【紫電改】(しでんかい)
川西N1K2-J.
大東亜戦争中、日本海軍が運用した局地戦闘機(迎撃戦闘機)。
先に開発された「紫電」の不具合の主な原因であった主翼と胴体を再設計した機体で、正式名称は「紫電二一型」である。
具体的には主翼を中翼配置から低翼配置として視界改善と主脚にまつわる不具合を改修し、胴体を延長かつ垂直尾翼を大型化して飛行安定性の向上と抗力の軽減を図った。
また生産性向上の為に部品数を66,000個から43,000個に大幅に減らした。
これらの改修により視界、運動性、速度、信頼性が向上し、海軍機中最高の性能を発揮したため、昭和20年1月に制式採用された。
しかし、量産に入ると「誉」エンジンの不調に泣かされ、稼働率は低調であった。
それでも海軍機の中では高性能な為、海軍は局地戦闘機としてではなく、零戦に変わる主力戦闘機として使う事を考え、各社に大量生産を命じたが、空襲と物資不足により400機程度の生産にとどまった。
大戦末期、本機とともに紫電、雷電を装備した「第343海軍航空隊(三四三空・通称『剣部隊』)」は有名である。
余談だが、かの有名な養毛剤「薬用紫電改」の名前の由来は、まさに本機であり、単に開発者が本機のファンであったことから命名されたと言う逸話がある。
性能諸元(21型)
機体略号 | N1K2-J |
全長 | 9.376m |
全高 | 3.96m |
全幅 | 11.99m |
翼面積 | 23.5㎡ |
自重 | 2,657kg |
全備重量 | 3,800kg |
発動機 | 誉二一型 空冷星型複列18気筒(離昇1,990馬力)×1基 |
最高速度 | 594km/h(高度5,600m) |
実用上昇限度 | 12,760m |
航続距離 (正規/過荷) | 1,715km/2,392km |
武装 | 翼内20mm機銃×4挺(携行弾数内側各200発、外側各250発:計900発) |
爆装 | 60kg爆弾×4発、250kg爆弾×2発 |
バリエーション
- 仮称一号局地戦闘機改/紫電二一型(N1K2J):
紫電改。胴体を誉に合わせて細く再設計し、主翼配置を低翼式に変更した改修型。
後期生産型では垂直尾翼面積を縮小している。
- 紫電二一甲型(N1K2Ja):
紫電改甲。二一型の爆装を60kg爆弾4発または250kg爆弾2発に強化した戦闘爆撃機型。
- 紫電二一練習戦闘機型(N1K2K):
二一型を複座練習機としたもの。
- 紫電三一型(N1K3J):
紫電改一。二一甲型の機首に13mm機銃2挺を追加した武装強化型。試作2機のみ。
- 紫電四一型(N1K3A):
紫電改二。三一型に着艦フックなどを追加した艦上戦闘機型。試作のみ。
試作機が航空母艦信濃での着艦実験に参加した。
- 紫電三二型(N1K4J):
紫電改三。三一型の発動機を低圧燃料噴射装置付きの誉二三型に変更した型。
試作2機のみ。
- 紫電四二型(N1K4A):
紫電改四。三二型に着艦フックなどを追加した艦上戦闘機型。試作のみ。
- 紫電五三型(N1K5-J):
紫電改五。発動機をハ四三-一一型(離昇2,200馬力)に変更した型。試作のみ。
他に誉四四型装備の計画があった。
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