《うれしい》の敬語
「うれしい」の敬語表現
プレゼントや何らかの行為など、人から何かしてもらったことがうれしかった時、率直にその気持ちを「うれしい!」と伝える場面は日常生活に多くあるものです。その相手が、仕事の上司だったり目上の人の場合は丁寧に伝える必要があります。「うれしい」を敬語で表現すると、どのようになるでしょうか?「うれしいです」では少し幼稚な印象を受けます。文末に「です」、「ます」などを付けると丁寧語という敬語になります。ですが、形容詞はこのルールに当てはまりません。形容詞を敬語表現にする場合は、文末を「ございます」としなければなりません。例えば、名詞である「カレンダー」に「です」を付けて「こちらは来年のカレンダーです」と言うと、丁寧語の敬語表現になります。「うれしい」は形容詞ですので、「うれしい」に「です」を付けて「うれしいです」としても丁寧語とはならないのです。従って「うれしい」を敬語で表現する場合「ございます」を付けて、「うれしゅうございます」となります。ただ「うれしゅうございます」は日常であまり耳にすることがなく、時代錯誤で不自然な感じもします。他に「美しゅうございます」などの表現もありますが、「形容詞プラスございます」の敬語表現は、冗長な感じがしたり時代にそぐわないということで、現代では「形容詞」に「です」を付けた言葉も認められています。
「うれしいです」という表現は、口語では問題ないとしても書き言葉やかしこまった場所では避けたいと感じる人もいるようです。確かに、ビジネスシーンなどで「うれしいです」というのは、社会人に不似合いな子供っぽい感じがしてしまいます。そこで、「うれしく思います」のように語尾を「思います」として、丁寧な言い回しをする表現もあります。「思います」の謙譲語は「存じます」なので「うれしく存じます」とも表現できます。
「うれしい」の敬語の最上級の表現
「うれしい」には「喜ばしい」という敬語表現があります。前述の通り、「うれしゅうございます」という敬語表現もありますが、日常ではあまり使われません。「うれしい」の最上級の敬語表現は何かという答えに明確なものはありませんが、かしこまった場面でも使用しやすく高い敬意を伝えることができる敬語表現は「喜ばしい」であると言えるでしょう。例えば目上の人に対して、「お褒めの言葉をいただき喜ばしく存じます」などのように使うことができます。「うれしい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
社内の人にお土産をもらったお礼のメールを送る場合の例文をご紹介します。「営業部
〇〇様
お疲れさまです。
先日は出張のお土産「通りもん」をありがとうございました。
福岡は、私の故郷ですので懐かしく感じました。
先輩のお心遣いうれしく存じます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
署名」
続いては、取引先の人に手紙を出す場合の例文をご紹介します。手紙の場合は、メールの場合よりもかしこまった表現が適していることが多いです。
「株式会社〇〇
〇〇様
初秋の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜りありがとうございます。
先日の研修会のフィードバックレポートが出来上がりましたのでお送り申し上げます。
弊社の製品がお役立てできたとお伺いし喜ばしい限りです。
引き続き、ご支援ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
「うれしい」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「うれしい」を伝える際は、「喜ばしい」や「うれしく思います」などの敬語表現が良いでしょう。社内の会話では、あまりに硬い表現や冗長な敬語は好まれない傾向にあるため、「喜ばしい」が堅苦しいと感じる場合は、「うれしく思います」と伝えましょう。直接「うれしい」と伝える以外にも、ビジネスシーンに適した言い換え表現があります。「うれしい」と伝える際は、感謝の気持ちを伝える場合が多いです。ですので、「助かりました」や「おかげです」というフレーズも使えます。例えば、プレゼンの際に直属の上司からサポートをしてもらった際に、「〇〇部長、先ほどはプレゼンのサポートをありがとうございました。大変助かりました」や「部長のおかげです」などと表現することができます。また、部長から高い評価をもらった際に「ほめてもらってうれしいです」では、子供っぽい印象になってしまいます。評価されてうれしい時には「光栄です」というフレーズが使えますので、「部長からお褒めの言葉をいただき光栄です」などと伝えましょう。
「うれしい」の敬語での誤用表現・注意事項
「うれしい」という言葉をそのまま、ビジネスシーンやかしこまった場で社会人が使うと、相手に対して子供っぽい印象を与えてしまうかもしれません。同僚や社内の近しい人などであれば、率直に「うれしく思います」と伝えるのも良いでしょう。率直で素直なコミュニケーションは、人との距離が近くなり、親しくなるきっかけにもなります。ですが目上の人や社外の人などに対しては、別の言い換え表現を検討してみることをおすすめします。また、書面の文書であれば、硬い文章表現の方が適している場合もあります。相手や場面に応じて、適した敬語表現を使っていきましょう。「うれしい」の敬語での言い換え表現
「うれしい」気持ちを伝える言い換え表現についてみていきます。褒めてもらってうれしい時には、前述の「光栄です」以外に「恐縮です」と言うこともできます。「恐縮です」は、申し訳ないという意味もありますが、ありがたいと思った時にも使うことができます。相手の好意に対して、「自分のようなものが恐縮です」と自分に対してへりくだった表現をしている敬語表現です。目上の人からほめてもらった際に、「多大なる評価をいただき恐縮です」のように伝えることができます。少し硬い表現になりますが、「幸甚(こうじん)」という言い換え表現もあります。ビジネス文書や挨拶状、礼状など書面の文書で使われることが多い表現です。「大変ありがたい」、「とてもうれしい」などの意味で、「幸甚の至りです」などと使われます。
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