内容とその変遷とは? わかりやすく解説

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内容とその変遷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 13:45 UTC 版)

源氏物語礼讃歌」の記事における「内容とその変遷」の解説

与謝野晶子1942年死去しており、その作品1993年著作権の保護期間満了しパブリック・ドメイン利用できるため、以下その内容掲載する内容の変化については、 全く別のものになっている場合 一部そのまま語句残しながらも一部が全く異な語句入れ替わっている場合 語句は同じであるが表記変えられている場合 があり、この表記変化については 漢字表記かな表記になったり、かな表記漢字表記変更されている場合 「川」と「河」、「皮」と「革」等使用する漢字が同じ意味の別の漢字変更されている場合 「こころ」等といった仮名繰り返しがある場合踊り字を使うかどうか変更されている場合 仮名遣い旧仮名遣い新仮名遣いかが変更されている場合 漢字ルビ付けるか付けないかが変更されている場合 がある。 以下、巻ごとに概ね成立発表時期順に並べる。 逸 小林一三旧蔵逸翁美術館源氏物語短冊五十」 (大正9年1月25日) 天 小林天眠旧蔵京都府資料館天眠文庫蔵晶子和歌短冊源氏物語五十四帖』(大正9年4月) 眠 小林天眠旧蔵京都府資料館天眠文庫蔵晶子歌帖『源氏物語礼讃』 理 正宗敦夫旧蔵天理大学天理図書館歌帖「源氏物語の巻々を詠め短歌五十四首」「大正巳未夏」 明 第二期明星第一巻第三掲載源氏物語讃歌1922年大正11年1月刊行 流 「流星の道掲載絵巻のために 源氏物語1924年大正13年5月刊行改造社与謝野晶子全集所収流星の道掲載絵巻のために 源氏物語1933年昭和8年10月新新訳源氏物語所収 1938年昭和13年10月から1939年昭和14年9月新新訳源氏物語完成祝賀会印刷物源氏物語礼讃1939年昭和14年10月堺市博物館 歌巻「願地物語り礼讃1939年昭和14年翻刻桐壺から末摘花までのみ 以下は与謝野晶子直接には関わっていない角 角文庫版新新訳源氏物語」 河 河出書房日本文学全集2、3 なお、巻名の表記は版によって漢字・かなの違いなど多少異なっているものもある。 第01桐壺むらさきのかゞやく花と日の光おもひ合はではあらじとぞ思ふむらさきのかゞやく花と日の光おもひ合はではあらじとぞ思ふむらさきのかゞやく花と日の光おもひ合はではあらじとぞ思ふ紫の輝く花と日の光おもひ合はではあらじぞと思ふ紫の輝く花と日の光おもひ合はではあらじぞと思ふ紫の輝く花と日の光おもひ合はではあらじぞと思ふ紫の輝く花と日のひかりおもひ合はではあらじぞと思ふ紫のかがやく花と日の光思ひ合はざることわりもなし 祝 紫のかがやく花と日の光思ひ合はざることわりもなし 堺 紫のかゞやく花と日のひかりおもひ合はざることわりもなし 角 紫のかがやく花と日の光思ひあはざることわりもなし 河 紫のかゞやく花と日の光思ひあはざることわりもなし 第02帚木中川皐月(さつき)のに人にたり語ればむせび寄ればわなゝく 天 中川皐月に人にたり語ればむせび寄ればわなゝく 眠 中川皐月に人にたり語ればむせび寄ればわなゝく 理 中川皐月に人似たり語ればむせび寄ればわななく中川なかがわ)の皐月に人似たり語ればむせび寄ればわななく中川なかがわ)の皐月に人似たり語ればむせび寄ればわななく中川なかがわ)の皐月に人似たり語ればむせび寄ればわななく中川なかがわ)の皐月に人似たり語ればむせび寄ればわなゝく 祝 中川皐月に人似たり語ればむせび寄ればわななく 堺 なか川の皐月に人似たり語ればむせび寄れわななく中川皐月(さつき)のに人似たりかたればむせびよればわななく中川皐月(さつき)のに人似たりかたればむせび寄ればわなゝく 第03空蝉うつせみのわがうすごろも風流男(みやびお)になれてぬるやとあぢきなきころ 天 うつせみのわがうす衣風流男に馴れてぬるやとあぢきなきころ 眠 うつせみのわがうすごろもみやび男になれてぬるやとあぢきなきころ 理 うつせみの我が薄ごろも風流男に馴れて寝るやとあぢきなき頃 明 うつせみの我が薄ごろも風流男(みやびお)に馴れて寝(ね)るやとあぢきなき頃 流 うつせみの我が薄ごろも風流男(みやびお)に馴れて寝(ね)るやとあぢきなき頃 改 うつせみの我が薄ごろも風流男(みやびお)に馴れて寝(ね)るやとあぢきなき頃 訳 うつせみのわがうすごろも風流男に馴れてぬるやとあぢきなきころ 祝 うつせみの我が薄ごろも風流男(みやびお)に馴れて寝(ね)るやとあぢきなき頃 堺 うつ我がうすごろも風流男に馴れて寝るやとあぢきなきころ 角 うつせみのわがうすごろも風流男に馴(な)れてぬるやとあぢきなきころ 河 うつせみのわがうすごろも風流男(みやびお)に馴れてぬるやとあぢきなきころ 第04夕顔逸 うきよるの悪夢とともになつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 天 うきよるの悪夢とゝもになつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 眠 うきよるの悪夢とゝもになつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 理 うき夜の悪夢とともになつかしき夢も跡なく消えにけるかな 明 うき夜(よる)の悪夢とともになつかしき夢も跡なく消えにけるかな 流 憂き夜(よる)の悪夢とともになつかしき夢も跡なく消えにけるかな 改 憂き夜(よる)の悪夢とともになつかしき夢も跡なく消えにけるかな 訳 憂き夜の悪夢と共になつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 祝 憂き夜半悪夢とともになつかしき夢も跡なく消えにけるかな 堺 