《いってらっしゃい》の敬語
「いってらっしゃい」の敬語表現
「いってらっしゃい」という言葉は、もともと「行って」と「いらっしゃい」が組み合わさった「行っていらっしゃい」という表現が略された感動詞のことです。この感動詞とは、その言葉だけでも意味が成立する「自立語」になります。また「いらっしゃる」という言葉自体が「来る」や「行く」や「居る」という意味の敬語表現なので、この「いってらっしゃい」だけでも正しい敬語表現です。そして「いってらっしゃい」を漢字にすると「行ってらっしゃい」となり、この言葉の意味合いは「気をつけて行って、そして無事に帰ってきてください」となります。そして、この「いってらっしゃい」という言葉は、これから外出する人に対して見送る側の人が使う、日常的な挨拶用語です。「いってらっしゃい」の敬語の最上級の表現
「いってらっしゃい」という言葉そのものが敬語表現ですが、この言葉を受け取る相手によっては、少しカジュアルな印象を持たれることがあります。こちらからしっかりと敬意を払いたい相手には、語頭に「お気をつけて」を付け、そして語尾にも「ませ」を付けて「お気をつけていってらっしゃいませ」というようにして使うといいです。これが「いってらっしゃい」と言う言葉の最上級の敬語表現になります。この「お気をつけていってらっしゃいませ」という表現は、自分よりもかなり目上の人や、立場が上の人に対して使うことが多いです。また、ホテルや旅館などの接客業でも、宿泊客に対してよく使われています。自分と親しい間柄の人や、立場が近しい人には、こういった堅苦しい表現は使いません。「いってらっしゃい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
メールや手紙でも「いってらっしゃい」という表現はよく使われます。たとえば、会社の同僚とか後輩に対してなら「1週間にわたる長い出張、いってらっしゃい」という感じで、ややフランクな表現でも問題ありません。また会社の先輩とか上司など、目上の人に対してなら「東京への出張だとお聞きしました、いってらっしゃいませ」というように、少し丁寧な表現にすると優しい印象を与えられます。一方、大切な取引先とか顧客に対しては「今月末の海外視察、お気をつけていってらっしゃいませ」とか「年末の家族旅行、どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」といった形で、最上級の敬語表現をしても構いません。そうすることで敬意をしっかり伝えることができます。また「いってらっしゃい」を使った一文は、相手の無事を祈りながら見送るという意味合いになるので、メールや手紙の最後に添えることで丁寧かつ気遣いある印象を与えられます。「いってらっしゃい」を上司に伝える際の敬語表現
上司が出掛けるとき「いってらっしゃい」と声かけしても、敬語表現という視点からは問題ありません。たとえば、年齢が近い上司だとか、立場が近い上司なら、このように一言「いってらっしゃい」と声をかけるだけでも敬意は伝わります。ただもう少し丁寧さをもたせたいなら「いってらっしゃいませ」とするのが妥当です。なかなか「いってらっしゃい」とは声をかけづらい上司には「いってらっしゃいませ」とするのがいいでしょう。また、自分より年齢も離れていたり、立場も離れている上司が相手なら「お気をつけていってらっしゃいませ」とか「どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」というように、最も敬意が伝わる表現にすると好印象です。もちろん上司からも嫌な印象は持たれませんし、部下としての気遣いも正しく伝えることができます。「いってらっしゃい」の敬語での誤用表現・注意事項
「いってらっしゃい」がすでに敬語表現なので、語頭に「お」をつけて「おいってらっしゃい」とか、語尾に「ください」をつけて「いってらっしゃってください」とは使いません。ただし「いってらっしゃい」という言葉は一般的な挨拶にもよく使われるので、敬語表現とはいえカジュアルな感じに受け取られることもあります。たとえば、家族や友達、同僚とか部下に対してなら、気兼ねなく「いってらっしゃい」と使っても構いません。ただ、それほど親しくない間柄だとか、目上の人だとか、しっかりと敬意を払いたい相手に対しては、一言「いってらっしゃい」と声かけするよりも、もっと丁寧に「いってらっしゃいませ」や「お気をつけていってらっしゃい」や「お気をつけていってらっしゃいませ」といった表現を心掛けるといいです。もちろん、伝える相手によって表現を使い分けるといいでしょう。「いってらっしゃい」の敬語での言い換え表現
そもそも「いってらっしゃい」や「お気をつけて」は類義語です。いってらっしゃいの言い換えとして「お気をつけて」と言う場合もあります。より丁寧な表現をしたいときは「いってらっしゃいませ」や「お気をつけていってらっしゃい」とするのが妥当です。また「いってらっしゃい」という言葉は、相手の「道中の行き帰りの無事」を伝えるものなので、たとえば「気をつけてお出かけください」や「ご無事にお戻りください」と表現を変えても意味はしっかり伝わります。さらに「気をつけてお出かけください。そしてご無事にお戻りください」とすれば、こちらの敬意が相手にも十分伝わります。- 《いってらっしゃい》の敬語のページへのリンク