「父」のいない家族の肖像とは? わかりやすく解説

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「父」のいない家族の肖像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 00:56 UTC 版)

シュザンヌ・ヴァラドン」の記事における「「父」のいない家族の肖像」の解説

1912年ユトリロ、ユッテル、マドレーヌ、そしてヴァラドン自身描いた家族の肖像》(オルセー美術館)を制作した家族像とはいえ、4人は視線を交わすことなくそれぞれ異なった方向向いている。正面向いているのはヴァラドンで、ユトリロ頬杖をついて暗い表情である。家族理想化するのとは逆にそれぞれ異な歴史生きた個人群像であり、にもかかわらず濃厚な家族関係性」を漂わせる作品である。1910年制作の《祖母と孫息子》にも同様の雰囲気がある。若桑みどりはこの作品を「彼女(ヴァラドン)の最大傑作」であり、「完璧非の打ちどころのない構図であると評価し、「悲哀労働人生送ってきた」老婆マドレーヌと、彼女を「いたわるようにその膝に手をかけている」老いた、そして「一人孤独な、とぎすまされた魂をもつ男」ユトリロ描いた作品であり、「〈法律〉であり、〈権威〉であり、ときには道徳〉でさえある …〈父〉なるものを完全に欠いた聖家族肖像」であると絶賛している。 とはいえ、母ヴァラドンに深い愛を抱いていたユトリロは彼女が友人ユッテルの愛人になったことに嫉妬し精神的痛手受けていた。3人の共同生活互いに激しい愛を抱きながら葛藤満ちた生活であり、モンマルトルで「地獄3人組」、「呪われた3人組」として知られることになった一方でこうした葛藤激情それぞれの画家創造源泉となり、制作において最も実り多い時期となった1914年7月第一次世界大戦勃発。ユッテルは1914年9月1日ヴァラドン正式に結婚した後、9月30日志願兵として出征したヴァラドンはアンデパンタン展、サロン・ドートンヌなど大規模な展覧会次々と出展しユトリロ1910年代に入ると美術評論家のエリー・フォール(フランス語版)やオクターヴ・ミルボー、フランシス・ジュールダン(フランス語版)らに評価されるようになり、1913年にウジェーヌ・ブロ(フランス語版画廊最初個展が行われた。このような画家二人とともに暮らし、「家長役を担わされた」ユッテルは、「家族」を養うために、画商との交渉役を引き受けた1923年にはコルトー通りアトリエとは別に中東アン県オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)のサン=ベルナールフランス語版)にアトリエ構えた。この地でヴァラドンは、サン=ベルナール城(フランス語版)やサン=ベルナール教会などの風景画制作している。後期にかけての彼女の作品にはゴッホゴーギャンマティス影響色濃く、かつての前衛性は影を潜めるが、画題として静物画多く描いたのも晩年である。 1926年にユッテルと別居しジュノー通りに越すことができたのはベルネーム=ジューヌ画廊支援によって、ここにユトリロ名義住宅購入することができたからだとされる1930年代にはフランス政府ヴァラドン重要な作品多数買い上げた。これらは現在、国立近代美術館所蔵し、その一部他の国美術館展示されている。 1935年51歳のユトリロヴァラドン勧めで、彼女の旧友資産家未亡人リュシー・ヴァロール・ポーウェルと結婚した高齢になったヴァラドンユトリロより12歳年上この女性にユトリロ世話任せたい思ったのである。《リュシー・ヴァロールの肖像》を描いた1937年の翌1938年4月7日ヴァラドン脳溢血のために72歳死去しサン=トゥアン墓地(Cimetière parisien de Saint-Ouen)に埋葬された。

※この「「父」のいない家族の肖像」の解説は、「シュザンヌ・ヴァラドン」の解説の一部です。
「「父」のいない家族の肖像」を含む「シュザンヌ・ヴァラドン」の記事については、「シュザンヌ・ヴァラドン」の概要を参照ください。

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