4基あり、それぞれ総重量43.77トン直径2.22m、全長19m、推力76.68tとなってます。
この液体ロケット・ブースター第1段第2段は、推進剤(酸化剤燃料)として、長期保存可能なテトラニトロキシドと非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を、第3段液体酸素液体水素採用してます。
44Pの場合、高度185kmの地球低軌道には7.7t、地球静止軌道への移行(トランスファ)軌道には4.52tを運ぶことができます

2.打ち上げ飛行順序はどうなっているの?
固体ロケット燃焼時間29秒間第1段その後点火から数えて281秒後に停止切り離されその後第2段125秒間燃焼、これを分離後第3段は、12.5分間噴射し、衛星目標の高度に送りとどけます。

3.どんなものを打ち上げたの?
地球観測衛星ERSはじめとして様々な科学衛星実用衛星打ち上げ使われています。

4.どのくらい成功しているの?
2002年6月までの時点113回の打上げおこなわれ3回失敗してます。

5.この他に、同じシリーズでどんな機種があるの?
アリアン1アリアン2アリアン3アリアン5あります

アリアン・ロケットのファミリー。左から1、2、3、4、5
アリアン・ロケットファミリー。左から1、23、4、5


アリアン4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 01:12 UTC 版)

アリアン 4

アリアン42P TOPEX/Poseidon衛星打上げ準備 (1992年8月10日クールーにて)
機能 使い捨て型ロケット
製造 アリアンスペース
開発国 ヨーロッパ
大きさ
全高 58.72 m (192.7 ft)
直径 3.8 m (12.5 ft)
質量 240,000 - 470,000 kg (529,110 - 1,036,175 lb)
段数 2
積載量
LEOへの
ペイロード
5,000 - 7,600 kg (11,024 - 16,756 lb)
GTOへの
ペイロード
2,000 - 4,300 kg (4,410 - 9480 lb)
打ち上げ実績
状態 退役
射場 フランス領クールー
ギアナ宇宙センターELA-2
総打ち上げ回数 116
成功 113
失敗 3
初打ち上げ 1988年6月15日
補助ロケット 段 (アリアン 42L, 44LPまたは44L) - PAL
エンジン バイキングエンジン 6基
推力 752.003 kN (169,057 lbf)
比推力 278 秒
燃焼時間 142 秒
燃料 四酸化二窒素/非対称ジメチルヒドラジン
補助ロケット 段 (アリアン 42P, 44LPまたは44P) - PAP
エンジン
推力 650 kN
燃焼時間 33秒
燃料 CTPB 1613
第1 段 - L220
エンジン バイキング 5C 4基
推力 3,034.1 kN
比推力 278 秒
燃焼時間 205 秒
燃料 四酸化二窒素/非対称ジメチルヒドラジン
第2 段 - L33
エンジン バイキング 4B 1基
推力 720.965 kN
比推力 296 秒
燃焼時間 132 秒
燃料 四酸化二窒素/非対称ジメチルヒドラジン
第3 段 - H10
エンジン 1 HM7-B
推力 62.703 kN
比推力 446秒
燃焼時間 759秒
燃料 液体酸素/液体水素

アリアン4は、欧州宇宙機関1988年から2003年まで使用していたロケットアリアンスペース社の商品でもある。

概要

アリアン3の拡大型であり、1段目に大型ブースターを追加している点が大きな相違点である。1983年より開発が開始され、初打ち上げは1988年6月15日2003年まで打ち上げに用いられ、実績は成功104回、失敗3回である。

後述のとおりブースターの使用数・状況によって6つの派生型があり、固体ロケットブースター使用の場合はPが、液体ロケットブースター使用の場合はLが末尾に付される。なお、液体ロケットブースターの方が推力が大きい。また派生型は数字の一の位がブースターの使用本数を示す。

世界の商業衛星の打上げ市場において60%のシェアを獲得した[1]

派生型

打上げ用途に応じていくつかの派生型が存在した。2または4基の固体燃料補助ロケット(PAP - Propulseurs d'Appoint à Poudre)や液体燃料補助ロケット(PAL - Propulseurs d'Appoint à Liquide)を使用した。Spelda(Structure Porteuse Externe de Lancement Double Ariane,フランス語で'アリアンによる複数打上げのための外部輸送構造物')と呼ばれる装置で1度に複数の衛星を軌道に投入することができた。

基本型であるAR 40は全高58.4 m、直径3.8 m、離陸重量245 t、ブースターなし。主エンジンは4基のバイキング2Bエンジンで、推力は667 kNだった。2段目はバイキング4Bエンジン、3段目はHM7-B型を用いる。2.1 tの静止トランスファ軌道投入か5.0 tの低軌道投入能力をもつ。

最大能力を持つAR 44Lは、4基の液体燃料補助ロケットを使用、第4段を追加して総重量470tに達する。静止トランスファ軌道への4.8 tかに7.6 tの低軌道投入能力を持つ。

なお、アリアン4による静止軌道投入重量の記録は4.946tである。

打上げ実績

1988年の打上げ以来116回の打上げで成功率は97%に達する。最後の打上げは2003年2月15日インテルサット907を静止軌道に投入した。

サブタイプ 発射回数 成功回数 失敗日付
AR 40
7
7
-
AR 42L
12
12
-
AR 42P
14
13
1994年12月1日
AR 44L
34
33
1990年2月22日
AR 44LP
26
25
1994年1月24日
AR 44P
15
15
-

退役

従来アリアン4が担当していた打上げは後継のアリアン5ソユーズSTが担当する。アリアン4よりも重い物や軽い物はソユーズとセントールを組み合わせて打ち上げる予定である[2]。 ソユーズロケットはペイロードプラットフォームは再使用し、アリアン4から流用した大型の炭素繊維製のフェアリングを使用し、ギアナ宇宙センターから打ち上げられる予定である[3]

関連項目

脚注

外部リンク


「アリアン 4」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アリアン 4」の関連用語

アリアン 4のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アリアン 4のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
JAXAJAXA
Copyright 2025 Japan Aerospace Exploration Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアリアン4 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS