アメリカによるシリアへの空爆と北朝鮮問題
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「第3次安倍内閣 (第2次改造)」の記事における「アメリカによるシリアへの空爆と北朝鮮問題」の解説
別項の日米首脳会談の後に北朝鮮はアメリカ本土が射程に入る中長距離弾道ミサイル「北極星2号」を発射。これについて3月7日に北朝鮮の労働新聞は「有事の際、在日米軍を攻撃する部隊が参加した」と報道した。このミサイル発射を受け、安倍首相はトランプ大統領と電話で会談し、「北朝鮮の脅威は新たな段階に入っていることを日米で確認した」との認識を示した。 2017年4月6日にアメリカのホワイトハウスで米中首脳会談が行われていたが、その裏でトランプ大統領はアメリカ軍にシリアへの空爆を指示し、トマホーク59発を撃ち込んでいた。空爆の理由としてトランプ大統領は後日、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したことに対しての対抗措置としている。尚、この攻撃に対し日本政府は支持を表明した。そしてこの突然の空爆は、「アメリカは北朝鮮に対して先制攻撃も辞さない」というメッセージであるとの見方もあった。 2017年4月に入り、アメリカは北朝鮮に対する軍事的な対抗措置をいくつか検討し始めた。トランプ大統領は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と述べ、北朝鮮への先制攻撃や金正恩朝鮮労働党委員長の斬首作戦などのオプションがあることを示した。これに対し北朝鮮はアメリカと戦争になった場合、在韓米軍や在日米軍なども標的になると述べるなど、互いに挑発し合うチキンレース状態になった。4月15日は故・金日成主席の生誕105周年記念日で北朝鮮が核実験やミサイル発射実験などをすることが予想され、いずれかを行なった場合、アメリカは北朝鮮を先制攻撃するという報道もあった。その日の軍事パレードではアメリカ本土にも届く新型ミサイルICBM(大陸間弾道ミサイル)などが公開されるなど、近年の北朝鮮の軍事力の発展を誇示した形となった。実際ミサイルを発射したものの数秒で空中爆発し失敗したため、アメリカによる攻撃は行われなかった。またこの頃アメリカのハリス太平洋軍司令官は原子力空母カール・ビンソンを空母打撃群を率いて朝鮮半島沖に派遣させるなど緊張の度合いは増していった。これについてトランプ大統領は「非常に強力な艦隊を送り込んでいる」とした、声明を発表した。4月後半には日本の海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と「あしがら」が、カール・ビンソン率いる打撃群と西太平洋で合流し共同訓練を行った。 安倍首相は4月13日の参議院外交防衛委員会において、北朝鮮がミサイルの弾頭に化学兵器であるサリンを付けて着弾させる能力があると述べ、北朝鮮の脅威に危機感を示した。さらに自衛隊の現行のミサイル防衛体制には限界があるとの認識も示した。また首相は「ミサイル防衛能力はいわゆる抑止力にはならない。打撃力としての抑止力はアメリカに依存している」と説明した。さらに「現実を踏まえ抑止力をしっかり持つべきだという議論が当然ある」と述べ、自民党が進める敵基地攻撃能力保有に向けた議論に期待した。また朝鮮半島危機に対して日米韓で緊密に連携していくことで一致した。 4月25日は朝鮮人民軍創設85周年に当たる日であるため、この日も核実験の懸念があった。しかし実際には大規模な火力演習にとどめた。労働新聞は「米韓両国が先制攻撃妄動を続けるなら、米韓への先制攻撃を加える」と報道した。 この問題においてアメリカはかねてより中国の対応に期待している。トランプ大統領は「中国が何もしないならアメリカが単独で行動する」という趣旨の発言をしていた。また日本政府も同様に中国の対応に期待感を示した。当の中国はあくまで平和的解決を主張しており、朝鮮半島において米朝の武力衝突は望まないとしている。 5月14日、北朝鮮は再びミサイルの発射実験を行なった。発射したミサイルは「火星12」と呼ばれるもので、飛行距離約780km、最大高度は2110kmとされる。北朝鮮は「新型ミサイルの発射に成功した」と報じた。ミサイルは日本の防空識別圏に約20km入り、津軽海峡から西に約420kmの地点に落下した。
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