『ベーオウルフ』における戦いの記述とは? わかりやすく解説

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『ベーオウルフ』における戦いの記述

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 22:43 UTC 版)

フィンネスブルグ争乱断章」の記事における「『ベーオウルフ』における戦いの記述」の解説

詳細はフィンズブルグの戦い英語版)を参照 前後関係は明らかではないが、この物語異聞叙事詩『ベーオウルフ』一節見られ、このエピソードは「フィン挿話」(Finn Episode)といわれている。フネフのように、登場人物幾人かは他のテキストにも名前が言及されている。『ベーオウルフ』では第1068行目から1158行目にかけて、およそ90行に渡る長さでこの挿話フロースガールのスコプ(英語版)が、ベーオウルフ今しがた立てた功績讃える最初祝宴の場で歌う形で登場するが、内容概ね以下の通りである。 デネの王フネフは妹ヒルデブルフフリジアの王フィンに嫁がせていた。あるときフネフフィンのもとに滞在したが、デネ側とフリジア側の間に争い起こった。この戦いでデネ側はフネフフリジア側はフィン息子を失う。互いに消耗し戦い続けることが難しくなったことで、両陣営広間と宝を平等に分つことで和議を結び、フィン今後デネ側を不当に扱わせないことを約束する。こうしてデネ側の一部帰国の途につくが、ヘンギストは復讐目論みフィンズブルグに留まった。デネ帰国したグースラーフオースラーフ手勢引き連れて戻って来るとヘンギストはフィンを含むフリジア勢を殺害して復讐果たしフィン屋敷から財宝ヒルデブルフ奪ってデネへと帰国する。 この詩でフネフ最後の戦いは、フレスワール(Fres-wæl、フリジア人虐殺といわれる戦いの結果としている。この挿話隠喩富んでおり、明らかに物語知っている聴衆対象にしている。フリジア人デネ不意打ち仕掛けた後のヒルデブルフ悲しみ描写されている。ヒルデブルフフネフの妹にあたりフリジア人首長フィン結婚していたが、これは2つ部族和平取り結ぶための努力一環であったこんにち多く学者はこれが悲劇の原因一部みなしている。彼女は兄フネフ失ったことを悲しむが、彼は火葬用のの山を彼女とフィン息子分かち合った戦いの後フィンとヘンギスト(ヘンジェスト、ヘンイェストとも)という人物休戦合意を結ぶ。ヘンギストはフネフ生き残った戦士らのリーダーである。状況はっきりしないが、少なくともその冬の間フネフ部下たちはフィンネスブルグへ留まりフリジア人たちは、主人殺害以降デネ生き残り愚弄することはなかった。結局、ヘンギストは復讐駆り立てられフィン彼の部下たちを蜜酒の館(mead hall)で虐殺し、館で略奪を行うと、ヒルデブルフを「彼女の民の元へ連れ帰った一読しただけで、『ベーオウルフ』の「フィン挿話」とフィンネスブルグ断章との間に多く違いがあるのが分かる。まず最も一般的に知られる違いは、フィンネスブルグ断章におけるヒルデブルフ不在である。「フィン挿話」において、彼女は必要不可欠登場人物で、全ての動き影響与えており、まさしくこうした理由から彼女も等しく悲劇人物だろうとされる物語冒頭から、彼女は兄フネフ自分息子失い自身血縁関係にあるデネ婚姻関係にあるフリジア人一緒に彼らの死を悼むヒルデブルフ結婚は愛によるものではなく義務であって、彼女はフィンフリジア人と強い結びつきはなかったとする研究者もいる。彼女の人物像はかなり美化されているか、あるいは過度に同情的描かれているのではないかという激し議論批評家学者によって成されている。ヒルデブルフ悲劇的美化され人物像は、原文による裏付け乏しさから研究者は「疑問の残る評価」としているが、これはアングロ・サクソン時代聴衆現代人との間に時間文化大きな違いがあることを考慮できないからでもある。「フィン挿話」の存在が「フィンネスブルク争乱断章」におけるヒルデブルフ不在より一層明確にするが、これはヘンギストにも言えることである。「フィン挿話」では、ヘンギストは物語展開する上で大変重要な役割演じる。彼はリーダーであり、各所見られる行動多く煽動する。ヘンギストは「自身本拠地殺害された」フィンフリジア人との間に「誓約」と「一時的な休戦」を取り結ぶ人物のであるヒルデブルフ同様に、「フィン挿話」におけるヘンギストの重要性は、フィンネスブルグ断章における彼に関す記述欠落より一層明らかにする。彼は断章では一度登場するだけで、その言及彼の重要な役割描写するものではない。そこに描かれる彼の振る舞いリーダーのそれではなく17行目で誰かのあとに続いて歩を進める("and Hengest sylf / hwearf him on laste")と描写されるにすぎない。ヘンギストの存在戦いにおいては重んじられるものの、「フィン挿話」に描かれているほど強い立場にはなかったのではないか議論される可能性がある。

※この「『ベーオウルフ』における戦いの記述」の解説は、「フィンネスブルグ争乱断章」の解説の一部です。
「『ベーオウルフ』における戦いの記述」を含む「フィンネスブルグ争乱断章」の記事については、「フィンネスブルグ争乱断章」の概要を参照ください。

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