《うかがう》の敬語
「うかがう」の敬語表現
「うかがう」と読む漢字は「伺う」「窺う」「覗う」があります。「伺う」は、「聞く・尋ねる・訪問する」の謙譲語です。謙譲語はこちらの立場をへりくだらせ、相手の立場を立てるための使われます。「伺う」の敬語表現は「伺います」になります。「伺います」は謙譲語の「伺う」に丁寧語の「ます」を付けた表現です。
「窺う」とは、「(ひっそりと)相手の様子を見る・機会を待つ」という意味です。「窺」の字は、「(小さな穴などから)のぞき見る」様子を表します。また「覗う」と「窺う」は、ほぼ同じ意味で使われています。
「窺う」「覗う」は相手に敬意を払う言葉ではないので、敬意を払う場合は丁寧語を使います。「窺う(覗う)」の敬語表現は、文末に丁寧語の「ます」を付けて「窺います」になります。
「うかがう」の敬語の最上級の表現
「伺う」の敬語表現である「伺います」は、「伺いたく存じます」が最上級の表現として適切です。「伺いたく存じます」は「伺う」「存じる」の謙譲語が2つ加えられて、「伺います」をよりへりくだった表現にできます。一方「窺う」の敬語表現である「窺います」は、例えば「お窺います」が最上級の表現になりますが、2重敬語(同じ種類の敬語を2つ重ねる)になるので使えません。
「うかがう」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「うかがう」の敬語である「伺います」について、それぞれの意味に応じたメールの例文は以下です。「伺います」を「聞く」の意味で使った場合は、「その件については、伺っております」と表現します。
「伺います」を「尋ねる」の意味で使った場合は、「ご希望の時間を、伺ってもよろしいですか」と表現します。
「伺います」を「訪問する」の意味で使った場合は、「そちらには、当社から3名が伺います」と表現します。
また手紙での例文は、訪問の意思などを伝えるときに「伺います」を使います。
「貴社に伺った上で、契約内容の詳細をご説明申し上げたく存じます」と手紙にします。
最後に「うかがう」の敬語である「窺います」のメールの例文は以下です。
「次のビジネスコンペを優勝するために、ライバル会社の様子を窺いました」とか、「部長はいつも社長の顔色を窺っています」などと表現します。
「窺う」は相手の様子をのぞくといった意味をもつので、あまり手紙には使われません。
「うかがう」を上司に伝える際の敬語表現
「伺う」の敬語表現である「伺います」は、「伺わせていただきます」など2重敬語にならないように注意しましょう。「伺う」の敬語は、頻繁に使う上に間違いやすいです。ビジネスシーンに合わせた使い方に気を配り、上司に知性の面で、疑われないようにしましょう。また、「伺う」の表現である「伺いたく存じます」も使いこなすと便利です。上司との約束では、基本的に上司の時間に部下が時間を合わせるのが、マナーとされています。
「〇日以降に、伺いたく存じます。いつ頃ならお時間がとれるでしょうか」という使い方をすれば、上司の印象も良いでしょう。
「うかがう」の敬語での誤用表現・注意事項
ビジネスシーンなどでは、「伺う」の間違った表現をよく見かけます。尊敬の助動詞の使った言い方である「~れる」「~られる」「お(ご)~」と敬語表現を、「伺う」と併用するので2重敬語になってしまうことが多いです。「伺う」「伺います」だけでは、失礼になるなど心理的なことが原因です。例えば「明日、お伺いしたいのですが」と言うと、2重敬語になってしまい間違いです。2重敬語の理由は「伺う」は動詞の「訪問する」の謙譲語に、「お~」と敬語表現を付け加えているからです。また、「お伺い~」については、慣習化しているので使用して問題ない側面もあるのが有名です。「お伺わせていただきたく存じます」も誤用であって、「お(ご~)」「伺う」「いただく」「存じる」と4つも敬語が含まれます。「お伺わせていただきたく存じます」は明らかな2重敬語なので、使用を避けましょう。
またビジネスにおいて「相手(ライバル会社)の様子を窺います」の「窺う」は常用漢字ではありません。「様子をうかがいます」とひらがなで表現した方が無難です。
「うかがう」の敬語での言い換え表現
「うかがう」の敬語表現である「伺います」「窺います」の言い換えは以下になります。「お聞きする」は、「聞く」という意味の「伺います」の言い換えです。例えば「Aさんの話はお聞きしたことがあります」と表現し、「聞く」に敬意を示す接頭辞の「お」を加えた言葉で、「伺います」を表現します。
「拝聴します」は、「聴く(耳を傾ける)」という意味の「伺います」の言い換えです。例えば「ライブを拝聴しました」と表現し、「聞く」の謙譲語の「拝聴する」で、「伺います」を表現できます。
「承ります」は「聞く」という意味の「伺います」の言い換えです。例えば「注文を承りました」と表現し、「聞く」という謙譲語の「承る」で、「伺います」を表現できます。
「お尋ねする」は「尋ねる」という意味の「伺います」の言い換えです。例えば「お尋ねしますが、○○駅はどこでしょうか」と表現し、「尋ねる」に敬意を示す接頭辞の「お」を加えた言葉で、「伺います」を表現します。
「お邪魔する」は「訪問する」という意味の「伺います」の言い換えです。例えば「明日、お宅にお邪魔してよろしいでしょうか」と表現します。「邪魔する」に敬意を示す接頭辞の「お」を加えた言葉で、「伺います」を表現します。「邪魔する」はくだけた言い回しで使い方によっては、親しいイメージを相手に与え過ぎます。「伺います」を使った方が無難です。
最後に「窺(覗)います」の言い換えは、「顔色を察します」「チャンスを察知します」などが言い換えになります。
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