憂き夜半悪夢とゝもになつかしきゆめも跡なく消えにけるかな 角 うき夜半(よは)の悪夢と共になつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 河 うき夜半悪夢と共になつかしきゆめもあとなく消えにけるかな 第05若紫春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 天 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 眠 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 理 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 明 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 流 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 改 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 訳 春の野のうらわかに親みていとおほどかに恋もなりぬる 祝 春の野のうらわか親しみていとおほどかに恋もなりぬる 堺 春の野のうらわか親しみていとおほどかに恋もなりぬる 角 春の野のうらわか親しみていとおほどかに恋もなりぬる 河 春の野のうらわか親しみていとおほどかに恋もなりぬる 第06末摘花逸 皮ごろも上にきたれば我妹子わぎもこ)はきくことの皆身に沁(し)まぬらし 天 皮ごろも上に着たれば我妹子はきくことの皆身にしまぬらし 眠 皮ごろも上に着たれば我妹子はきくことの皆身にしまぬらし 理 革ごろも上に着たれば我妹子聞くことの皆身に沁まぬらし 明 革ごろも上に着たれば我妹子わぎもこ)は聞くことの皆身に沁まぬらし 流 革ごろも上に着たれば我妹子わぎもこ)は聞くことの皆身に沁まぬらし 改 皮ごろも上に著たれば我妹子わぎもこ)は聞くことの皆身に沁まぬらし 訳 皮ごろも上に着たれば我妹子聞くことの皆身に沁まぬらし 祝 皮ごろも上に着たれば我妹子聞くことの皆身に沁まぬらし 堺 皮ごろも上に着たれば我妹子聞くことの皆身に沁まぬらし 角 皮ごろも上に着たれば我妹子わぎもこ)は聞くことのみな身に沁(し)まぬらし 河 皮ごろも上に着たれば我妹子わぎもこ)は聞くことのみな身に沁(し)まぬらし 第07紅葉賀青海の波しづかなるさまを舞ふわかきこゝろは底に鳴れども 天 青海の波しづかなるさまを舞ふわかき心は底に鳴れども 眠 青海の波しづかなるさまを舞ふわかきこころは底に鳴れども 理 青海あおうみ)の波しづかなるさまを舞ふ若き心は底に鳴れども 明 青海あおうみ)の波しづかなるさまを舞ふ若き心は下(した)に鳴れども 流 青海あおうみ)の波しづかなるさまを舞ふ若き心は下(した)に鳴れども 改 青海あおうみ)の波しづかなるさまを舞ふ若き心はしたに鳴れども 訳 青海の波しづかなるさまを舞ふ若きこゝろは下に鳴れども 祝 青海の波しづかなるさまを舞ふ若き心はしたに鳴れども 角 青海の波しづかなるさまを舞ふ若き心は下に鳴れども 河 青海の波しづかなるさまを舞ふ若き心は下に鳴れども 第08花宴春の夜出たる月ならん手まくらかしぬわがかりぶしに 天 春の夜のもやに酔ひたる月ならん手まくらかしぬわがかりぶしに 眠 春の夜のもやによひたる月ならん手まくらかしぬわがかりぶしに 理 春の夜に酔ひたる月ならん手枕かしぬわが仮臥に 明 春の夜のに酔ひたる月ならん手枕たまくら)かしぬわが仮臥(かりぶし)に 流 春の夜に酔ひたる月ならん手枕たまくら)かしぬわが仮臥(かりぶし)に 改 春の夜のに酔ひたる月ならん手(た)まくらかしぬわが仮臥(かりぶし)に 訳 春の夜のもやにゑひたる月ならん手枕かしぬ我が仮ぶしに 祝 春の夜に酔ひたる月ならん手まくらかしぬわが仮臥に 角 春の夜のもやにそひたる月ならん手枕かしぬ我が仮ぶしに 河 春の夜のもやにそひたる月ならん手枕かしぬ我が仮ぶしに 第09うらめしと人をめにおくこともこれ身のおとろへに外ならぬかな 天 うらめしと人を目におくこともこれ身のおとろへに外ならぬかな 眠 うらめしと人を目におくこともこれ身のおとろへに外ならぬかな 理 恨めしと人を目におくことも是身の衰へに外ならぬかな 明 恨めしと人を目におくことも是身の衰へに外ならぬかな 流 恨めしと人を目におくことも是身の衰へに外ならぬかな 改 恨めしと人を目におくことも是身の衰へに外ならぬかな 訳 うらめしと人を目におくこともこれ身のおとろへにほかならずして 祝 恨めしと人を目におくことも是れ身の衰へに外ならぬかな 角 恨めしと人を目におくこともこそ身のおとろへにほかならぬかな 河 うらめしと人を目におくこともこそ身のおとろへに外ならぬかな 第10賢木逸 いすゞ川神のさかひへのがれきぬおもひ上りし人の身のはて 天 五鈴川神のさかひにのがれきぬ思ひ上りし人の身のはて 眠 いすゞ川神のさかひへのがれきぬおもひ上りし人の身のはて 理 五十鈴川神のさかひに逃れきぬ思ひ上(あが)りし人の身のはて 明 五十鈴川神のさかひへ逃れきぬ思ひ上(あが)りし人の身のはて 流 五十鈴川神のさかひへ逃れきぬ思ひ上(あが)りし人の身のはて 改 五十鈴川神のさかひへ逃れきぬ思ひ上がりし人の身のはて 訳 五十鈴川神のさかひへのがれきぬおもひ上がりし人の身のはて 祝 五十鈴川神のさかひへ逃れきぬ思ひ上がりし人の身のはて 角 五十鈴(いすず)川神のさかひへのがれきぬおもひあがりしひとの身のはて 河 五十鈴(いすず)川神のさかひへのがれきぬおもひ上(あが)りしひとの身のはて 第11花散里たちばなも恋のうれひもちりかへば香をなつかしみほとゝぎすなく 天 たちばなも恋のうれひもちりかへば香をなつかしみほとゝぎすなく 眠 