《いる》の敬語
「いる」の敬語表現
「いる」の敬語表現のうち、尊敬語は「いらっしゃる」があります。さらにより丁寧さをあらわすものとして「おいでになる」もあります。しかし、この「おいでになる」は「行く」や「来る」の尊敬語でもありますので、「いらっしゃる」の方が一般的に使用されます。「いる」の謙譲語は「おる」となります。ただし、そのまま使用されることはまずありません。丁寧語の「ます」とくっついて「おります」と使用されることが一般的です。「いる」の丁寧語は「います」となります。丁寧語は相手との関係性(年上・年下・目上・目下)や話す内容にかかわらず使用することができる言葉です。従って「います」はビジネスシーンから日常会話までの幅広いシチュエーションで使用することができます。「いる」の敬語の最上級の表現
敬語には、通常の敬語とは別に、天皇や皇族等の身分が高い人に使用される最上級敬語というものがあります。「いる」の最上級敬語は「おはします」となります。ただし古文書で「おはします」が使用されているときは、主語が省略されます。これは「おはします」は身分が高い人にしか使用されない言葉なので、主語を書く必要がないからです。このように、「いる」の敬語の最上級の表現は「おはします」となりますが、対象となる人が限られているので、一般社会ではあまり使用されません。「いる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」をビジネスメール・手紙で使用する時の例文は次のようになります。「弊社にいらっしゃる場合は、事前にご連絡いただければ、最寄りの駅までお迎えに上がります。」「弊社にいらっしゃる場合は、駐車場がございませんので、公共交通機関をご利用ください。」「当社の新製品発表会が、東京本社にて明日から3日間行われますので、ぜびご都合の良い日にいらっしゃってください。」「先日は、わざわざ弊社にいらっしゃったのに、私が対応できず申し訳ございません。」「会場に直接いらっしゃる場合は、ロビーでしばらくお待ちいただく必要がありますので、ご了承ください。」「10月1日にお伺いしたいのですが、〇〇様はいつ頃いらっしゃいますか?」「いる」の謙譲語である「おる」をビジネスメール・手紙で使用する時の例文は次のようになります。「当日、私は会場におりますので、お越しになられたらご一報ください。」「当日、私は会場にはおりません。かわりに〇〇というものが担当者としておりますので、何なりとお申し付けください。」「10月1日なら、〇〇は一日中社内におりますので、お越しください。」「午後5時を過ぎると弊社の玄関は施錠されます。裏口に守衛がおりますので、午後5時以降にご訪問される際は、裏口におまわりください。」「ご希望の時間だと、〇〇は社内におりませんので、別の者が対応することになりますが、よろしいでしょうか?」
「いる」を上司に伝える際の敬語表現
「いる」を上司に伝える場合、状況によって尊敬語と謙譲語を使い分ける必要があります。一般的に上司よりも目上または立場が上の人(来客、上得意の顧客、勤務先の社長や重役等)が「いる」ことを上司に伝える場合は、尊敬語である「いらっしゃる」や「おいでになる」を使用します。一方上司よりも目下又は立場が下の人(部下等)が「いる」ことを上司に伝える場合は、謙譲語である「おる」を使用します。ただし、いくら上司よりも目下であっても、上司の家族(上司の子供等)が「いる」ことを上司に伝える場合は、尊敬語を使用する必要があります。「いる」の敬語での誤用表現・注意事項
「いる」の敬語における誤用表現として多いのが二重敬語です。例えば、日常的に使用されることが多い「いらっしゃいますでしょうか」や「おいでになられる」が該当します。「いらっしゃいますでしょうか」は「ます」と「です」が両方とも丁寧語であるため、二重敬語となります。「おいでになられる」は「おいでになる」と「れる」が両方とも尊敬語であるため、二重敬語となります。また、尊敬語を使う場面なのに謙譲語を使用したり、謙譲語を使用する場面なのに尊敬語を使用したりすることもよくある誤用表現です。例えば、顧客が上司を訪ねてきたときに、顧客に対して「〇〇(上司の名前)は、会議室にいらっしゃいます」と伝えることです。顧客に対しては上司であっても社長であっても、へりくだった謙譲語を使用しなければなりません。ところが上記の例だと「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」を使用しているため誤用となります。
「いる」の敬語での言い換え表現
「いる」の尊敬語の「いらっしゃる」の言い換え表現として「おられる」があります。この「おられる」は「いる」の謙譲語の「おる」と混同しがちですが、「いる」が改まった形の「おる」に尊敬の助動詞「れる」が付いた形なので、敬語として正しい表現です。「いらっしゃる」と同様に「おられる」も「〇〇様はおられますか?」や「〇〇様は会議室におられます。」等と使用します。「いらっしゃる」の言い換え表現としては「おいでになりますか」という言葉もあります。例えば、「〇〇様はいらっしゃいますか?」を「〇〇様はおいでになりますか?」と言い換えることが出来ます。《いる》の敬語
「いる」の敬語表現
「いる」の尊敬語は「いらっしゃる」や「おいでになる」です。それぞれ後に「ます」をつけて「いらっしゃいます」や「おいでになってます」と使用するのが一般的で、「〇〇様はいらっしゃいますか?」や「〇〇様はすでにおいでになっています」等と使用します。一方「いる」の謙譲語は「おる」となります。謙譲語は自分自身だけへりくだるときに使うのではなく、自分の身内に対して電話がかかってきたときにも使います。これはプライベートだけでなくビジネスにおいても同様です。例文としては「(私は)今、出張先の〇〇におります。」や「〇〇(社長や上司の名前)は不在にしております」等です。「いる」の尊敬語や謙譲語は混同しやすいですが、正しく覚えて誤用しないようにしましょう。「いる」の敬語での誤用表現・注意事項
「いる」の敬語表現における誤用表現として二重敬語というものがあります。二重敬語とは一つの語に対して同じ種類の敬語を使う事です。例えば「〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」や「〇〇様がおいでになられました」です。前者においては表現の後半部分「ますでしょうか」が「ます」と「です」の二つの丁寧語が重なっており、二重敬語です。後者についてはおいでになられました」が「いる」の尊敬語の「おいでになる」と「来る」の尊敬語の「れる」が重なっており二重敬語となります。さらに、尊敬語と謙譲語を間違って使わないように注意しなければなりません。例えば、来客への対応としては、「〇〇は会議室におります」と謙譲語を使うことが正しい敬語表現ですが、「〇〇は会議室にいらっしゃいます」と間違って尊敬語を使用する場合です。「いる」の敬語での言い換え表現
「いる」の敬語表現である「いらっしゃる」や「おいでになる」には様々な言い換え表現があります。「おいでになる」の言い換え表現として「お見えになる」「お越しになる」等があります。例として「社長がお見えになりました。」や「どうぞお越しください」と使われます。一方「いらっしゃる」の言い換え表現としては、「おられる」があります。例として取引先を訪問した時に「〇〇様はおられますか?」と使います。しかしこの表現も正しい使い方ですが、一般的には「いらっしゃいますか?」が多く使用されているため、相手によっては、誤った敬語表現をしていると受け取ったり、失礼な表現をされたと怒ったりする人もいますので、ビジネス関係にある人や、目上(特に年配)の人に対して使用することは避けた方が無難でしょう。- 《いる》の敬語のページへのリンク