ありまもでる/えいあーるあいえむえいもでるとは? わかりやすく解説

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ARIMAモデル

読み方:ありまもでる/えいあーるあいえむえいもでる
【英】:ARIMA (autoregressive integrated moving average) model

概要

y_{t} \,非定常過程とし,\varepsilon_{t} \,\mbox{E}(\varepsilon_{t})=0 \,,\mbox{V}(\varepsilon_{t})=\sigma^{2} \,,\mbox{E}(\varepsilon_{t}\varepsilon_{s})=0 \, (t \ne s) \,ホワイトノイズとする.L \,ラグ演算子 L^{i}y_{t}=y_{t-i} \,,L^{i}\varepsilon_{t}=\varepsilon_{t-i} \,(i=1,2,\cdots \,),\phi(L) \,, \theta(L) \,\textstyle \phi(L) \equiv 1-\sum_{i=1}^{p}\phi_{i}L^{i} \,,\textstyle \theta(L) \equiv 1+\sum_{i=1}^{p} \theta_{i}L^{i} \,とする.d \,自然数として, y_{t} \,d \,階差 (1-L)^{d}y_{t} \,定常\mbox{ARMA}(p,q) \, モデル表現できるとき, モデル \phi(L)(1-L)^{d}y_{t} =\theta(L)\varepsilon_{t} \,次数 (p,d,q) \,自己回帰和分移動平均(ARIMA)モデル呼び, \mbox{ARIMA}(p,d,q) \, モデル略記する.

詳説

 t を時点表わす添字 (整数) とし, x_{t}\, \mbox{E}(x_{t})=0\, 弱定常過程,\varepsilon_{t}\, \mbox{E}(\varepsilon_{t})=0\, ,\mbox{V}(\varepsilon_{t})=\sigma^{2}\, ,\mbox{E}(\varepsilon_{t}\varepsilon_{s})=0 (t \ne s)\, 満たすホワイトノイズ (white noise) とする.また, L\, 時間後退させる作用をもつラグ演算子 (lag operator)L^{i}x_{t}=x_{t-i}\, , L^{i}\varepsilon_{t}=\varepsilon_{t-i}\, (i=1,2,\cdots\, )とし, \phi(L)\, , \theta(L)\, \textstyle \phi(L)=1-\sum_{i=1}^{p}\phi_{i}L^{i}\, ,\textstyle \theta(L)=1+\sum_{i=1}^{q} \theta_{i}L^{i}\, 定義される多項式ラグ演算子とする.(ただし, 多項式 \phi(z)=0\, , \theta(z)=0\, には共通根はないものとする.)\phi_{i}\, (i=1,2,\cdots,p\, ), \theta_{i}\, (i=1,2,\cdots,q\, ) はパラメータ (一定) である.

 弱定常過程 x_{t}\, 確率的変動\phi(L)x_{t} =\theta(L)\varepsilon_{t}\, (すなわち,x_{t}=\phi_{1}x_{t-1}+\cdots+\phi_{p}x_{t-p}+\varepsilon_{t}+\theta_{1}\varepsilon_{t-1}+\cdots+\theta_{q}\varepsilon_{t-q}\, )で表わされるとき, このモデル次数 (p,q)\, 自己回帰移動平均モデル(autoregressive moving average model) と呼び, ARMA(p,q)\, モデル略記する.ARMA(p,q)\, モデル条件\phi(z)=0\, の根はすべて単位円 |z|=1\, 外にある」を満たせば, これを MA(\infty)\, モデル :x_{t}=\psi(L)\varepsilon_{t}\, として表現出来る.(ただし \textstyle \psi(z)=\theta(z)/\phi(z)=\sum_{i=0}^{\infty}\psi_{i}z^{i}\, ,\psi_{0}=1\, , \textstyle \sum_{i=0}^{\infty}|\psi_{i}|<\infty\, .)また逆に条件 (反転可能性条件 (invertibility condition) )「\theta(z)=0\, の根はすべて単位円 |z|=1\, 外にある」を満たせば, これを AR(\infty)\, モデル :\pi(L)x_{t}=\varepsilon_{t}\, として表現出来る.(ただし \textstyle \pi(z)=\phi(z)/\theta(z)=\sum_{i=0}^{\infty}\pi_{i}z^{i}\, , \pi_{0}=1\, , \sum_{i=0}^{\infty}|\pi_{i}|<\infty\, .)

 AR なる用語は x_{t}\, 自身過去の値に回帰することに由来しており, ARモデル理解しやすい構造持っている.一方, MAモデル過程理論的性質調べ上で重要である.また ARMA(p,q)\, モデルAR(p)\, モデルMA(q)\, モデル混合したモデルであり, これらのモデル単独使用した場合比べてより少なパラメータ定常過程種々の性質表現出来る点に特徴がある.