たちばなも恋のうれひもちりかへば香をなつかしみほとゝぎすなく 理 も恋の愁ひも散りかへば香をなつかしみ牡鵑(ほととぎす鳴くも恋の愁ひも散りかへば香をなつかしみ牡鵑(ほととぎす鳴くも恋の愁ひも散りかへば香をなつかしみ杜鵑ほととぎす鳴くも恋の愁ひも散りかへば香をなつかしみほととぎす鳴くもこひの愁ひも散りかへば香をなつかしみほとゝぎす鳴くも恋の愁ひも散りかへば香をなつかしみほととぎす鳴くたちばな)も恋のうれひも散りかへば香(か)をなつかしみほととぎす鳴くたちばな)もこひの愁(うれ)ひも散りかへば香をなつかしみほとゝぎす鳴く12須磨逸 人こふる涙とわすれうら波にひかれゆくべき身とも思ひ天 人こふる涙とわすれうら波にひかれゆくべき身かとおもひぬ 眠 人こふる涙とわすれうら波にひかれゆくべき身ともおもひぬ 理 人恋ふる涙と忘れうら波に引かれ行くべき身とも思ひ明 人恋ふる涙と忘れ大海(おほうみ)へ引かれ行くべき身かと思ひ流 人恋ふる涙と忘れ大海(おほうみ)へ引かれ行くべき身かと思ひぬ 改 人恋ふる涙と忘れ大海(おほうみ)へ引かれ行くべき身かと思ひぬ 訳 人恋ふる涙と忘れ大海引かれ行くべき身かと思ひぬ 祝 人恋ふる涙と忘れ大海引かれ行くべき身かと思ひぬ 角 人恋ふる涙をわすれ大海引かれ行くべき身かと思ひぬ 河 人恋ふる涙をわすれ大海引かれ行くべき身かと思ひぬ 第13明石わりなく別れがたしと白玉のなみだを流す琴の音かな 天 わりなく別れがたしとしら玉の涙を流す琴の絃かな 眠 わりなくもわかれがたしとしら玉の涙をながす琴のおとかな 理 わりなく別れがたしと白玉の涙を流す琴のおとかな 明 わりなく別れがたしと白玉しらたま)の涙を流す琴の絃かな 流 わりなく別れがたしと白玉しらたま)の涙を流す琴の絃かな 改 わりなく別れがたしと白玉しらたま)の涙を流す琴のいとかな 訳 わりなくもわかれがたしとしら玉の涙を流す琴のいとかな 祝 わりなく別れがたしと白玉の涙を流す琴のいとかな 角 わりなくもわかれがたしとしら玉の涙をながす琴のいとかな 河 わりなくもわかれがたしとしら玉の涙を流す琴のいとかな 第14澪標逸 身をつくし逢はんと祈るみてぐらもわれのみ神に奉るらん 天 身をつくし逢はんと祈るみてぐらもわれのみ神に奉るらん 眠 みをつくし逢はんと祈るみてぐらをわれのみ神に奉るらん 理 みをつくし逢はんと祈るみてぐらをわれのみ神に奉るらん 明 みをつくし逢はんと祈る御幣みてぐら)もわれのみ神に奉るらん 流 みをつくし逢はんと祈る御幣みてぐら)もわれのみ神に奉るらん 改 みをつくし逢はんと祈る御幣みてぐら)もわれのみ神に奉るらん 訳 みをつくし逢はんと祈るみてぐらもわれのみ神に奉るらん 祝 みをつくし逢はんと祈る御幣みてぐら)もわれのみ神に奉るらん 角 みをつくし逢(あ)はんと祈るみてぐらもわれのみ神にたてまつるらん 河 みをつくし逢はんと祈るみてぐらもわれのみ神に奉(たてまつ)るらん 第15蓬生逸 道もなきよもぎを分けて君ぞこし誰にもまさる身のこゝちする 天 道もなき分けて君ぞこし誰にもまさる身のこゝちする 眠 道もなきよもぎを分けて君ぞこし誰にもまさる身の心地する 理 道もなき分けて君ぞ来し誰にも勝る身の心地する 明 道もなき分けて君ぞ来(こ)し誰にも勝(まさ)る身の心地する 流 道もなき分けて君ぞ来(こ)し誰にも勝(まさ)る身の心地する 改 道もなき分けて君ぞ来(こ)し誰れにも勝る身のここちする 訳 道もなき分けて君ぞこし誰れにもまさる身のこゝちする 祝 道もなき分けて君ぞ来し誰れにも勝る身のここちする 角 道もなき(よもぎ)をわけて君ぞこし誰(たれ)にもまさる身のここちする 河 道もなき(よもぎ)を分(わ)けて君ぞこし誰にもまさる身のここちする 第16関屋逢坂関の清水もこひ人のあつき涙もながるゝところ 天 逢坂関の清水もこひ人のあつき涙もながるゝところ 眠 逢坂関の清水恋人の熱き涙もながるゝところ 理 逢坂関の清水恋人の熱き涙もながるるところ 明 逢坂関の清水恋人の熱き涙もながるるところ 流 逢坂関の清水恋人の熱き涙もながるるところ 改 逢坂関の清水恋人の熱きなみだもながるるところ 訳 逢坂関の清水もこひ人の熱き涙もながるゝところ 祝 逢坂関の清水恋人の熱きなみだもながるるところ 角 逢坂(あふさか)は関の清水(しみづ)も恋人のあつき涙もながるるところ 河 逢坂おうさか)はせきの清水もこひ人のあつき涙も流るゝところ 第17絵合逢ひがたきいつきのみこ思ひにきさらにはるかになりゆくものを 天 あひがたきいつきのみこ思ひにきさらにはるかになりゆくものを 眠 逢ひがたきいつきのみことおもひにきさらにはるかになりゆくものを 理 逢ひがたき齋の女王思ひにき更にはるかになり行くものを 明 逢ひがたき齋(いつき)の女王(みこ)と思ひにき更にはるかになり行くものを 流 逢ひがたき齋(いつき)の女王(みこ)と思ひにき更にはるかになり行くものを 改 逢ひがたき齋(いつき)の女王(みこ)と思ひにき更にはるかになり行くものを 訳 あひがたきいつきの姫とおもひてきさらにはるかになりゆくものを 祝 逢ひがたき齋(いつき)の女王(みこ)と思ひにき更にはるかになり行くものを 角 あひがたきいつきのみことおもひてきさらに遥(はる)かになりゆくものを 河 会ひがたきいつきの姫(みこ)とおもひてきさらにはるかになりゆくものを 第18松風はしたなきもかぜかな泣けば泣け小琴をとれば同じ音をひく 天 はしたなきもかぜかな泣けば泣く小琴をとれば同じ音をひく 眠 はしたなきもかぜかな泣けば泣く小琴をとれば同じねをひく 理 はしたなきの風かな泣けば泣く小琴をとれば同じ音を弾く 明 あぢきなきの風かな泣けば泣き小琴(をごと)をとれば同じ音を弾く 流 あぢきなきの風かな泣けば泣き小琴(をごと)をとれば同じ音を弾く 改 あぢきなきの風かな泣けば泣き小琴(をごと)をとれば同じ音を弾く 訳 あぢきなきの風かな泣けばなき小琴をとればおなじ音を弾く 祝 