龍天昇編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 06:03 UTC 版)
高木に神極拳を教えた黄陳々が、黄家の末弟である黄暗海とその弟子の我王によって殺害された。陳々の最期を看取った高木は、太極拳の師であり黄家の次兄である黄流雲のいる神戸へと向かう。しかしすでに暗海と我王の魔の手が龍隆虎隆兄弟や大阪魂四代目・忌羅に襲いかかる。一旦は危機を脱するものの、暗海と手を組んだ西日本最大の暴力団「集英会」会長・桐山修造の命を受けた我王により忌羅は殺害される。さらに我王と拳を交える高木であったが敗北、流雲は暗海によって連れ去られてしまう。流雲が残した「辰・辰・辰」の言葉から、陳々・流雲・暗海三兄弟の父である黄天昇の奥義「龍天昇」の存在を知った高木達は、大禅寺でその手がかりを捜索し、龍天昇の記された巻物を発見する。 暗海・我王と再び遭遇した高木は巻物を仲間に託して我王と再戦し勝利するも、暗海の弟子・トントンとゲンゲンに巻物を奪われてしまう。暗海の側に寝返った末永から集英会の桐山の存在を知った高木たちは、敵地へ侵入し流雲の身柄と太極寺に代々伝わる龍天昇の奥義が記された巻物を取り戻す。高木達は流雲から龍天昇の「力」とは別に隠された「宝」の正体が兆単位の麻薬だと知らされ驚愕する。龍天昇の巻物奪還と高木抹殺に業を煮やした桐山は大阪中の集英会組員を総動員する。関五工空手部に避難していた高木達だったが、集英会の組員による無差別の襲撃や龍天昇の解読を依頼していた大阪外語研究学院構内で神雷が集英会の組員に殺害された事で、高木は遂に関西・関東の東西連合を大阪に呼び寄せ集英会との全面戦争に突入する。 東西連合は多くの犠牲の末に大阪城へ集結する。巻物の解読結果から龍天昇を会得するには邪極拳が必要だと知り高木はショックを受けるが、かつての敵であった我王から邪極拳の神髄を伝授され遂に龍天昇を習得する。高木はトントン・ゲンゲンとの連戦に突入。見事トントンを打倒するも、ゲンゲンに返り討ちに合い高木は生死の淵を彷徨う。魂となった高木の前に死した神雷と黄天昇の魂が現れる。黄天昇から龍天昇の真の力が「生命力」だと教わった高木は「真龍天昇」を会得し復活する。一方、大阪城に集結した森上達は桐山のいる大阪の集英会事務所を襲撃。桐山は暗海と共に大阪事務所を放棄して逃走を図る。後を追う森上達の前にはゲンゲンが立ちはだかる。善戦するも圧倒的なゲンゲンの前になす術のない森上達。しかしそこへ高木が帰還。理性を消し邪極拳の究極系と化したゲンゲンと新たに得た「生命力」を開放した高木との一騎討ちとなる。両者死力を尽くしながらも最後は高木の二発目の「真龍天昇」によって決着した。 高木達の死闘の裏で脱出する桐山と暗海の前に広島愚連隊を率いる謎の男・赤松剛鬼が現れる。桐山の命乞いをよそに赤松剛鬼は手にしたデザートイーグルで両名を躊躇なく銃殺し巻物を強奪。更に暗海達の後を追って現れた高木達を一蹴すると兼ねてより手配していた機動隊に一斉検挙させる。騒動の首謀者に仕立て上げられた高木は特別拘置所に送致される事となった。
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龍天昇編
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我王圭司(がおう けいじ) 邪極拳の使い手。笑い声は「クックックッ」。刃物のごとき鋭い手刀と超スピードを武器としており、普段はワイヤーで編んだマントを着て力を抑えている。谷川岳で陳々を殺害。その後は太禅寺を蹂躙し、忌羅をも手にかける。返す刀で憤る高木を下し、五代目大阪魂を自称する。木村・忌羅ら関東・関西の猛者が束になってもかなわないほどの強さを誇るが、龍天昇の奥義書を狙って太禅寺にある龍神池(りゅうじんいけ)に現れた際、高木にスタミナの無さを見抜かれ倒される。