 次に d\, 自然数として, 次数 d\, 階差演算子 (difference operator)(1-L)^{d}\, \textstyle (1-L)^{d}=\sum_{i=0}^{d} {}_{d}C_{i}(-1)^{i}L^{i}\, (d=1,2,\cdots\, ) と定義する.非定常過程 y_{t}\, d\, 階差 x_{t}=(1-L)^{d}y_{t}\, が弱定常となるとき,y_{t}\, 階差次数 d\, 和分モデル (integrated model) に従うと言い,このモデルI(d)\, モデル略記する.中でも x_{t}=(1-L)^{d}y_{t}\, が特に ARMA(p,q)\, モデル従い,\phi(L)(1-L)^{d}y_{t} = \theta(L)\varepsilon_{t}\, と表わせるとき, このモデル次数 (p,d,q)\, 自己回帰和分移動平均モデル (autoregressive integrated moving average model) と呼び,ARIMA(p,d,q)\, モデル略記する.特に ARIMA(p,0,q)\, モデルARMA(p,q)\, モデル他ならない.また ARIMA(0,1,0)\, モデルはランダムウォークモデル (randomwalk model) となる.

 Box and Jenkins [2] が従来研究成果ふまえて, ARIMAモデルの 1) 同定 (identification), 2) 推定 (estimation), 3) 診断 (diagnostic checking), 4) 予測制御 (forecasting and control)に関する統計的分析法を体系的に提示して以来, ARIMA モデルは時系列解析不可欠なパラメトリックモデルとして重要な役割果たしている.

 特に 1) モデル同定に関しては, 多く時系列において階差次数 d\, 高々 1 (ないし 2) であることが経験的に知られている.また AR 次数 p\, , MA 次数 q\, については, 自己相関関数と偏自己相関関数特徴をもとにこれらを決定する方法 [2] 以外に, AIC (Akaike's information criterion) 最小化法用いられることも多い.また, 季節変動を含む経済時系列解析有効なモデルとして, 周期 s\, (例えば4 半期データ, 月次データに応じて s=4, 12\, 等) の季節変動取り扱う季節的ARIMA モデル(seasonal ARIMA model) があげられる [2]. 2) パラメータの推定に関して最尤法をはじめとした各種の非線形推定法提案されており, 3) モデル診断についても, 残差系列ホワイトノイズに従うか否か残差系列自己相関関数もとづき検定する方法はじめとして幾つかの統計的仮説検定法が提案されている [1], [3], [6]. 4) 予測制御に関しては, 例えば (単純) 指数平滑化法が ARIMA(0,1,1)\, モデルの予測最適な方法であることが明らかにされており,さらに ARIMA モデルの状態空間表現 (state space representation) やカルマンフィルター (Kalmanfilter)との関連性明らかにされている.また ARIMA モデルは各種需要予測経済予測有効なモデルであることが知られている.

 ARIMA モデルは様々な方向拡張されている. 例え金融時系列解析分野における分散変動考慮したARCH, GARCH, EGARCH (exponential GARCH), IGARCH (integrated GARCH) モデルや,階差次数 d\, 実数拡張した ARFIMA モデル (AR fractionally integratedMA model) はその一例である [3], [5].また, 計量経済モデルとの関連では,AR(I)MA モデル多変量化した VAR(I)MA モデル (vector AR(I)MA model),外生変数 (exogenous variables) を取り入れた AR(I)MAX モデル(AR(I)MA model with exogenous variables) 等の構築や, これらをもとにしたグレンジャー因果関係 (Granger causality) の検証なされており,さらにランダムウォークモデルとの関連階差次数 d=1\, 統計的仮説検定取り扱う単位根検定 (unit root test) や, 複数和分モデル一次結合定常モデルに従う共和分モデル (cointegrated model) の構築等がなされている [4], [5], [7].



参考文献

[1] T. W. Anderson, The Statistical Analysis of Time Series, John Wiley, 1971.

[2] G. E. P. Box and G. M. Jenkins, Time Series Analysis : Forecasting and Control, Holden-Day, 1970. (rev. ed., Holden-Day, 1976. 3rd ed. by G. E. P. Box, G. M. Jenkins and G. C. Reinsel, Prentice-Hall, 1994.)

[3] P. J. Brockwell and R. A. Davis, Time Series : Theory and Methods (2nd ed.), Springer-Verlag, 1991.

[4] W. A. Fuller, Introduction to Statistical Time Series (2nd ed.), John Wiley, 1996.

[5] J. D. Hamilton, Time Series Analysis, Princeton University Press, 1994.

[6] E. J. Hannan, Multiple Time Series, John Wiley, 1970.

[7] G. C. Reinsel, Elements of Multivariate Time Series Analysis (2nd ed.), Springer-Verlag, 1997.

「OR事典」の他の用語
予測:  ARCHモデル  ARIMAモデル  ARモデル  MAモデル  カルマンフィルター  デルファイ法  バスモデル



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