森蘭斎とは? わかりやすく解説

森蘭斎

読み方もり らんさい

江戸後期画家越後の人。大坂住し、のち江戸に移る。名は文祥、字は子禎、別号九江・鳴など。沈南蘋画風熊斐学び花鳥画を得意とした。享和元年(1801)歿、享年未詳

森蘭斎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 00:07 UTC 版)

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花鳥図 絹本着色 江戸時代中期 神戸市立博物館

森 蘭斎(もり らんさい、元文5年(1740年) - 享和元年9月18日1801年10月25日))は、江戸時代中期・後期の画家。熊斐に就いて南蘋派の画法を修め彩色花鳥画を画いた。は文祥、を子禎。蘭斎のほかに九江・鳴鶴などとした。越後頸城郡新井(現在新潟県妙高市)の人。

略伝

同郷の画家五十嵐浚明から画を学んだ。23歳のとき長崎に出て医学を修める傍ら、沈南蘋の直弟子熊斐に就いて画法を受ける。熊斐の娘婿となり一番弟子と自称。

師が没すると大坂に出て医を生業としながら画を通じて伊藤東所片山北海中井竹山ら著名な文人と交友した。『蘭斎画譜』では熊斐から受けた画法の伝授課程を伝え熊斐の小伝を掲載している。

寛政年間に江戸に移住。儒官林述斎宇都宮藩藩主戸田忠翰らと交友。とりわけ戸田忠翰とは画の共作を行うほど親しく交わった。加賀藩御用絵師となっている。門弟に金谷三石。

享年72。墓は、当初浅草本願寺中妙清寺に建てられたが、関東大震災で壊壊れた。直系の子孫は既に絶えており無縁仏に成りかねない所だったが、新井の人々の募金によって、昭和5年(1930年)に移転され東本願寺新井別院(妙高市)に改葬された。息子の蘭園森文良も、医師であると共に父の画風を受け継いだ絵師だったが、数え37歳で早世したため現存作品数は極めて少ない[1]

蘭斎は絵師としては珍しく筆マメであり、いくつか残る書簡ではどれも長文をしたためている。しかし、作品に年期を記すことは極めて稀で、画風の変遷をたどるのは殆ど不可能である。

著作

  • 『蘭斎画譜』天明2年(1782年)
  • 『蘭斎画譜続編』享和元年(1801年)

代表作

作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款・印章 備考
龍虎之図・三国志武人之図屏風 紙本著色 六曲一双 妙高市
孔雀図・松鹿図屏風 紙本著色 六曲一双 妙高市・照光寺
龍虎之図屏風 紙本墨画 六曲一双 妙高市
牡丹孔雀図 絹本著色 1幅 127.2x50.5 敦賀市立博物館 1789年(寛政元年) 款記「款記「巳酉初秋寫 蘭斎」/「蘭斎」朱文方印[2]
西王母 関西大学東西学術研究所
水辺群鴨図 絹本著色 1幅 123.5x49 ボストン美術館 款記「北越蘭斎寫」

脚注

  1. ^ 牡丹に孔雀図ボストン美術館蔵。「波に鷹図」 ドイツ・リンデン美術館蔵など。
  2. ^ 敦賀市立博物館編集・発行 『館蔵逸品図録』 1995年1月4日、第44図。

出典

  • 滝沢定春 「森蘭斎―江戸で活躍した越後の画人―」小村弌先生退官記念記念事業会編 『越後・佐渡の史的構造 小村弌先生退官記念論文集』 小村弌先生退官記念事業会、1984年3月
  • 成澤勝嗣「日本の南蘋系ノート」(『季刊古美術 第93号』 三彩社、1990年)
  • 伊藤紫織 「森蘭斎について―支持者との関わりを中心に―」(『美術史』第156号、美術史學會、2004年3月、pp.333-348)
  • 中谷伸生 「大坂の南蘋派―森蘭斎の《西王母》と《桃と薔薇と白頭翁図》」(『美術フォーラム21』VOL.23、醍醐書房、2011年5月、pp.4-9)ISBN 978-4-925185-44-8
  • 森蘭斎画集編集委員会 『森蘭斎画集』 森蘭斎顕彰会、2012年9月
  • 成澤勝嗣 「日本の南蘋派画家研究資料」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』六十第3分冊、2015年
  • 亀山泰照 「森蘭斎の絵馬奉納」東京都台東区教育委員会 生涯学習課編集 『台東区文化財調査報告書 第54集 浅草寺絵馬扁額調査報告書 浅草寺の絵馬と扁額 -解説論考編-』 東京都台東区教育委員会、2016年3月22日、pp.75-84

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