《おっしゃる》の敬語
「おっしゃる」の敬語表現
「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語であり、「おっしゃる」そのもので敬語表現として成り立っています。例えば、「〇〇先生がおっしゃっているのは、次回の実践研修の資料についてですか?」などのように使うことができます。また、目の前にいる人が言ったことだけではなく、話題に挙がっている人物に対しても使うことができます。「先ほど受付にいらした男性は、5分後にまた来ますとおっしゃっていました。」、この場合の「おっしゃった」人物は少し前に受付に来て今はその場にはいない人物です。かしこまった場面やビジネスシーンでは、誰に聞かれていても恥ずかしくない丁寧な言葉遣いをすることが大切です。「おっしゃる」はその場にいない他人についても丁寧な表現をすることができるため、職場などのフォーマルな場面でよく使われる敬語表現です。「おっしゃる」は漢字で「仰る」と書きますが、ひらがなで表記するのが一般的です。「言う」という言葉の敬語表現はほかに、「言います」、「申し上げる」、「申す」があります。
「おっしゃる」の敬語の最上級の表現
前述の通り、「おっしゃる」は、「言う」の敬語表現です。「言う」の敬語の最上級の表現は、「おっしゃる」または「申し上げる」になります。どちらの方がより上位であるかという問いに対する答えはありません。なぜなら「おっしゃる」は尊敬語で、「申し上げる」は謙譲語だからです。尊敬語は、相手や相手のしている行為に対して高める表現を使うことで敬意を表します。一方の謙譲語は、自分や自分のしている行為に対してへりくだった表現を使うことで相手を高め、敬意を表します。つまり、「おっしゃる」と「申し上げる」は、「言う」という行為を行った人物が相手なのか自分なのかという違いであり、どちらが上でどちらが下の表現という決まりはありません。「おっしゃる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
取引先へのビジネスメールの例文をご紹介します。「株式会社〇〇
マーケティング部〇〇様
お世話になっております。
株式会社〇〇の田中です。
先日のミーティングにて〇〇様が修正したいとおっしゃっていた資料がまとまりましたので、お送りいたします。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。
引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、取引先宛の手紙の例文をご紹介します。
「〇〇様
拝啓
盛夏の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます。
早速ですが、弊社イベントの入場チケットをお送りいたします。
お電話にて申し上げた通り、3名様までご入場いただけます。
お役立ていただければ幸いでございます。
引き続き、ご支援ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
時節柄ご自愛くださいませ。
敬具
署名」
「おっしゃる」を上司に伝える際の敬語表現
「おっしゃる」はそのまま、上司など目上の人に対して使用することができる言葉です。「部長がおっしゃっているのは、朝会の進行のことですか?」などと使うことができます。自分が言ったことに対しては、「申し上げる」を使って、「昨日のミーティングで申し上げた、〇〇社への営業の件ですが…」などと使うことができます。取引先の人に対して上司の話題を出す場合には「申す」という言葉を使って、「弊社の佐藤が、ぜひ一度お目にかかってお話したいと申しておりました。」などと表現することができます。こちらの例文の中では上司の名前を佐藤としています。自分の上司であっても、取引先など外部の人との話の中で話題に出す場合には敬称を付けません。また社外の人に対して社内の人の話題を出す際は謙譲語を使うのが一般的です。部長は自分にとっては目上の人だからと、「佐藤部長が、ぜひ一度お目にかかってお話したいとおっしゃっていました。」としないように気をつけましょう。
「おっしゃる」の敬語での誤用表現・注意事項
「おっしゃる」と似ている「おっしゃられる」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。しかし「おっしゃられる」は、実は間違った敬語表現です。「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語であり、「…れる」も尊敬語であるため、二重に尊敬語が使われている二重敬語になります。「おっしゃる」を使用する場合、「おっしゃる」の語尾の変化のさせ方が少し難しいと感じるかもしれません。例えば、「あなたがおっしゃっているのは、〇〇の意味ですか?」、「先輩がおっしゃった改善案を、新しい業務フローに取り入れました。」、「質問がありましたら何時でもおっしゃってください」、「会長は、問題ないとおっしゃいました。」などと表現できます。前後の文脈に合わせて正しく「おっしゃる」が使えるように気をつけましょう。「おっしゃる」の敬語での言い換え表現
「おっしゃる」の言い換え表現として「おおせられる(仰せられる)」があります。また、「言う」を「話す」と言い換えて、「先ほどお話になっていた件は…」のように、「お話になる」という敬語表現での言い換えもできます。「おおせられる(仰せられる)」では仰々しいと感じて使いにくい場合は、「お話になる」を使ってみるのも良いでしょう。ほかには、「言う」を「伝える」と言い換えることもできます。「伝える」の敬語表現は、「お伝えする」、「お伝えいたす」、「申し伝えます」があります。「弊社の鈴木に申し伝えます。」などのように使うことができます。- 《おっしゃる》の敬語のページへのリンク