小川芋銭 小川芋銭の概要

小川芋銭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/05 23:26 UTC 版)

河童の碑

来歴・人物

小川家は牛久藩士で、大坂の陣で勇敢に戦い戦死した木村重成の子孫という。父は常陸国牛久藩大目付であったが、廃藩置県により新治県城中村(現在の茨城県牛久市城中町)に移り農家となる。最初は洋画を学び、尾崎行雄の推挙を受け朝野新聞社に一時雇われの画工として入社、挿絵や漫画を描いていたが、後に本格的な日本画を目指し、川端龍子らと珊瑚会を結成。横山大観に認められ、日本美術院同人となる。

生涯のほとんどを牛久沼の畔(現在の牛久市城中町)で農業を営みながら暮らした。画業を続けられたのは、妻こうの理解と助力によるといわれている。 画号の「芋銭」は、愛読した徒然草の中にある芋食和尚にちなんだものであり[1]、「自分の絵がを買うくらいの銭(金)になれば」という思いによるという。

身近な働く農民の姿等を描き新聞等に発表したが、これには社会主義者の幸徳秋水の影響もあったと言われている。また、水辺の生き物や魑魅魍魎への関心も高く、特に河童を多く残したことから「河童の芋銭」として知られている。

芋銭はまた、絵筆を執る傍ら、「牛里」の号で俳人としても活発に活動した。長塚節山村暮鳥野口雨情などとも交流があり、特に雨情は、当初俳人としての芋銭しか知らず、新聞記者に「あの人は画家だ」と教えられ驚いたという逸話を残している。

芋銭の墓は1943年(昭和18年)、自宅近くの曹洞宗の寺院、稲荷山得月院(牛久市城中町258)に建てられた[2]

贋作が多く作られた作家でもある。そのため、公的機関が「小川芋銭の作品」を公費で購入する際、仮に贋作であるとすると無意味かつ税金の無駄であるため、購入の正当性や鑑定依頼先を巡ってしばしば議論になる[3]

年表

  • 1868年 - 江戸赤坂溜池の牛久藩邸で生まれる[4]。幼名、不動太郎[4]
  • 1871年 - 廃藩置県により新治県城中村に移住する。
  • 1879年 - 牛久小学校下等小学校第三級を卒業し上京、小間物屋に奉公する。
  • 1880年 - 桜田小学校尋常科第三級後期を卒業。本多錦吉郎の画塾、彰技堂に入り洋画を学ぶ[4]
  • 1888年 - 尾崎行雄の推挙を得て、『朝野新聞』に客員として入社(入社年は通説)する。磐梯山噴火の惨状をスケッチし新聞に掲載(通説、裏付け資料なし)。
  • 1893年 - 父親の命により牛久に戻り農業に従事する[4]
  • 1896年 - 渡辺鼓堂の推奨により『茨城日報』に漫画が採用される(通説、裏付け資料なし)。
  • 1899年 - 取手の句会『水月会』に入会。
  • 1904年 - 幸徳秋水らが主催する『週刊平民新聞』に漫画を描き始める。水戸の文芸団体『木星会』の結成に参加。
  • 1908年 - 初の画文集『草汁漫画』を刊行。
  • 1910年 - 俳誌「ホトトギス」の挿絵を描く。表紙絵は1911年から。
  • 1911年 - 東京・大阪三越で漫画展を開く。
  • 1915年 - 川端龍子らと『珊瑚会』設立。
  • 1917年 - 珊瑚会展に出品した「肉案」が横山大観に認められ日本美術院同人に推挙される。
  • 1922年 - 茨城新聞社社長飯村丈三郎古希記念画冊を描く。
  • 1923年 - 茨城美術展の顧問になる。
  • 1935年
  • 1938年 - 牛久の自宅で死去[4]

主な作品

画集等

  • 草汁漫画 日高有倫堂(1908年)
  • 三愚集 俳画堂(1920年):小林一茶の句を夏目漱石が書き芋銭が画を付けたもの。
  • 芋銭子開七画冊 大塚巧芸社(1928年)
  • 俳画の描き方 崇文堂(1934年)
  • 芋銭子開八画冊 大塚巧芸社(1937年)
  • 河童百図 俳画堂(1938年)

  1. ^ 日本画壇の異才、死去『大阪毎日新聞』(昭和13年12月19日)『昭和ニュース事典第6巻 昭和12年-昭和13年』本編p55 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  2. ^ 芋銭の散歩道(牛久市観光協会)
  3. ^ 牛久市議会平成18年第4回定例会、同平成23年第4回定例会など
  4. ^ a b c d e 小川芋銭 東京文化財研究所 2018年8月10日閲覧。
  5. ^ 筑波山中腹に横瀬夜雨の詩碑『東京朝日新聞』昭和10年1月15日夕刊.『昭和ニュース事典第5巻 昭和10年-昭和11年』本編p26 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年


「小川芋銭」の続きの解説一覧




小川芋銭と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小川芋銭」の関連用語

小川芋銭のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小川芋銭のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小川芋銭 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS