《おかげです》の敬語
「おかげです」の敬語表現
大前提として、「おかげです」自体が一種の敬語表現となります。「おかげです」から丁寧語の表現を全て取り除くと、「かげ」という言葉のみが残ります。この「かげ」とは、古くは「神仏の助け」を意味する言葉で、ここから転じて「他者からの助力」もしくは「(良し悪しに関わらず)原因であること」「その事による影響」といった意味合いを持つ言葉となりました。よって、「おかげです」は「かげ」を用いた丁寧語表現と考えることが可能です。尊敬語で表現するならば、「おかげになります」「おかげさまです」「おかげでございます」といった形となるでしょう。相手に何かをしてもらった時に、そのことに対する感謝の意を込めつつ相手を持ち上げる表現となります。一方で、「おかげ」自体が動作の主体を持ち上げるニュアンスの表現であり、動作の主体に対する感謝の意を伝えるための言葉となるため、「おかげとさせて頂きます」のような形で動作の主体が自分となる謙譲語表現をしてしまうと、かえって恩着せがましい印象を与えてしまいます。なるべく尊敬語・丁寧語を使用するのが相応しい文脈で用いるようにしましょう。
「おかげです」の敬語の最上級の表現
よりフォーマルな場では、「おかげをもちまして」といった表現を用いると良いでしょう。プレスリリースや記者会見など、公式な発表の場で何かをしてもらった相手に対する感謝を示し、相手を持ち上げる場合に使うことができます。ただし、堅い印象を相手に抱かせてしまうため、会話やメールなどで直接相手に感謝の意を伝えたりする場合には、「おかげさまです」「おかげになります」を使うのがおすすめです。「おかげです」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
では、取引先とのメールを想定して、「おかげです」の敬語表現を用いた例文を見てみましょう。美濃工業製品企画部
今川様
お世話になっております。
楽市商事営業部の織田でございます。
先日は御社新商品の件で打ち合わせの席を設けてくださいましてありがとうございました。
おかげさまで、有意義な商談ができましたこと、大変嬉しく思います。
また、今川様にお力添え頂きましたことで、かねてよりの懸案であった価格の件がまとまりました。
打ち合わせの中でお話した内容を踏まえたお見積りについて資料を添付いたしますので、ご確認をお願い致します。
引き続き本件につきましてはご助力を賜ることも多いかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
楽市商事 営業部長
織田
上記の例文では、「おかげさまで」を用いて先方が打ち合わせの席を設けてくれたこと、そしてその結果有意義な商談ができたことへの感謝を伝えつつ、先方を持ち上げている表現となります。また、「お力添え頂きましたことで」も「おかげです」を敬語で言い換えた表現で、先方の助力があったことで懸案事項がまとまった、としている点にも注目です。詳細は後述しますが、「おかげです」を敬語で言い換える表現は様々なものがあり、そのうちのひとつが「お力添え頂きましたことで」となります。
「おかげです」を上司に伝える際の敬語表現
「おかげです」を上司に伝える場合の敬語表現は、「おかげさまです」が最も無難でしょう。また、「お力添えを頂きました」「ご支援を賜りました」などの表現も、上司に伝える際の敬語表現として使うことが可能です。先述したように、「おかげです」自体が丁寧語表現となりますので、そのまま用いても特に差し支えはありませんが、どうしても気になる、よりフォーマルで丁寧な表現を使いたいというような場合には、「おかげさまです」「お力添えを頂きました」などの表現を用いるのが好ましいでしょう。「おかげです」の敬語での誤用表現・注意事項
「おかげです」を敬語で表現する場合は、文末で使用した場合不自然になるケースがあるため注意しましょう。例えば、「○○できたのは、おかげさまです」のように、動作の主体が無い場合は「誰の、何のおかげなのか」がわからなくなってしまいます。よって、「○○できたのは、〇〇さんのおかげでございます」「○○という結果になったのは、○○さんが○○したおかげでございます」のような形で、誰のどのような行為のおかげなのかをはっきりとさせた形で表現するようにしましょう。また、聞き手の行為の結果を感謝し讃えるニュアンスが「おかげです」には込められていますから、マイナスの結果をもたらした場合には用いることはありません。ネガティブな内容で「おかげです」を使うことはニュアンスがおかしくなってしまいますから、なるべく他の表現に言い換えを行うようにしましょう。
「おかげです」の敬語での言い換え表現
「おかげです」を敬語で言い換える表現は、先述した「お力添え頂きましたことで」がまず挙げられます。文末で使用したい場合は「お力添えあってのことでございます」のようにすると良いでしょう。同様に、「ご助力あってのことです」「ご支援があったからこそです」など、相手の行為があったからこそ望ましい結果を出せた、というニュアンスを丁寧に伝えることが可能です。なお、これらの言い換え表現を用いる際も、「おかげでございます」と同様に、動作の主体をはっきりと記述しなければ不自然な文章となりますので、注意しましょう。- 《おかげです》の敬語のページへのリンク