あぢきなきの風かな泣けば泣き小琴をとれば同じ音を弾く 角 あぢきなきの風かな泣けばなき小琴をとればおなじ音を弾(ひ)く 河 あぢきなきの風かななけばなき小琴をとればおなじ音を弾く 第19薄雲さくらちる春の夕(ゆふべ)のうすぐもの涙となりておつるこゝちに 天 さくらちる春の夕うすぐものなみだとなりておつる心地眠 さくらちる春の夕うす雲のなみだとなりておつる心地に 理 ちる春の夕うす雲の涙となりておつる心地に 明 ちる春の夕うす雲の涙となりておつる心地に 流 ちる春の夕うす雲の涙となりておつる心地に 改 ちる春のゆふべのうす雲の涙となりておつる心地に 訳 さくらちる春の夕うすぐもの涙となりておつるこゝちに 祝 ちる春のゆふべのうす雲の涙となりておつる心地に 角 さくら散る春の夕(ゆふべ)のうすぐもの涙となりて落つ心地(ここち)に 河 さくらちる春の夕のうすくもの涙となりておつるこゝちに 第20朝顔逸 自らをあるか無きかの朝がほに似るてふ人を忘れかねつも 天 自らをあるか無きかの朝がほに似るてふ人を忘れかねつも 眠 自らをあるか無きかの朝がほににるてふ人の忘らかねつも 理 自らをあるか無きかの朝がほににるてふ人の忘らかねつも 明 自らをあるか無きかの朝顔と云ひなす人の忘られぬかな 流 自らをあるか無きかの朝顔と云ひなす人の忘られぬかな 改 自らをあるか無きかの朝顔と云ひなす人の忘られぬかな 訳 みづからあるかなきかの朝がほと云ひなす人の忘られぬかな 祝 自らをあるか無きかの朝顔と云ひなす人の忘られぬかな 角 みづからあるかなきかのあさがほと言ひなす人の忘られぬかな 河 みづからあるかなきかの朝がほと言ひなす人の忘られぬかな 第21少女乙女逸 列はずれ夜ぎりの中に雁ぞなく初恋をする少年の如 天 むれはなれ霧の中にて雁ぞなく初恋をする少年のごと 眠 つらはなれ夜ぎりの中に雁ぞなく初恋をする少年の如 理 つらはなれ夜ぎりの中に雁ぞなく初恋をする少年の如 明 雁鳴くや列(つら)を離れて唯だ一つ初恋をする少年の如 流 雁鳴くや列(つら)を離れて唯だ一つ初恋をする少年の如 改 雁鳴くや列(つら)をはなれて唯だ一つ初恋をする少年のごと 訳 雁(かり)なくやつらをはなれてただ一(ひと)つ初恋(はつこひ)をする少年しょうねん)のごと 祝 雁鳴くや列はなれて唯だ一つ初恋をする少年のごと 角 雁(かり)なくやつらをはなれてただ一つ初恋をする少年のごと 河 雁(かり)なくやつらをはなれてただ一つ初恋をする少年のごと 第22玉鬘火の国に生ひいでたればはづかしく頬の染ること多きわれかな 天 火の国に生ひいでたればはづかしく頬のそまること多きわれかな 眠 火の国に生ひいでたればはづかしくほのそまること多きわれかな 理 火の国に生ひ出たればはづかしく頬の染ること多きわれかな 明 火の国に生ひ出たれば云ふことの皆恥づかしく頬(ほ)の染まるわれ 流 火の国に生ひ出たれば云ふことの皆恥づかしく頬(ほ)の染まるわれ 改 火の国に生ひ出たれば云ふことの皆恥づかしく頬(ほ)の染まるわれ 訳 火(ひ)のくににおひいでたれば云(い)ふことの皆(みな)恥(はづか)しく頬(ほ)の染(そ)まるかな 祝 火の国に生ひ出たれば云ふことの皆恥づかしく頬の染まるわれ 角 火のくににおひいでたれば言ふことの皆恥づかしく頬(ほ)の染まるかな 河 火のくににおひいでたれば言ふことの皆恥づかしく頬(ほ)のそまるかな 第23初音若やかうぐひすぞなく初春の衣(きぬ)くばられし一人のやうに 天 若やかうぐひすぞなく初春の衣くばられし一人のやうに 眠 若やかうぐひすぞなく初春の衣くばられし一人のやうに 理 若やか鳴く初春衣配られし一人のやうに 明 若やか鳴く初春衣配(きぬくば)られし一人(ひとり)のごとく 流 若やか鳴く初春衣配(きぬくば)られし一人(ひとり)のごとく 改 若やかうぐひす鳴く初春衣配(きぬくば)られし一人(ひとり)のごとく 訳 若(わか)やかにうぐひすぞ啼(な)く初春の衣(きぬ)くばられし一人(ひとり)のやうに 祝 若やかうぐひす鳴く初春衣配られし一人のごとく 角 若やかうぐひすぞ啼(な)く初春の衣(きぬ)くばられし一人のやうに 河 若やかうぐひすぞ啼(な)く初春の衣(きぬ)くばられし一人のやうに 第24胡蝶逸 さかりなる御代(みよ)の后に金のしろがね奉る 天 さかりなる御代の后に金のしろがね奉る 眠 さかりなる御代の后に金のしろがね奉る盛りなる御代の后に金のしろがねたてまつる盛りなる御代の后(きさき)に金(きん)のしろがねたてまつる盛りなる御代の后(きさき)に金(きん)のしろがねたてまつる盛りなる御代の后(きさき)に金(きん)のしろがねたてまつる 訳 盛(さか)りなる御代(みよ)の后(きさき)に金(きん)の(てふ)しろがね花(とりばな)奉(たてまつ)る 祝 盛りなる御代の后に金のしろがねたてまつる盛りなる御代(みよ)の后(きさき)に金の(てふ)しろがねたてまつる盛りなる御代(みよ)の后(きさき)に金の(ちょう)しろがねたてまつる25逸 身にしみて物をおもへど夏の夜のほたるほのかに青ひきてとぶ 天 身にしみて物をおもへど夏の夜のほたるほのかに青ひきてとぶ 眠 身にしみてものを思へと夏の夜のほたるほのかに青ひきてとぶ 理 身に沁みて物を思へど夏の夜ほのかに青引きて飛ぶ 明 身に沁みて物を思へと夏の夜ほのかに青引きて飛ぶ 流 身に沁みて物を思へと夏の夜ほのかに青引きて飛ぶ 改 身に沁みて物を思へと夏の夜ほのかに青引きて飛ぶ 訳 身(み)にしみて物(もの)を思(おも)へと夏(なつ)の夜(よ)の(ほたる)ほのかに青引(あおひ)きてとぶ 祝 身に沁みて物を思へと夏の夜ほのかに青引きて飛ぶ 角 身にしみて物を思へと夏の夜ほのかに青引きてとぶ 河 身にしみて物を思へと夏の夜(ほたる)ほのかに青引きてとぶ 第26常夏逸 つゆおきてくれなゐいとゞ深けれどおもひわづらふなでしこ花 天 露おきてくれなゐいとゞ深けれどおもひ煩ふなでしこの花 眠 つゆおきてくれなゐいとゞふかけれどおもひわづらふなでしこの花 理 露置きてくれなゐいとど深けれどおもひわづらふ撫子の花 明 露置きてくれなゐいとど深けれ思ひ悩める撫子の花 流 露置きてくれなゐいとど深けれ思ひ悩める撫子の花 改 露置きてくれなゐいとど深けれ思ひ悩める撫子の花 訳 露置(つゆお)きてくれなゐいとど深(ふか)けれど思(おも)ひ悩(なや)める撫子なでしこ)の花(はな) 祝 露おきてくれなゐいとど深けれ思ひなやめる撫子花 角 露置きてくれなゐいとど深けれどおもひ悩めるなでしこの花 河 露置きてくれなゐいとど深けれどおもひ悩めるなでしこの花 第27篝火大きなるまゆみのもとにうつくしくかゞり火もえて涼かぜぞふく 天 大きなるまゆみのもとにうつくしくかゞり火燃えて涼かぜぞ吹く 眠 うつくしきかゞり火もえて大きなるまゆみのもとに涼かぜぞふく 理 大きなるの下に美しく篝火かがりび燃えて涼かぜぞ吹く 明 大きなる(まゆみ)の下(もと)に美しく篝火かがりび燃えて涼かぜぞ吹く 流 大きなる(まゆみ)の下(もと)に美しく篝火かがりび)もえて涼かぜぞ吹く 改 おほきなるの下(もと)に美しく篝火かがりび)もえて涼かぜぞ吹く 訳 大(おほ)きなるまゆみのもとに美(うつく)しくかがり火(ひ)もえて涼風すずかぜ)ぞ吹(ふ)く 祝 おほきなる(まゆみ)のもとに美しく篝火もえて涼かぜぞ吹く 角 大きなるまゆみのもとに美しくかがり火もえて涼風ぞ吹く 河 大きなるまゆみのもとに美しくかがり火もえて涼風ぞ吹く 第28野分けざやかうつくしき人いますなり野分がのぶる絵巻の奥に 天 けざやかうつくしき人いますなり野分がのぶる絵巻のおくに 眠 けざやかにうつくしき人いますなり野分がのぶる絵巻のおくに 理 けざやかうつくしき人いますなり野分がのぶる絵巻の奥に 明 けざやかにめでたき人ぞいました野分が開(あ)くる絵巻の奥に 流 けざやかめでたき人ぞいました野分が開(あ)くる絵巻の奥に 改 けざやかめでたき人ぞいました野分が開(あ)くる絵巻の奥に 訳 けざやかめでたき人(ひと)ぞ在(い)ましたる野分(のわき)が開(あ)くる絵巻(えまき)のおくに 祝 けざやかめでたき人ぞいました野分が開くる絵巻の奥に 角 けざやかめでたき人ぞ在(い)ましたる野分が開(あ)くる絵巻のおくに 河 けざやかめでたき人ぞ在(い)ましたる野分(のわき)が開(あ)くる絵巻のおくに 第29行幸ちるや日よりかしこくめでたさも上なき君の玉のおんこし 天 ちるや日よりかしこくめでたさも上なき君の玉のおんこし 眠 ちるや日よりかしこくめでたさも上なき君の玉のおんこし 理 ちるや日より畏くめでたさも上なき君の玉のおん輿 明 ちるや日より畏(かしこ)くめでたさも上(うへ)なき君の玉のおん輿 流 ちるや日より畏(かしこ)くめでたさも上(うへ)なき君の玉のおん輿 改 ちるや日より畏(かしこ)くめでたさも上(うへ)なき君の玉のおん輿 訳 (ゆき)ちるや日(ひ)よりかしこくめでたさも上(うえ)なき君(きみ)の玉(たま)のおん輿(こし) 祝 ちるや日より畏くめでたさも上なき君の玉のおん輿 角 ちるや日よりかしこくめでたさも上なき君の玉のおん輿 河 ちるや日よりかしこくめでたさも上なき君の玉のおん輿(こし) 第30藤袴逸 あはれなるはかまをば見よといふ二人泣きたき心地覚えて 天 あはれなる藤袴をば見よといふ二人泣きたき心地おぼえて 眠 あはれなるはかまをば見よといふ二人泣きたき心地おぼえてむらさきの藤袴をば見よと云ふ二人泣きたき心地覚えてむらさきの藤袴をば見よと云ふ二人(ふたり)泣きたき心地覚えてむらさきの藤袴をば見よと云ふ二人(ふたり)泣きたき心地覚えて 改 むらさきの藤袴をば見よと云ふ二人(ふたり)泣きたき心地覚えてむらさきのふぢばかまをば見(み)よと云(い)ふ二人(ふたり)泣(な)きたきここち覚(おぼ)えて 祝 むらさきの藤袴をば見よと云ふ二人泣きたき心地おぼえてむらさきのふぢばかまをば見よといふ二人泣きたきここち覚えてむらさきのふぢばかまをば見よ言ふ二人泣きたきここち覚えて31真木柱逸 こひしさもかなしきことも知らぬなり真木にならまほしけれ 天 こひしさもかなしきことも知らぬなり真木のはしらにならまほしけれ恋しさも恋しきこともしらぬなり真木にならまほしけれ恋しさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ恋しさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ恋しさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ恋しさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ 訳 こひしさも悲(かな)しきことも知(し)らぬなり真木(まき)の(はしら)にならまほしけれ恋しさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ 角 こひしさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ 河 こひしさも悲しきことも知らぬなり真木にならまほしけれ32梅枝かぐはしき春新しく来りけり光源氏の御むすめのため 天 かぐはしき春新しく来りけり光源氏のみむすめのため 眠 かぐはしき春新しく来りけり光源氏のみむすめのため 理 かぐはしき春新しく来りけり光源氏のみむすめのため 明 天地に春新しく来りけり光源氏ひかるげんじ)のみむすめのため 流 天地に春新しく来りけり光源氏ひかるげんじ)のみむすめのため 改 天地に春あたらしく来りけり光源氏ひかるげんじ)のみむすめのため 訳 天地あめつち)に春新(はるあたら)しく来(き)たりけり光源氏ひかるげんじ)のみ女(むすめ)のため 祝 天地に春あたらしく来りけり光源氏のみむすめのため 角 天地あめつち)に春新しくたりけり光源氏のみむすめのため 