「人間解放」とは? わかりやすく解説

「人間解放」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 19:33 UTC 版)

カール・マルクス」の記事における「「人間解放」」の解説

1844年2月に『独仏年誌1号2号合併号が出版された。マルクスとルーゲのほか、ヘスハイネエンゲルス寄稿したこのうち著名人といえる者はハイネのみだった。ハイネパリ在住時代マルクス親しく付き合っていたユダヤ人亡命詩人であり、その縁で一篇の詩を寄せてもらったのだったエンゲルスは父が共同所有するイギリス会社働いていたブルジョワ息子だった。マルクスが『ライン新聞編集長をしていた1842年11月二人初め知り合い以降エンゲルスイギリス社会状況についての論文を『ライン新聞』に寄稿するようになっていた。エンゲルス当時全くの無名人物だったが、誌面埋めるために論文寄せてもらったマルクス尊敬するフォイエルバッハにも執筆依頼していたが、断られている。 マルクス自身はこの創刊号にルーゲへの手紙3通と『ユダヤ人問題によせて』と『ヘーゲル法哲学批判序説ドイツ語版)』という2つ論文載せている。この中でマルクスは「ユダヤ人はもはや宗教的人種的存在ではなく隣人から被った扱いによって貸金業その他職業余儀なくされている純然たる経済的階級である。だから彼らは他の階級解放され初め解放される大事なこと政治的解放国家政治的権利や自由を与える)ではなく市民社会からの人間的解放だ。」、「哲学批判すべきは宗教ではなく人々宗教という阿片に頼らざるを得ない人間疎外状況作っている国家市民社会、そしてそれを是認するヘーゲル哲学である」、「今や先進国では近代市民社会)からの人間解放問題となっているが、ドイツはいまだ前近代封建主義である。ドイツ近代水準引き上げたうえ、人間解放を行うためにはどうすればいいのか。それは市民社会階級ありながら市民から疎外されているプロレタリアート階級が鍵となる。この階級市民社会の他の階級から自己解放し、さらに他の階級解放しなければ人間解放されるとがないという徹底的な非人間状態に置かれいるからだ。この階級ドイツでも出現し始めている。この階級心臓とした人間解放行え」といった趣旨のことを訴えた。こうしていよいよプロレタリアート注目するようになったマルクスだが、一方で既存共産主義にはいまだ否定的な見解示しており、この段階では人間解放共産革命想定していたわけではないようである。もっともローレンツ・フォン・シュタイン紹介した共産主義者特徴プロレタリアート担い手とする社会革命」と今やほとんど類似していた。 しかし結局独仏年誌』はハイネの詩が載っているということ以外、人々関心をひかなかった。当時パリには10万人のドイツ人がいたが、そのうち隅から隅まで読んでくれたのは一人けだった。まずいことにそれは駐フランス・プロイセン大使だった。大使直ちにこの危険分子たちのことをベルリン本国報告した。この報告受けてプロイセン政府国境待ち伏せてプロイセン送られてきた『独仏年誌』を全て没収した(したがってこれらの分は丸赤字)。さらに「マルクス、ルーゲ、ハイネ三名プロイセン入国次第逮捕する」という声明まで出された。 スイスにあった出版社赤字倒産し、『独仏年誌』は創刊号だけで廃刊せざるをえなくなったマルクスはルーゲが金の出し惜しみをしたせいで廃刊になった考え、ルーゲを批判した。そのため二人の関係急速に悪化し、ルーゲはマルクスを「恥知らずユダヤ人」、マルクスはルーゲを「山師」と侮辱しあうようになった二人これをもって絶縁した。後にマルクスもルーゲもロンドン30年暮らすことになるが、その間も完全に没交渉だった。

※この「「人間解放」」の解説は、「カール・マルクス」の解説の一部です。
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