《してもらう》の敬語
「してもらう」の敬語表現
「していただく」が「してもらう」の敬語表現です。「してもらう」は「して」と「もらう」という2つの単語からできており、「していただく」は「もらう」を「いただく」という謙譲語に変化させたものです。「してもらう」の敬語の最上級の表現
「してもらう」の敬語表現「していただく」をさらに丁寧な表現にするためには、「して」という言葉を変化させる必要があります。「してもらう」は「相手の施しを受ける」「何らかの行動を人などにとらせる」といった意味の言葉です。そのため、相手の施しや行動といった言葉をさらに丁寧語表現に変えれば、最上級の敬語表現となるでしょう。例えば、「報告書を確認してもらう」なら「報告書をご確認いただく」、「書類に署名してもらう」なら「書類にご署名いただく」とすると、丁寧な言い回しになります。「してもらう」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールや手紙で「してもらう」の敬語を使う例文には次のようなものが考えられます。確認をもとめる文面では「〇〇については、4月1日までに納品していただくことは可能でしょうか」のように使います。条件の説明では「弊社サービスを利用する場合、事前に利用者情報を登録していただく必要があります」「サービス利用にあたっては、サービス開始日より1カ月以上前に入金していただく必要があります」と書くとよいでしょう。なお、「していただく」の「して」は、相手に求める行為を示す言葉に置き換えても問題ありません。例文のケースでは「納品していただく」を「納品いただく」、「登録していただく」を「登録いただく」、「入金していただく」を「入金いただく」と書くこともできます。
より敬語表現を意識した文面にしたい場合は、「していただく」の後ろに丁寧な一文を付け加えるとよいでしょう。文章を付け加える場合は「していただく」の語尾を変化させるケースが多いので注意してください。
相手方にお願いをするビジネスメールや手紙では「今回作成した資料について重大な誤りが見つかりました。不躾なお願いではありますが破棄していただきたく存じます」「お約束いただいた日時に入金の確認ができませんでした。〇月〇日までに送金していただきますよう伏してお願い申し上げます」のように使います。勧誘などの誘いをかけたいときには「弊社展示室にはさまざまなサンプルが用意してあります。ご来社の折にはぜひ確認していただきたく存じます」とします。
「してもらう」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「してもらう」という言葉を伝える場合は、「していただく」と言うよりも語尾に丁寧な一文を付け足します。また、「して」は上司に求める行動についての言葉に置き換えるとよいでしょう。企画書の承認をもらいたい場合を例にすると、「承認していただければと存じます」とします。「していただければ」という言葉には、仮定の状態を示す「れば」が入っているので、例文のように使えば、相手にうかがいを立てる気持ちが表現できます。「していただきたく存じます」「していただければ幸いです」とするのもよいでしょう。より丁寧に上司に行動を求める場合には「していただきますよう」と変化させます。例えば、連絡がほしい場合なら「ご連絡いただきますよう、お願いいたします」とします。
しかし、直接の上司のような比較的親しい関係の人に、ここまで丁寧な表現を使うと堅苦しさを感じさせるかもしれません。役職や関係性に応じて使いわけるようにしましょう。
「してもらう」の敬語での誤用表現・注意事項
「してもらう」の敬語として、「していただく」の代わりに「してくださる」を使う場合があります。「していただく」と同じような意味合いで「してくださる」は使われがちですが、2つは異なる使い方をする言葉なので注意が必要です。「してもらう」の敬語「していただく」は、「もらう」を謙譲語「いただく」にして、敬語にしています。対して「してくださる」は、「してくれる」の「くれる」を尊敬語表現「くださる」に変化させて敬語にした言葉です。このことから「していただく」と「してもらう」は元となる言葉が違うことがわかります。また、「していただく」は謙譲語なので、自分の行為をへりくだる場合に使う敬語表現です。しかし、「してくださる」は尊敬語としての敬語表現です。相手の行為を持ち上げるために使います。謙譲語と尊敬語の違いがあるので「していただく」と「してくださる」は使い分けなければなりません。
なお、「して頂く」と漢字で表記するのは、「してもらう」の敬語表現としては誤用です。「いただく」は動詞としての役割で使う場合は漢字で表記しますが、補助動詞として使う場合には平仮名で表記しなければならないからです。
「してもらう」の敬語での言い換え表現
「してもらう」の敬語表現を言い換える場合、「あずかる」と「賜る(たまわる)」が使われます。これらは「していただく」よりも、さらに敬意を示すことができる言い換え表現です。「あずかる」は「ある行為を受ける」という意味を持つ謙譲語です。例えば「ご高配にあずかる」「ご指導にあずかる」「お褒めにあずかる」と使います。なお、「あずかる」は平仮名表記が一般的です。漢字で書く場合には「与る」と書きます。「預かる」ではないので注意してください。「賜る」は「もらう」の謙譲語の1つです。「目上の人から(行為やものを)もらう」という意味を持ちます。「ご高配を賜る」「ご指導を賜る」「ご愛顧を賜る」のように使います。
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