河 天地あめつち)に春新らしく来たりけり光源氏のみむすめのため 第33藤裏葉ばなのもとの根ざしは知らねどもおもひぞかはす白と紫 天 ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 眠 ふぢばなのもとのねざしはしらねどもおもひかはせる白と紫 理 ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 明 ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 流 ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 改 ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 訳 ふぢばなのもとの根(ね)ざしは知(し)らねども(えだ)をかはせる白(しろ)と紫(むらさき)ばなのもとの根ざしは知らねども思ひかはせる白と紫 角 ふぢばなのもとの根ざしは知らねどもをかはせる白と紫 河 ふぢばなのもとの根ざしは知らねどもをかはせる白と紫 第34若菜上逸 なみだこそ人をたのめばこぼれけれこゝろにまさりははかなかるらん 天 涙こそ人をたのめどこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 眠 なみだこそ人をたのめばこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 理 涙こそ人を頼めどこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 明 涙こそ人を頼めどこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 流 涙こそ人を頼めどこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 改 涙こそ人を頼めどこぼれけれ心にまさりははかなかるらん 訳 たちまちに知(し)らぬ花(はな)さくおぼつかな天(あめ)よりこしをうたがはねども 祝 たちまちに知らぬ花さくおぼつかな天よりこしをうたがはねども 角 たちまちに知らぬ花さくおぼつかな天(あめ)よりこしをうたがはねども 河 たちまちに知らぬ花さくおぼつかな天(あめ)よりこしをうたがはねども 第35若菜下恋するは身をのろはんにひとしとぞのろはれなきし現世後世も 天 恋するは身をのろはんにひとしとぞのろはれなきしこの世後世も 眠 恋するは身をのろはんにひとしとぞのろはれなきしこの世後世も 理 恋するは身をのろはんにひとしとぞのろはれなきしこの世後世も 明 二ごころ誰先づもちて淋しく悲しき世をば作り初めけん 流 二ごころ誰先づもちて淋しく悲しき世をば作り初めけん 改 二ごころ誰れ先づもちて寂しく悲しき世をば作り初めけん 訳 二ごころ誰(た)れ先(ま)づもちてさびしくも悲(かな)しき世(よ)をば作(つく)り初(そ)めけん 祝 二ごころ誰れ先づもちて寂しく悲しき世をば作り初めけん 角 二ごころたれ先(ま)づもちてさびしく悲しき世をば作り初(そ)めけん 河 二ごころたれ先づもちてさびしく悲しき世をば作り初(そ)めけん 第36柏木逸 二ごころ誰先づもちて恋しく淋しき夜をばつくりそめけん 天 死ぬ日にも罪むくひど知るきはの涙に似ざる火のしづくおつ 天 二ごころ誰先づもちて恋しく淋しき夜をばつくり初めけん 眠 死ぬ日にもつみむくいなどしるきはの涙に似ざる火のしづくおつ 理 死ぬ日にも罪報など知る際の涙に似ざる火のしづく落つ 明 死ぬ日にも罪報(つみむくい)など知る際(きは)の涙に似ざる火のしづく落つ 流 死ぬ日にも罪報(つみむくい)など知る際(きは)の涙に似ざる火のしづく落つ死ぬる日にも罪報(つみむくい)など知る際(きは)の涙に似ざる火のしづく落つ 訳 死(し)ぬる日(ひ)を罪(つみ)むくいなど云(い)ふきはの涙(な)に似(に)ざる火(ひ)のしづくおつ 祝 死ぬる日にも罪報いなど云ふ際の涙に似ざる火のしづく落つ死ぬる日を罪むくいなど言ふきはの涙に似ざる火のしづくおつ 河 死ぬる日を罪むくいなど言ふきはの涙に似ざる火のしづくおつ 第37横笛逸 なき人の手なれの笛によりてこしゆめのゆくへの寒き秋の夜 天 なき人の手なれの笛によりもこしゆめのゆくへのさむき夜末かな 眠 なき人の手なれの笛によりもこしゆめのゆくへのさむき夜末かな 理 亡き人の手馴の笛に寄り来し夢のゆくへの寒き夜半かな 明 亡き人の手馴(てなれ)の笛に寄りも来(こ)し夢のゆくへの寒き夜半かな 流 亡き人の手馴(てなれ)の笛に寄りも来(こ)し夢のゆくへの寒き夜半かな 改 亡き人の手馴(てなれ)の笛に寄りも来(こ)し夢のゆくへの寒き夜半かな 訳 亡(な)き人(ひと)の手(て)なれの笛(ふえ)に寄(よ)りもこし夢(ゆめ)のゆくへの寒(さむ)き夜半(よは)かな 祝 亡き人の手馴の笛に寄り来し夢のゆくへの寒き夜半かな 角 亡(な)き人の手なれの笛に寄りもこし夢のゆくへの寒き夜半(よは)かな 第38鈴虫逸 す釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ)の御弟子の君のためにと秋をきよむる 天 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子なる君がためにと秋をきよむる 眠 すゞむしは釈迦牟尼仏御弟子なる君がためにと秋を浄むる 理 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子の君のためにと秋を浄む明 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子(おんでし)の君のためにと秋を浄(きよ)むる 流 