その他の不可解な点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/22 08:25 UTC 版)
冒頭のジョニーとリサのセックスシーンで唐突に昼から夜になる。また、ジョニーの腰の位置が高すぎて、ジョニーが男性器をリサのヘソに当てているかのような印象を受ける。セックスシーンが不可解なものになったのは、ウィゾーが性行為をよく知らなかったからではない。ウィゾーが自分の臀部を映すことに執着したためであった。普通に撮影したのでは臀部が映らなくなるため、あのような不自然な形にならざるを得なかったのだという。 ジョニーとリサがベッドでセックスを始めようとした矢先、デニーが乱入してきて「ここで2人を見ていたい」と言ってくる。一見すると、このシーンはデニーがグループセックスに及ぼうとした変態的なシーンに見えるが、そのような意図で撮影されたシーンではない。ウィゾーによると、デニーは精神疾患を抱えているという設定があった。このシーンはその設定を反映したものであった。しかし、劇中でデニーが精神疾患を抱えていると明示されるシーンはない上に、彼を演じたフィリップ・ハルディマンにもその事実は知らされていなかった。 全体的にジョニーとリサのセックスシーンが不自然に長く、その映像演出と音楽の雰囲気は80年代のポルノビデオのようである。しかも使い回しのショットが多い。 ジョニーの留守中に勝手に友人たちが上がり込んでセックスを始める。 男性の主要登場人物がジョニーのアパートの裏通りに集まってフットボールを楽しむシーンがあるが、何とタキシードを着ながらフットボールをしている。しかも、何故フットボールをしているのかが分からないし、何故タキシードに着替えたのかも分からない。本作を見た観客はこのシーンが何を意味するのか分からず、ウィゾーに問い合わせた者が多かったのだという。ウィゾーはDVDに収録されたQ&Aでそうした疑問に回答している。ウィゾーは「ちゃんとしたヘルメットをかぶらずにフットボールをするのは危険ですけれども、楽しいですよね」と述べている。ただし、これが回答になっているかどうかは怪しいものがある。なお、セステロによると、俳優陣もスタッフたちも誰一人として、何故このシーンを撮影するのかが分からなかったのだという。「もっと重要なシーンに力を入れるべきだ」と直訴したスタッフもいたが、ウィゾーはそれを却下したのだという。 タキシードを着たフットボールの次のシーンでは、マークと話しているジョニーがタキシードを脱いでいる。また、銀行での仕事の話をしていたにも拘わらず、ジョニーは唐突にマークの性生活についての話題を振る。しかも、2人が話している場所は普通のカフェである。 マークが髭を剃ったと語るだけのシーンなのに、何故かカメラがマークに向かってゆっくりズームアップし、ドラマチックなBGMが流れる。長年、セステロはこのシーンの意味に関して「分かる人には分かる」とだけ述べていた。後に、セステロは『The Disaster Artist』において、もう少し詳細な説明をしている。ウィゾーの脚本にはジョニーがマークを「ベイビーフェイス」と呼ぶシーンがあったが、セステロは髭を生やして撮影に臨んでいたため、辻褄が合わなくなってしまった。ウィソーは脚本を修正せずに、セステロが髭を剃ることでこの難問を解決しようとしたのだという。なお、ベイビーフェイスというのはウィゾーがセステロに付けたあだ名である。このような背景もあって、ウィゾーはマークが髭を剃ったというシーンを重要なものだと看做したのだという。しかし、本作を見た者がそうした背景を読み取るのは極めて困難である。 額縁に入ったプラスチック製のスプーンの写真が複数回画面に映る。プラスチック製のスプーンの写真の意味を尋ねられたウィゾーは、「今日の社会において、プラスチック製のスプーンを見れば、我々がどの程度文明化したかが分かります。しかし、同時に、プラスチック製のスプーンは人体に有害なものです。」「一例を挙げると、現代の人々はプラスチック製のスプーンを使ってものを食べることができますし、ある種のアレルギーにならずに済みます。私はそのことをよく知っています。それは何故かというと、私は心理学を勉強したからです。」「プラスチック製のスプーンはシンボルであり、サバイバルでもあるのです。考えてください。私たちは何ができるのか、そして、どうすれば社会をより良く出来るのか。」「『The Room』におけるスプーンの問題は些細な問題の一つです。」と語っている。 ジョニーは長髪で、一般的な銀行勤めの人間の雰囲気からかけ離れている。 デニーは身寄りのない高校生くらいの少年であることが会話から察せられるが、演じている俳優は20代半ばの大人にしか見えない。 映画の後半になって、唐突にスティーヴンという人物が現れる(後述)。 端から端まで延々と写し続けられるゴールデンゲートブリッジのインサートカット。 アフレコされているセリフが驚くほど俳優の口の動きに合っていない。 屋上のシーンでは、単純にビルの屋上でロケ撮影すれば良いにもかかわらず、ウィゾーはスタジオ内に屋上のセットを作り、背景をクロマキー合成することに頑なにこだわった。結果として不自然な画面になっている。
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