「責任ある漁業」の意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/21 09:26 UTC 版)
「責任ある漁業」の記事における「「責任ある漁業」の意味」の解説
「責任ある漁業」の意味をあえて一口で言えば、環境や次世代の人類にも配慮した水産資源の持続的開発と利用を実現するための漁業である。そして、それは他から強制されることなく、漁業に関わる全ての国々や人々が自ら責任を持って実現していくことが期待されている。 「責任ある漁業」に含まれている理念をより詳細かつ正確に知るためには、「行動規範」を紐解く必要がある。「行動規範」は、協定や条約と同じく条文の形をとるが、法的拘束力は持たない自主的な規範と位置付けられており、以下の全12条からなる。 第1条:規範の性質と範囲 (Nature and Scope of the Code) 第2条:規範の目的 (Objectives of the Code) 第3条:他の国際的な枠組みとの関係 (Relationship with Other International Instruments) 第4条:実施・モニタリング・更新 (Implementation, Monitoring and Updating) 第5条:発展途上国の特別な要求事項 (Special Requirements of Developing Countries) 第6条:一般原則 (General Principles) 第7条:漁業管理 (Fisheries Management) 第8条:漁業操業 (Fishing Operations) 第9条:養殖開発 (Aquaculture Development) 第10条:沿岸域管理への漁業の統合 (Integration of Fisheries into Coastal Area Management) 第11条:漁獲後の漁獲物の処理と貿易 (Post-harvest Practices and Trade) 第12条:水産研究 (Fisheries Research) このうち、特に、中核となる第6条:一般原則は、「責任ある漁業」という理念を構成する基本的な原則を列挙しており、その意味を知る上で特に重要である。「一般原則」は以下の全19項からなる。 第1項:漁業の権利と資源保存の義務の両立 第2項:持続的開発の実現 第3項:過剰漁獲と過剰漁獲能力の抑制 第4項:最良の科学的情報及び伝統的な知見の重要性と調査研究の促進 第5項:予防的アプローチの適用 第6項:漁具の選択性の向上と混獲・廃棄魚の最少化 第7項:無駄のない、環境に配慮した漁獲物の取扱・加工・流通の実施 第8項:生息地の保護 第9項:沿岸域管理への漁業の統合 第10項:モニタリング・監視・取締の実施 第11項:旗国責任の履行 第12項:多国間アプローチの適用 第13項:決定過程の迅速性及び透明性の確保、並びに、関係者の参加促進 第14項:水産物貿易の適正化 第15項:紛争の協力的で迅速な解決 第16項:漁業者の啓蒙・研修・参加の確保 第17項:安全基準の充足 第18項:小規模伝統漁業への配慮 第19項:増養殖の重要性と環境にも配慮した開発促進 これらを満たす漁業が「責任ある漁業」と言えるが、これらはあくまで原則であり、個々の漁業の実態、その置かれている状況に応じて、漁業従事者や漁業管理者自らが「責任ある漁業」の実現を模索していく必要がある。
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