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子(おんでし)の君のためにと秋を浄(きよ)むる 改 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子(おんでし)の君のためにと秋を浄(きよ)むる 訳 すずむし釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ)のおん弟子(でし)の君(きみ)のためにと秋(あき)を浄(きよ)むる 祝 鈴むしは釈迦牟尼仏御弟子の君のためにと秋を浄む角 すずむしは釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ)のおん弟子(でし)の君のためにと秋を浄(きよ)むる 第39夕霧逸 つまどより清き男のいづるころ後夜の阿闇(あざり)のまう上るころ 天 つまどより清き男のいづるころ後夜の阿闇のまう上るころ 眠 つまどより清き男のいづるころ後夜の阿闇のまう上るころ 理 つま戸より清き男の出づる頃後夜の阿闇のまうのぼる頃 明 つま戸より清き男の出づる頃後夜(ごや)の律師のまうのぼる頃 流 つま戸より清き男の出づる頃後夜(ごや)の律師のまうのぼる頃 改 つま戸より清き男の出づる頃後夜(ごや)の律師のまうのぼる頃 訳 つま戸(と)より清(きよ)き男(おとこ)の出(い)づるころ後夜(ごや)の律師(りっし)のまう上(あが)るころ 祝 つま戸より清き男の出づる頃後夜の阿闇のまうのぼる頃 角 つま戸より清き男の出(い)づるころ後夜(ごや)の律師のまう上るころ 第39夕霧二訳 帰(かえ)りこし都(みやこ)の家(いえ)に音無(おとな)しの瀧(たき)はおちねど涙流(なみだなが)るる 角 帰りこし都の家に音無しの滝はおちねど涙流るる 第40御法逸 しづかなる真白き花と見ゆれどもともに死ぬまでかなしかりけり 天 しづかにもましろき花と見ゆれどもともに死ぬまで悲しかりけり 眠 しづかなる真白き花と見ゆれどもともに死ぬまでかなしかりけり 理 しづかなる真白き花と見ゆれども共に死ぬまで悲しかりけり 明 なほ春の真白き花と見ゆれども共に死ぬまで悲しかりけり 流 なほ春の真白き花と見ゆれども共に死ぬまで悲しかりけり 改 なほ春の真白き花と見ゆれども共に死ぬまで悲しかりけり 訳 なほ春(はる)のましろき花(はな)と見(み)ゆれどもともに死(し)ぬまで悲(かな)しかりけり 祝 なほ春のましろき花と見ゆれどもともに死ぬまで悲しかりけり 角 なほ春のましろき花と見ゆれどもともに死ぬまで悲しかりけり 第41帖 幻逸 大ぞらの日の光さへつくる日のやうやう近きこゝちこそすれ大空の日の光さへつきん日のやうやう近き心地こそすれ 眠 大ぞらの日の光さへつきん日のやうやく近き心地こそすれ 理 大空の日の光さへ尽きん日の漸く近き心地こそすれ 明 大空の日の光さへ尽くる日の漸く近き心地こそすれ 流 大空の日の光さへ尽くる日の漸く近き心地こそすれ大空の日のひかりさへ尽くる日のやうやく近き心地こそすれ大空おおぞら)の日(ひ)の光(ひかり)さへつくる世(よ)のやうやく近(しか)きここちこそすれ大空の日のひかりさへ尽く世のやうやく近きここちこそすれ大空の日の光さへつくる世のやうやく近きここちこそすれ 雲隠かきくらす涙(なみだ)か(くも)かしらねどもひかり見(み)せねばかかぬ一章(しよう) 角 かきくらす涙かかしらねどもひかり見せねばかかぬ一章 第42匂宮春の日のひかりの名残花ぞのに匂ひ薫るおもほゆかな 天 春の日の光の名残花ぞのに匂ひ薫るおもほゆるかな 眠 春の日の光の名残花ぞのに匂ひ薫るおもほゆるかな 理 春の日の光の名残花園に匂ひ薫るおもほゆるかな 明 春の日の光の名残花園(はなぞの)に匂ひ薫るおもほゆるかな 流 春の日の光の名残花園(はなぞの)に匂ひ薫るおもほゆるかな 改 春の日の光の名ごり花園はなぞの)に匂ひ薫るおもほゆるかな 訳 春(はる)の日(ひ)の光(はかり)の名残(なごり)花(はな)ぞのに匂(にほ)ひ薫(かを)るとおもほゆるかな 祝 春の日の光り名残り花ぞのに匂ひ薫るおもほゆるかな 角 春の日の光の名残(なごり)花ぞのに匂(にほ)ひ薫(かを)ると思ほゆるかな 第43紅梅うぐひすのこよやとばかり紅梅花のあるじのどやかにまつ 天 うぐひすのこよやとばかり紅梅花のあるじのどやかにまつ 眠 うぐひすのこよやとばかり紅梅花のあるじのどやかにまつ 理 うぐひす来よとばかり紅梅花のあるじのどやかに待つ 明 来よとばかり紅梅花のあるじのどやかに待つ 流 鶯来よとばかり紅梅花のあるじのどやかに待つ 改 来よとばかり紅梅花のあるじのどやかに待つ 訳 うぐひすもとはばとへかし紅梅こうばい)の花(はな)のあるじはのどやかに待(ま)つ 祝 うぐひすもとはばとへかし紅梅花のあるじのどやかに待つ 角 うぐひすも問はば問へかし紅梅花のあるじのどやかに待つ 第44竹河逸 姫達は常少女にて春ごとに花あらそひをくりかへせかし 天 姫達は常少女にて春ごとに花あらそひをくりかへせかし 眠 姫達は常少女にて春ごとに花あらそひをくりかへせかし 理 姫達は常少女にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 明 姫達は常少女(とこをとめ)にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 流 姫達は常少女(とこをとめ)にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 改 姫達は常少女(とこをとめ)にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 訳 姫達(ひめたち)は常少女(とこをとめ)にて春(はる)ごとに花(はな)あらそひをくり返(かえ)せかし 祝 