《させていただく》の敬語
「させていただく」の敬語表現
「させていただく」は謙譲語を用いた「する」の敬語表現ではあるものの、より丁寧な形にするなら「させていただきます」となります。「させていただく」の敬語の最上級の表現
「させていただきます」は非常に丁寧な敬語表現の一種です。それでも、より敬意を込めて使うなら「クッション言葉」を用いましょう。「失礼ながら~させていただきます」「僭越ながら~させていただきます」といった言い回しには強い敬意が含まれています。相手が失礼に受け取らないよう配慮されているという点で、「させていただく」の最上級の表現だといえます。「させていただく」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「させていただきます」はビジネスシーンでも頻繁に使われている敬語です。特に、お客様や取引先など、社外の人とのやりとりでは多用されています。以下、「させていただきます」を使った、メールや手紙での例文です。「お世話になっております。昨日、ご訪問させていただきました〇〇株式会社の××です。改めて、お礼申し上げます」「ご説明をさせていただいた商品の件について、メールいたしました。詳しい資料を添付しておりますので、よろしければご参考になさってくださいませ」「では、お言葉に甘えてご同行させていただきます。お客様のビルの前にて待ち合わせでもよろしいでしょうか」「一度、プレゼンテーションをさせていただきたく存じます。現在の疑問点につきましても、その際にご回答差し上げることが可能です」
「させていただく」を上司に伝える際の敬語表現
上司とのやりとりでも、「させていただきます」は使われています。また、役職の離れた上司が相手の場合は「失礼ながら~させていただきます」のように、クッション言葉を添えても不自然にはなりません。ただし、身近な上司相手にクッション言葉を付け加えると、大げさな印象を与えます。会話やメールがまわりくどくなる恐れもあるので、関係性の深い上司には単に「させていただきます」のみでも通用します。「させていただく」の敬語での誤用表現・注意事項
「させていただきます」の注意点として、「乱用しすぎないこと」が挙げられます。「させていただきます」はさまざまな状況で使える言葉なので、うっかりしていると無闇に連発しかねません。たとえば、「昨日、面会させていただきました。その際、ご提案させていただきました」のような形です。敬語表現は過剰に繰り返してしまうと、かえって相手に失礼な印象を与えます。同じ文章の中で繰り返したり、2文続けて使ったりしないよう意識しましょう。次に、文脈を考慮せず「させていただきます」を使うのも望ましくありません。よく指摘されているのは、自主的かつ受け手には関係ない行為について、「させていただきます」を用いるケースです。「本日は社用車でご訪問させていただきました」「会議で発表させていただきました」などの発言は本来、話し手が選んだ行動のはずです。それを受け取った人に迷惑がかかったわけでもなく、謙譲語を用いてへりくだる必然性がありません。さらに、「させていただきます」さえ使っておけば敬語になるという気持ちも見えてしまいます。自主的な行為については、「させていただきます」より「いたします」のほうが適していることもあるでしょう。
覚え方としては、「相手の許可が必要(だった)」で「自分に利益がある(あった)」場合には「させていただきます」が相応しいといえます。一方、「相手の許可が不要(だった)」か、「自分に利益があるわけではない(なかった)」シチュエーションでは「いたします」を使うのが正しいでしょう。
そのほか、「させていただきます」は二重敬語になりやすい言い回しでもあります。別の謙譲語と併せて使うのは間違いなので気をつけましょう。悪い例には、「拝見させていただきます」「拝読させていただきます」などが挙げられます。これらの場合、「拝見」や「拝読」が謙譲語なので、「させていただきます」をつなげるのは間違いです。正しく言い換えるなら、「見させていただきます」や「拝見します」などの形です。
「させていただく」の敬語での言い換え表現
「させていただきます」の類語には、「執行いたします」「実行いたします」「実施いたします」「行動いたします」などが挙げられます。一般的になじみの薄い言葉では、「敢行いたします」「挙行いたします」などもほぼ同じ意味です。これらの言い回しはやや堅苦しく、日常的に使えるわけではありません。ただし、日本語には「難しい言葉を使うことで、特別な敬意を表現する」という手法があります。普段の会話に登場しない言い回しだからこそ、公の場では敬語表現になるのです。そのほか、「させてもらいます」や「します」も、意味合いは「させていただきます」と同じです。もちろん、これらの言葉は「させてもらう」や「する」に丁寧語を付け足しただけなので、「させていただきます」ほど形式的な表現ではありません。ただ、身近な同僚や上司との会話では、「させていただきます」ほど丁寧な言葉を使わなくても、「させてもらいます」や「します」で通用します。「させていただきます」の言い換えとして使い分けるようにしましょう。
《させていただく》の敬語
「させていただく」の敬語表現
「させていただく」の敬語表現は「させていただきます」であり、正しく使用することで謙虚な印象を与える表現となります。一見すると、二重敬語のように思われやすいですが、日本語として正しい使い方です。「させていただきます」は、「させてもらう」の謙譲表現で、自分をへりくだり相手を立てる言葉として用います。ただし、使用できるのは、自分がおこなうことに対し相手から許可があること、そして許しをもらった行為によって自分が恩恵を受ける事実があること、この二つの条件を満たしている時に使用するのが一般的です。たまに「させていただく」を「させて頂く」と書くケースも見られますが、「いただく」はその前の動詞を補助する補助動詞です。一方「頂く」と表記した場合は、食べるあるいは飲む、もらうといった意味となってしまうため「させて頂く」とは表記しません。「させていただく」の敬語での誤用表現・注意事項
「させていただきます」を使用するにあたり、使える条件以外でも注意点があり、誤用しやすいのが敬語の重複です。例えば、「拝借させていただきます」は使ってしまいがちな言葉ですが、「拝借」がすでに謙譲語となっているため、謙譲表現が重なってしまうことになります。同種類の敬語を使うと二重敬語になりますので、注意が必要です。また、「さ入れ言葉」になりやすい表現にも注意が必要であり、例えば「休ませていただきます」を「休まさせていただきます」というのは誤用表現となります。そして、「させていただきます」は一見丁寧に見える言葉ですが、あまり多用すると回りくどい印象を与えることもあります。「させていただく」の敬語での言い換え表現
「させていただきます」は、相手の許可があることと、それにより自分が恩恵を得ていることが使える条件です。したがって、二つの条件を満たしていない場合、例えば相手の許しを得る必要がないケースでは「いたします」と言い換えるのが一般的です。「いたす」という言葉は「する」の謙譲語ですので、自分をへりくだった表現として適切です。例を挙げると、客を案内する際に「ご案内させていただきます」と言うのではなく、「ご案内いたします」とすると正しい表現になります。また、書面やメール等では「させていただく所存です」と言い換えても問題ありません。「所存です」は「するつもりです」という意味があり、「考える」「思う」の謙譲語として機能します。さらに「させていただきたく存じます」という表現も正しい使い方です。一見、二重敬語のように感じますが「存じる」が「思う」の謙譲語となるだけで、文法的に誤りではありません。- 《させていただく》の敬語のページへのリンク