その後神雷に介抱されており、恩を返すため高木に邪極拳の真髄である超集中力とスピードを教える。エピローグでは、今まで殺めた人の冥福を祈るため、僧門に入って修行していると語られた。技 縛纏術(ばくてんじゅつ) 邪極拳の高等技。奇妙な音を伴う気を放つことで相手の気をコントロールし、筋肉を硬直させて動きを封じる一種の催眠術。弱点は対象者が激痛を感じると術が解除されること。 阿修羅掌(あしゅらしょう) 邪極拳の技。残像が発生するほどの速さで連続して手刀を放つ。 流星蹴(りゅうせいしゅう) 邪極拳の技。相手の顔面に蹴りを叩き込む。 殺乱舞(さつらんぶ) 邪極拳の技。相手に突きの連打を喰らわせる。 黄暗海(こう あんかい) 陳々と流雲の弟。笑い声は「クッキッキッキッ」および「ヒッヒッヒッ」。かつては二人の兄をも凌ぐ拳法の天才であったが、その拳に悪が込められていたため父・天昇から性根を見抜かれ、後継者に選ばれなかった。天昇が後継者に流雲を選ぼうとしていることを知った暗海は遺言を改変して宣言、兄たちがお人好しであった幸運にも恵まれ、二人を出し抜きまんまと太極寺の跡継ぎに納まってしまう。 権力を得た後は政治家と結託、暴力をもって近隣の村々を略奪し悪行の限りを尽くす。修行より戻った二人の兄たちの怒りを買い、激闘の末に数種類の蛇から抽出した神経毒が塗られた毒針を用いた不意打ちで優位に立つも、血と共に体外に毒を排出されてしまい、両手を切断され追放。それでも命までは奪われないなど、最大限の情けをかけられていたのだが、全く改心する素振りはなかった。 その後50年間復讐を夢見て、拳の天才のみが持つ資質を利用して生み出される超スピードや超集中力、加えて相手の動きを封じることで急所を突くこと、および相手の攻撃する力を吸収する動きを神髄とした邪極拳(じゃきょくけん)を編み出し、弟子を育てる。太極寺の膨大な財宝のありかと究極の武術が示された「龍天昇」を狙い日本にあらわれ、兄たちやその関係者たちを弟子に襲撃させ、残虐非道に振る舞う。切断された両腕には義手を装着しており、拳法は使えないまでも義手を飛ばして死穴(しけつ)というツボを突き相手の動きを止めることなどは可能のようである。 最後の最後まで悪の道から抜けようとは考えず、ついに龍天昇の宝である膨大な麻薬を手中にするものの、桐山と共に赤松剛鬼に遭遇。龍天昇の巻物を奪われまいと抵抗し、剛鬼の死穴を突くも無効化され、あえなく射殺された。 桐山修造(きりやま しゅうぞう) 神戸に本部を持つ関西最大の暴力団・集英会(しゅうえいかい)の会長。性格は冷酷にして狡猾。背中には広範囲に刺青が彫られている。日本に一大組織を作り上げるべく暗海と手を組み、龍天昇を狙う。木村を麻薬中毒にした張本人で、高木の仲間たちが集英会系組織の事務所を潰しにかかった際、彼らが市民の反感を買うと踏んで放置し、彼らをそうとは知らず自分たちに事務所となるビルを貸した一般人の呼んだ機動隊にぶつけるなど、策士としての一面を見せている。数々の悪事を行ったが、最後は高木に敗れ、集英会本部へ体制を立て直すために逃亡するところで、高速道路に立ちふさがった「広島愚連隊・鬼」大将の赤松剛鬼に大型拳銃(デザートイーグル)で暗海と共に射殺される。その死体は原型を留めぬほど無惨なものだった。 山下敬二(やました けいじ) 集英会系ヤクザ組織・怒髪天組(どはつてんぐみ)の組長。部下に龍天昇の巻物と解読内容を記したファイルを奪わせ、それらを自身の事務所に現れた桐山と暗海に渡す。その直後、高木の命でやって来た安藤と飛鳥率いる部隊に殴り込みをかけられる。桐山と暗海の逃走時に手を貸していたが、両者死後の消息は不明。 二見(ふたみ) 怒髪天組の組員。他の組員たちと共に神雷を刺殺し、龍天昇の巻物とその解読内容が記されたファイルを奪い取った。 西陣菊丸(にしじん きくまる) 京都の頭。