《して欲しい》の敬語
「して欲しい」の敬語表現
「して欲しい」を最もシンプルに敬語で表現する場合は、「してください」となります。これは何らかの動作を行うことを意味する「する」という動詞に、依頼、あるいは命令をする際の丁寧語である「ください」を付与したもので、分類としては丁寧語となります。主に相手に何かをして欲しいことを伝える命令文として使われます。ただし、丁寧に依頼をしたいニュアンスで使う場合にはあまり適さず、「してくださいませんか」「してくださいますでしょうか」といった行動の是非を相手に問う疑問形の形で使うことで語調の強さを和らげることも多いです。「して欲しい」の敬語の最上級の表現
尊敬語や謙譲語を使用して「して欲しい」を表現する場合は、「なさってくださいますようお願いいたします」「していただけますでしょうか」という形になります。「なさってくださいますようお願いいたします」は、「する」の尊敬語表現の「なさる」に「ください」と丁寧な依頼を表現する「~しますようお願いいたします」を組み合わせたフレーズです。一方、「していただけますでしょうか」は「する」に「もらう」の謙譲語である「いただく」、疑問を表わす丁寧語の「~でしょうか」を組み合わせています。「なさってくださいませんか」は相手を敬う尊敬語、「していただけますでしょうか」は自分をへりくだらせる謙譲語です。日常生活の中では、「していただけますでしょうか」の方が使われることが多いです。依頼を行うのは話し手側であるため、話し手が下手に出る謙譲語の表現が相手への心証を損ねず、また命令のニュアンスを大きく和らげることができるためだと考えられます。なお、「していただけますでしょうか」「なさってくださいますようお願いいたします」の前には「対応」や「提出」などの具体的な依頼内容を表わす名詞がつくことも多いですが、その際にその名詞に「お」や「ご」をつけると、より丁寧なニュアンスを出すことが可能です。
「して欲しい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「して欲しい」の敬語表現をビジネスメールや手紙で使用する場合は、文脈や相手によって使い分けが必要となります。何らかの対応をして欲しい場合に「ご対応いただけますでしょうか」「対応していただけますでしょうか」といった形で、依頼を行う際には「していただけますでしょうか」が用いられることが多いです。表現によっては、「して」を省略する形が用いられることもあります。一方で、手順の説明の中では「してください」を用いるケースもあります。「ポップアップウィンドウが表示されますので、OKを押してください」、「3つ目の信号を左に曲がってください。その先の3軒目のビルが弊社でございます」といった形です。手順に関しては相手に行動の是非について選択を委ねることはなく、あくまでその行動が必要であることを説明しているニュアンスと言えるでしょう。故に、「してください」という指示のニュアンスの表現でも問題ありません。
「して欲しい」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「して欲しい」旨を伝える場合は、「していただけませんでしょうか」と相手に是非を委ねる表現を行うとよいでしょう。会社組織では基本的に、上意下達が原則です。そのため、部下から上司に何かをして欲しいと頼む場合は、あくまで「提案」のスタンスを取り、行動に移すかどうかの判断は上司が判断するのが好ましいでしょう。なお、「お手数ですが」「ご多用のところ恐縮ですが」といったクッション言葉を追加すると、より丁寧さをプラスさせることが可能です。もちろん、ビジネスメール同様に、手順の説明を行う場合はこの限りではありません。手順の説明を行う場合は、部下が直接指示をしているわけではなく、あくまで目的達成のために必要な行動を説明していることにすぎないからです。よって、手順を説明する場合の表現は「してください」が適切となります。
「して欲しい」の敬語での誤用表現・注意事項
「連絡して欲しい」「対応して欲しい」など、具体的な行動を指定して「して欲しい」ことを敬語表現で伝える場合、敬意の度合いを増すために頭に「ご」「お」といった接頭語を加えるケースがあります。その場合、「ご対応してください」「ご連絡してください」といった表現は文法上正しくない表現となるため注意しましょう。接頭語を加える場合は、「ご連絡ください」「ご対応ください」のように「して」を省略する形が正しい表現となります。また、「する」の尊敬語表現には「なさる」の他に「される」というものもありますが、「して欲しい」の敬語表現として「されてください」と表現するのは不自然な表現となります。「される」には尊敬語としての意味合いの他に、受け身の意味合いもあるため、「されて欲しい」の意味合いとも取られてしまう可能性があるためです。混乱を防ぐためにも、「なさってください」「していただけますでしょうか」といった表現を行うようにしましょう。
「して欲しい」の敬語での言い換え表現
「して欲しい」旨を敬語で表現するにあたっては、「なさってください」「していただけますでしょうか」等の他にも、様々な表現があります。例えば、「~してくださいますようお願い申し上げます」といった表現は、相手に何かをして欲しいと「お願い」をする謙譲語表現です。他にも、「~していただけますと幸いです」といった表現は、「行動に移すかどうかの判断は相手に任せるが、できればやってもらえると嬉しい」というニュアンスとなり、相手に何かをして欲しいことを遠回しな形で伝えることができます。- 《して欲しい》の敬語のページへのリンク