『三河後風土記』とは? わかりやすく解説

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『三河後風土記』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 23:48 UTC 版)

村正」の記事における「『三河後風土記』」の解説

『三河後風土記』は徳川氏創業史の一つで、序文では慶長15年1610年)に平岩親吉徳川譜代重臣犬山藩主)自らが著した作とするが、実際正保年間(1645-1648年)より後に正体不明人物によって書かれたもの、つまり偽書である。しかし、(版本作られなかったものの)江戸時代には権威ある書籍として広く筆写されて読まれ寛政の改革一貫で、寛政5年1793年)、講談師が辻で『三河後風土記』を読むことを禁じられるなど、幕府からも神聖視されていた。 この書の第38巻にある「忠吉井伊直政出仕村正作刀不要御当家事」で、村正徳川家家中禁じられるようになったという話が物語られる。 関ヶ原の戦い終わったその同日諸将が集まる中で、家康織田有楽斎長益)・長孝父子働きねぎらって、その武名比類ない褒め称えた有楽斎畏まって「この老人めには似合わない無鉄砲さ可笑しいでしょうが、まあ老後良い思い出にはなるだろうと思って敵陣突進したまでにございます」と答えた。ここで井伊直政本多忠勝家康申し上げて有楽斎父子西軍きっての猛将戸田勝成力戦し、特に長孝戸田の兜を左から右の方突貫したが、そのいささかも刃こぼれしなかった、高名なといえども類いまれなことに存じます、と述べた家康感じ入って、まさにその通り家宝とすべきだろう、試しにその見せてくれないか、と言って持ってこさせたが、家康取り落としてしまい、指を少し切って血が流れたので、長益父子驚いて困惑した家康は、恐ろしい刃金鋭さ、これを鍛えたのは尋常鍛冶師ではないのだろう、まさか千子村正の作ではあるまいか、と問う。有楽斎は、まさしく村正の作、銘もございます答える。家康がしばらく黙っていたので、有楽斎父子以降この所持しないことを言上した。家康微笑して「夢〃其義ニ及マシ」(「ゆめゆめその儀に及まじ」「そうする要は全くない」)と釈明し、それから「まさに今回村正の作か」と言った有楽斎父子退席してからも不思議に思ったので、井伊本多仔細尋ねると、家康祖父清康家臣阿部正豊村正の「太刀」で殺され森山崩れとなった話や、家康の父の松平広忠も、岩松八弥という右眼見えない譜代家臣豪傑の者が、酒狂して村正の「脇差」で広忠の股(=太腿)を突いたので、八弥を植村新六郎誅殺したという話などを語る。 有楽斎はこれを聞いてしからば村正の作は御三不吉刀槍なのか、家康公に味方する者は村正の作を用いるべきではない、と井伊本多眼の前木っ端微塵にへし折ってしまった。村正の作は徳川家御三不慮災難があるから、関ヶ原の合戦以降御家人は言う及ばずその陪臣に至るまで、硬く禁じて所持しなかったので、上作ではあるけれども、自然と廃れたのである。 以上の物語最後では、村正所持を「硬ク禁シテ」と誰かが禁じたような文面になっているが、家康自身は「そうする要は全くない」と答えているので、家中自発的に禁じたということになる。 他の村正伝説については、家康の父の広忠村正刺されはしたものの、死亡までには至っていない。家康長男信康切腹させられ時の検視役は大久保忠世ただ一人になっていて、村正介錯云々の話もない。 なお、自然な流れ気付きにくいが、有楽斎勝手に粉々に破壊したこの村正は、自分持ち物ではなく息子長孝のものである

※この「『三河後風土記』」の解説は、「村正」の解説の一部です。
「『三河後風土記』」を含む「村正」の記事については、「村正」の概要を参照ください。

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