《ご苦労様です》の敬語
「ご苦労様です」の敬語表現
「ご苦労様です(ごくろうさまです)」は、相手の労をねぎらう言い回しです。一般的に、上司や目上の人から部下や目下の人に対して、ビジネスシーンで日常的に使用される言葉です。接頭辞「ご」・名詞「苦労」・接尾辞「様」・助動詞の丁寧表現「です」で構成されています。「ご苦労様です」の敬語の最上級の表現
「ご苦労様です」は、上司や目上の人に対して使用する言葉ではありません。そのため、上司や目上の人へのねぎらいを意味する最上級の表現として、「お疲れ様でございます」や「ありがとうございます」などの表現を代わりに使用します。「お疲れ様でございます」は、二重敬語のような表現ですが、名詞「お疲れ様」・助詞「で」・丁寧語「ございます」で構成されており正しい敬語です。・「山田部長、今回のプロジェクトもお疲れ様でございました。」
・「本日は朝早くから、会議にご参加いただきありがとうございました。」
「ご苦労様です」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「ご苦労様です」をビジネスメール・手紙で使用する際は注意が必要です。現在はビジネスマナーの一つとして、「ご苦労様です」が上司や目上の人から部下や目下の人に対して使用する言葉であることは定着しています。そのため、「ご苦労様です」や「ご苦労様」を頻繁に使用すると、相手へ横柄な印象を与えてしまう可能性があります。「ご苦労様です」は、社内の部下に対する最低限の使用にとどめ、社外の取引先に対しては「いつもお世話になっております」など別の表現に置き換えると安心です。社内の部下に対して使用する場合
・「今回のプロジェクトも無事終了しました。メンバーの皆様、本当にご苦労様でした。」
・「本日付で退職する木村さん、5年間にわたる○○会社での勤務、ご苦労様でした。」
社外の取引先に対して使用する場合
・「いつもお世話になっております。○○会社の鈴木です。」
「ご苦労様です」を上司に伝える際の敬語表現
前述の通り、「ご苦労様です」は上司に対して使用する言葉ではありません。そのため、上司に対しては「お疲れ様です」や「いつもお世話になっております」、「ありがとうございます」や「よろしくお願いいたします」などに置き換えて使用します。「ご苦労様です」の敬語での誤用表現・注意事項
繰り返しになりますが、「ご苦労様です」を使用できる相手は、社内の部下や目下の人に対してだけです。上司や目上の人に対して使用してはいけない言葉として、「ご苦労様です」は「了解です」と並んで有名な誤用表現なので、もしも上司や目上の人に対して「ご苦労様です」を使用してしまっても、直接咎められることはないかもしれません。しかし、基本のビジネスマナーも知らない社会人というレッテルを貼られて、信頼を失う可能性があります。社内の部下や目下の人に対して使用する場合でも、濫用しないようにご注意ください。また、「ご苦労様です」の言い換え表現である「お疲れ様です」についても注意が必要です。「お疲れ様です」は、相手の立場に関係なく使用できる、挨拶やねぎらいの言葉として、ビジネスシーンでよく使用されています。しかし、「お疲れ様です」も社外の人に対して使用するべきではありません。社外の人には前述の通り「お世話になっております」を使用します。加えて、「そもそも、目下の人が目上の人に対して、ねぎらいの言葉をかけること自体が失礼だ」と考えて、「お疲れ様です」を好まない人もいます。「お疲れ様」は「ご苦労様」と比べて新しい言葉であり、特に50代以上の方は、「お疲れ様です」という言葉に対して違和感を覚えるかもしれません。いずれにしても、相手の性格や相手との関係性、会社の雰囲気などを考慮して使用可否を判断すると安心です。
「ご苦労様です」の敬語での言い換え表現
「ご苦労様です」を日常的に使用する場合、多様な意味を含んでいることがわかります。全てを「ご苦労様です」や「お疲れ様です」で表現するのではなく、他の表現で伝わるものは置き換え、どうしても他の表現に言い換えられない場合や、言い換えた言葉がビジネスシーンではあまり使用しない場合のみ、「ご苦労様です」や「お疲れ様です」を使用することで、表現のバリュエーションが広がります。自分が帰る際に挨拶として使用する場合
・(上司から部下)「お疲れ様。先に帰るので後はよろしく。」
・(部下から上司)「お疲れ様です。お先に失礼いたします。」
・(部下から上司)「本日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」
相手が外から帰ってきた場合
・(上司から部下)「お帰りなさい。」
・(部下から上司)「お帰りなさいませ。」
相手が帰る場合
・「本日はありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」
・「本日はご足労いただきありがとうございました。」
メール冒頭の挨拶
・「お疲れ様です。」
・「おはようございます。」
・「いつもお世話になっております。」
上記例文の「おはようございます」について、午前10:30頃までは使用可能な表現です。「こんにちは」や「こんばんは」はビジネスシーンではあまり使用しません。また、メール冒頭の挨拶などは、会社によりルールや慣習が異なる可能性があるため、会社の雰囲気に合わせてください。
- 《ご苦労様です》の敬語のページへのリンク