《いろいろと》の敬語
「いろいろと」の敬語表現
「いろいろと」は、一般的には口語として使用される表現であるため、フォーマルな場面での敬語としては適していません。敬語にする場合は、「諸々(もろもろ)」を使用することが望ましいです。基本的には、「いろいろと」と同様に、数多くのものや事柄を指す表現です。そのため、「いろいろと」を「諸々」に置き換えても、意味は問題なく成立します。また、「様々」という表現も、「いろいろと」よりはかしこまった表現になります。厳密には、「いろいろと」と「様々」では意味合いが異なりますが、現代ではほぼ同義の表現として扱われます。したがって、「いろいろと」よりも少しかしこまった敬語表現にする場合は、「様々」を使用するのもひとつの手です。「いろいろと」の敬語の最上級の表現
「いろいろと」は、複数のものや事柄をひとまとめにした表現です。それを最上級の敬語表現にする場合、まとめない形にすることが望ましいです。目上の相手に対して、「いろいろと」と表現するものや事柄は、感謝するようなことや、頼み事などが代表的です。その内容をしっかりと示すことが、相手に対する強い敬語表現となります。感謝することを「いろいろと」と表現したい場合は、具体的にどのようなことに感謝するのかをいくつか挙げましょう。そして、最後に「諸々」あるいは「など」を付け加えると、他の事柄もまとめることができます。依頼する場合も同様に、具体例を挙げた後、「諸々」「など」でまとめることが望ましいです。もし、口頭での表現で、具体例を挙げる時間がなかったり、冗長な表現になるのを防ぎたかったりする場合は、単純に「諸々」のみを使用すると良いでしょう。
「いろいろと」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「いろいろと」の敬語表現である「諸々」をビジネスメールや手紙で使用する場合、「この企画を通すためには、しなければならない諸々の手続きがございます」「発注の対応や他社との橋渡しなど、諸々ありがとうございました」といった形になります。そして、「諸々」の代わりに「など」を使用して、「急な予定変更や連絡の遅れなど、お手を煩わせて申し訳ございません」という風な表現にもできます。また、「様々」も元々は文語的な表現であるため、「企画のテーマを社内で募集したところ、様々な案が集まりました」「お客様のご希望に添えるように、様々なサンプルをご用意しております」のように使用することが可能です。「諸々」は単純に数が多いこと、「様々」は種類が豊富であることを示す表現です。基本的には「諸々」を使用して問題ありませんが、意味に合わせて「様々」と使い分けるのも良いでしょう。
「いろいろと」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対して「いろいろと」を敬語で表現する場合、「諸々」を使用して問題ありません。「諸々」はフォーマルな場でも用いられる表現であるため、立場が離れている上司に対して使用しても、特に失礼にはならないでしょう。ただ、可能であれば、全てを「諸々」でまとめてしまうのではなく、いくつか具体例を挙げた方が、角が立ちにくいです。また、種類の多さを表現するのであれば、「様々」を使用することも考えましょう。さらに、「いろいろと」も、フォーマルな場面には向いていないだけであって、決して失礼な表現ではありません。そのため、立場があまり離れていない、身近な上司に対しては、砕けた表現である「いろいろと」の方が合っている可能性があります。特に口頭での表現であれば、口語の「いろいろと」は、意味が伝わりやすいです。したがって、上司との関係性や状況などを考慮した上で、「諸々」「様々」「いろいろと」を使い分けましょう。
「いろいろと」の敬語での誤用表現・注意事項
「いろいろと」の敬語表現として使用できる「諸々」ですが、表現の方法を間違えないよう注意が必要です。「いろいろと」の「いろいろ」を「諸々」に置き換える形で、「諸々と」という表現にはできません。「諸々」の表現は原則として、助詞を付けない「諸々」か、「の」を付けた「諸々の」のいずれかのみです。「諸々な」や「諸々に」という形にもできません。したがって、「諸々」あるいは「諸々の」に合うように、前後の表現を工夫する必要があります。また、「諸々」は、かしこまった表現ですが、どのような場面でも使用できるというわけではありません。特に、謝罪をしなければならない場面では、「諸々」は相応しくないとされています。また、初対面の相手など、親しくない相手にも、使用しない方が良いです。謝罪する場面や、親しくない相手の場合は、「諸々」とまとめてしまうのではなく、具体例を示しましょう。そして、具体例が多すぎる場合にのみ、いくつか例を挙げた後で、残りを「など」とまとめるのが無難です。
「いろいろと」の敬語での言い換え表現
「いろいろと」の敬語表現の「諸々」は、「諸種」や「諸般」といった言葉に言い換えられることがあります。「諸種」は、種類の数が多いことを示せる言葉で、「様々」に近い意味です。そのため、「様々」をよりかしこまった表現にする場合は、「諸種」を使用するのも良いです。ただ、「諸種」はあまり一般的な表現ではないため、相手によっては意味が伝わらない恐れがあるので注意しましょう。そして、「諸般」も、種類が豊富であることを示す表現ですが、事情の数が多い場合に使用するのが基本です。「諸般の事情」という表現は、ビジネスシーンでも高い頻度で使用されるため、「諸種」ほど意味が伝わりにくいということにはならないでしょう。- 《いろいろと》の敬語のページへのリンク