妖刀剣(ようとうけん)の使い手で、口から楊枝を岩に突き刺さるほどの勢いで吹き飛ばすことも可能。流雲の弟子の孫。高木の腕試しをし、実力を認めると龍天昇の鍵を高木に託した。エピローグでは地元・京都で呉服店の若旦那として経営していると語る。技 真一文字(まいちもんじ) 妖刀剣の技。跳躍して相手の頭上から刀を振り下ろす。 真っ向斬り(まっこうぎり) 妖刀剣の技。気勢をコントロールし、刀から鋭利な気を飛ばして離れた対象をも一刀両断する。 遠藤彦介(えんどう ひこすけ) 奈良の頭。奈良時代に御門護衛のために生み出された一技必殺が売りの古武術・平城流兵術(へいじょうりゅうへいじゅつ)の使い手。流雲の弟子の孫。腕試しの末、高木に龍天昇の鍵を託した。高木に手加減したとはいえ天地神明掌を出させるなど実力者だが、トントンとゲンゲンに敗れた。善と悪編では剛鬼にあっさり投げ飛ばされ敗北。捕まるも後に脱走し、赤松邸突入の際に、前述の蔵王や佐藤らとともに鋼板の楯を持つ面々のひとりとして護衛の銃撃を防いだ。エピローグでは平城流兵術の道場の師範となっている。技 大花輪(だいかりん) 平城流兵術の技。相手の腕を掴んで捻りを加えながら地面に叩きつけ、肘打ち(中段ひじ打ち二角拳法突き)を加えて追い打ちする。そのため、相手は受け身を取ることすらできない。 地獄落し(じごくおとし) 平城流兵術の技。相手の腕を極めながら胴体を抑え、反転させて脳天を地面に叩きつける。 地獄突き(じごくづき) 平城流兵術の技。強烈な正拳を相手に喰らわせる。 天道真紀(てんどう まき) 和歌山の頭。小柄な女性ながら、鍛えられた足首が生み出す驚異的な跳躍力を駆使する中国宮廷秘拳・花架拳(かかけん)の使い手で、実力は西陣・遠藤を上回る。流雲の弟子の孫。3人で鍵を探し出した後は、彼女が龍天昇を習得する予定であった。 高木は(相手が女ということもあったが)彼女に触れることすらできなかったが、高木の意気に打たれ龍天昇の鍵を託す。高木が我王との再戦中、龍天昇の巻物を預かっていたがトントン・ゲンゲンに巻物をあっさり強奪されてしまう。その後は高木の呼びかけに従って集英会系組織の事務所を襲撃するも、機動隊員によって警棒で殴り倒される。エピローグでは家事手伝いをしていると語る。なお、その時点でも独身であった。技 乗雷破岩(じょうらいはがん) 花架拳の技。相手の頭上に跳躍してから上空から降下しつつ、強烈な蹴りを放つ。その大きな落差から体重の何倍もの力を発揮することが可能。 若杉達也(わかすぎ たつや) 神奈川連合の副頭にして、木村の幼馴染。年齢:17歳。木村と共に神奈川連合を盛り立てており、普段冷静な木村も彼の前では本当の笑顔を見せていた。幼稚園時代は木村より喧嘩が強かったが、いつの間にか彼に追い抜かれていた。神奈川連合本部にいる最中、木村をおびき寄せるべく送り込まれた集英会の放った刺客によって射殺される。 岩崎(いわさき) 関五工の生徒。高木を狙って関五工に襲来した集英会系ヤクザ組織・一ツ橋烈風会(ひとつばしれっぷうかい)の組員によって射殺される。 ハンナ 今は亡き少年時代の高木の愛犬。高木はその死に悲嘆に暮れており、天昇との修行で無になりかけた高木の走馬灯に現れた。 ゲンゲン 暗海の最高の弟子。トントンと共に数十万人といる赤子の中から暗海に選ばれた拳の天才たちの一人。髪の無い頭を覆う卍マークの付いたバンダナと、語尾に「~アル」(初登場時は「~デス」)」を付ける口調が特徴で、笑い声は「ホホホ」。柄に投擲時に持ったり、相手の首を吊るす際に使われるロープの付いた三仙叉が武器。13歳の頃、内向的な性格とその内に秘めた残虐性に目を付けた暗海の実験によって、牢に入れられた上で兄弟弟子たちに体罰と罵詈雑言を与えられた結果髪は白髪化して抜け落ち、自ら戦闘に邪魔な理性を消すことが可能となった(その際、トントン・我王を除く兄弟弟子百人を殺害している)。 羽田空港でトントンが取り逃がした木村をあっさり捕まえる。後にトントンたちと共に福島外科に現れ、高木たちを始末しようとする。龍天昇を物にできていない高木を倒し、さらに自分たちを裏切った木村を刺すが、森上たちが助けに入ったことで逃げられる。大阪に集まった関東勢を追う際に寺本と対決し、托天勢を使用した寺本を撃破。その場にいた岩本・武井もほとんど全力を出さずに倒す。トントンを倒した高木を一度は死に追いやり、桐山たちと合流して森上と戦った際は眼を潰され苦戦したがKO寸前まで追い詰めるも、このときは高木が救援に訪れ、状況不利と見て理性を消して戦う。 龍天昇を物にした高木を相手に暗海も止められないほどの超パワーを発揮する。しかし、自身の三仙叉で手を壁に釘づけにされるも、真龍天昇を喰らう直前で左手の薬指と小指を切り落として脱出。足からの龍天昇で止めを刺そうとするが、仲間たちの幻影に励まされた高木の反撃でついには敗れた。エピローグではトントンと共に拳法から足を洗い、中国に帰国してラーメン店を経営していると語られた。技 獣神掌(じゅうしんしょう) 邪極拳最終奥義。蛇・鷹・熊・虎の動きを取り入れた形から強烈な一撃を繰り出す。不完全な龍天昇とフォームが酷似していた。 縛纏術 我王と同様の技。森上の動きを封じた。 破壊心停弾(はかいしんていだん) 邪極拳必殺奥義。心臓に突きを喰らわせた相手の体内で力を炸裂させることで、心臓の動きを止める。一度は高木をこの技で死の淵に追いやった。 超殺弾拳(ちょうさつだんけん) 邪極拳の技。強烈な正拳を繰り出す。 ゲンゲンキック 強烈なドロップキックを放つ。 龍天昇 黄天昇の編み出した技。龍天昇の巻物を解読することによって身に付けた。両足からも発動可能。ゲンゲンは使用時に「激爆龍天昇」と言う。 トントン 暗海の弟子。一人称は「ポク(しかし、初登場時は「僕」)」で、ゲンゲン同様語尾に「~アル」を付ける。肥満にも見える巨体ながら素早い動きとパワー、矛を武器とする。大阪空港で木村を追い詰めるが高木の機転により取り逃がしてしまう。その後、龍天昇を習得するが、中途半端な性能で体得したため、真の力を発揮できずに高木に敗れてしまった。善と悪編では前述の蔵王・佐藤ら同じ巨体・力持ちの面々で赤松邸突入のための鋼板の楯をもつひとりとして銃撃を防いだ。エピローグではゲンゲンとともに中国に帰国してラーメン店を経営している。技 龍天昇 ゲンゲン同様にこの技を使用可能。しかし、中途半端な性能でしか体得できておらず、フルパワーで撃った際には体が痩せ衰え、頭髪が半分抜け落ちていた。トントンは使用時に「爆撃龍天昇」と言う。 黄天昇(こう てんしょう) 陳々・流雲・暗海の父で、古くから中国の軍事部門を司ってきた太極寺(たいきょくじ)8代館主。結核を患ったと思われていたが実は暗海によって毒を盛られており、後継者と目していた流雲に龍天昇を伝授しきらずに倒れた。今際の際、流雲と陳々に「暗海が実権を握るような事があれば必ずお前たちが暗海を殺せ」と言い残して死亡した。しかし、「あの世」で龍天昇の本当の力・生命力を高木に教えるべく修行をつける。その際に互いの生命力同士を激突させた末、自身の生命力を高木の魂に取り込ませ、一体化した。その後は善と悪編にて仮死状態となった高木に呼び出され、陰陽拳を破る極意「極楽蛙鳴掌」を伝授。技 気砲(きほう) 生命力の一部を増幅し、手から打ち出す。 極楽蛙鳴掌 天昇独自の技で、周陰を破った。後に高木もこの技を習得。 君站(クンタン) 暗海が実権を握った太極寺の者たちに金品を奪われそうになり、餓死の危機に追いやられていた八人家族の少年。太極寺の者たちに立ち向かうも、あえなく蹴り倒された。 平野(ひらの) FFVニュースのレポーター。桐山邸から桐山が出ていく様子を中継していた。
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