姫達は常少女にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 角 姫たちは常少女(とこをとめ)にて春ごとに花あらそひをくり返せかし 第45橋姫逸 しめやかにこゝろのぬれぬ河ぎりの立ちまふ家はあはれなるかな 天 しめやかに心のぬれぬ川ぎりの立ちまふ家はあはれなるかな 眠 しめやかにこころのぬれぬ川ぎりの立ちまふ家はあはれなるかな 理 しめやかに心の濡れぬ河霧立ち舞ふ家はあはれなるかな 明 しめやかに心の濡れぬ河霧立ち舞ふ家はあはれなるかな 流 しめやかに心の濡れぬ河霧立ち舞ふ家はあはれなるかな 改 しめやかに心の濡れぬ河霧立ち舞ふ家はあはれなるかな 訳 しめやかにこころの濡(ぬ)れぬ川霧かわぎり)の立(た)ちまふ家(いえ)はあはれなるかな 祝 しめやかにこころの濡れぬ川霧の立ちまふ家はあはれなるかな 角 しめやかにこころの濡(ぬ)れぬ川霧の立ちまふ家はあはれなるかな 第46椎本有明の月よりましろけれかねの幽かにわたる時 天 有明の月涙より真白けれかねのかすかにわたる時 眠 春の川遊仙窟のあたりまでゆくやと船にものをとはまし 理 春の川遊仙窟のあたりまでゆくやと船にものをとはまし 明 暁(あけ)の月涙のごとく真白けれ御寺(みてら)の鐘のわたる時 流 暁(あけ)の月涙のごとく真白けれ御寺(みてら)の鐘のわたる時 改 暁(あけ)の月涙のごとく真しろけれ御寺(みてら)の鐘のわたるとき 訳 暁(あけ)の月(つき)涙(なみだ)のごとくましろけれ御寺(みてら)の鐘(かね)の渡(みずわた)る時(とき) 祝 朝の月涙のごとくましろけれ御寺の鐘の渡る時 角 朝の月涙のごとくましろけれ御寺(みてら)の鐘の渡る時 第47総角逸 心をば火のおもひにてやかましとおもひき身をばけぶりとぞする 天 心をば火のおもひにて焼かましと思ひき身をば煙にぞする 眠 こころをば火のおもひにてやかまし思ひき身をばけぶりにぞする 理 心をば火の思ひもて焼かましと思ひき身をば煙にぞする 明 心をば火の思ひもて焼かましと思ひき身をば煙にぞする 流 心をば火の思ひもて焼かましと思ひき身をば煙にぞする 改 心をば火の思ひもて焼かましと思ひき身をば煙にぞする 訳 心(こころ)をば火(ひ)の思(おも)ひもて焼(や)かましと思(おも)ひき身(み)をば煙(けむり)にぞする 祝 心をば火の思ひもて焼かましと願ひき身をば煙にぞする 角 心をば火の思ひもて焼かましと願ひき身をば煙にぞする 第48早蕨逸 さはらびの歌を法師君のこときことばをばしらぬめでたさ 天 さはらびの歌を法師君のこときことばをば知らぬめでたさ 眠 さはらびの歌を法師す君の如よきことばをばしらぬめでたさ早蕨の歌を法師す君のごとよき言葉をば知らぬめでたさ早蕨さわらび)の歌を法師す君のごとよき言葉をば知らぬめでたさ早蕨さわらび)の歌を法師す君のごとよき言葉をば知らぬめでたさ早蕨さわらび)の歌を法師す君のごとよき言葉をば知らぬめでたさ早蕨さわらび)の歌(うた)を法師(ほうし)す君(きみ)に似(に)ずよき言葉(ことば)をば知(し)らぬめでたさ早蕨の歌を法師君に似ずよき言葉をば知らぬめでたさ早蕨さわらび)の歌を法師君に似ずよき言葉をば知らぬめでたさ49宿木逸 おふけなく大御むすめをいにしへの人に似よとも祈りけるかな 天 なき人のかたみと見てもなぐさまぬ君をばなぞや今日も見にゆく 眠 おふけなく大みむすめをいにしへの人に似よとも祈りけるかな 理 おふけなき大みむすめを古の人に似よとも思ひけるかな 明 おふけなき大(おほ)みむすめを古の人に似よとも思ひけるかな 流 おふけなき大(おほ)みむすめを古の人に似よとも思ひけるかな 改 おふけなく大(おほ)みむすめを古の人に似よとも思ひけるかな 訳 あふけなく大御(おほみ)むすめをいにしへの人(ひと)に似(に)よとも思(おも)ひけるかな 祝 あふけなく大御むすめをいにしへの人に似よとも思ひけるかな 角 あふけなく大御(おほみ)むすめをいにしへの人に似よとも思ひけるかな 第50東屋逸 朝ぎりの中を来たればわが袖に君がはなだの色うつりけり 天 朝ぎりの中をきたればわが袖に君がはなだの色うつりけり 眠 朝ぎりの中をきつればわが袖に君がはなだの色うつりけり 理 朝霧の中を来たればわが袖に君がはなだの色うつりけり 明 朝霧の中(なか)を来つればわが袖に君がはなだの色うつりけり 流 朝霧の中(なか)を来つればわが袖に君がはなだの色うつりけり 改 朝霧の中(なか)を来つればわが袖に君がはなだの色うつりけり 訳 ありし世(よ)の(きり)来(き)て袖(そで)を濡(ぬ)らしけりわりなけれども宇治(うじ)近(ちか)づけば 祝 ありし世の来て袖を濡らしけりわりなけれども宇治近づけば 角 ありし世の来て袖を濡(ぬ)らしけりわりなけれども宇治近づけば 第51浮舟おぼつかに危きものとつねに見し小舟の上に自らをおく 天 二かたに心のよりてよりがたくまさなき恋と淋しき恋と 眠 かねてより危きものとおもひつる小舟の上に自らをおく 理 何よりも危きものとながめて小舟中に自らを置く 明 何よりも危きものとかねて見し小舟(こぶね)の中に自らを置く 流 何よりも危きものとかねて見し小舟(こぶね)の中に自らを置く 改 何よりも危きものとかねて見し小舟(こぶね)の中にみづからを置く 訳 何(なに)よりも危(あや)きものとかねて見(み)し小舟(こぶね)の中(なか)に自(みずか)らを置(お)く 祝 何よりも危きものとかねて見し小舟中に自らを置く 角 何よりもふきものとかねて見し小舟中にみづからを置く 第52蜻蛉ひと時は目に見しものをかげろふのあるかなきかをしらぬはかなき 天 ひとゝきは目に見しものをかげろふのありやなしや知らぬはかなさ 眠 ひとゝきはめに見しものをかげろふのあるかなきかをしらぬはかなき一時は目に見しものを蜻蛉あるかなきか知らぬ果敢な明 一時(ひととき)は目に見しものを蜻蛉かげろふ)のあるかなきか知らぬ果敢なさ 流 一時ひととき)は目に見しものを蜻蛉かげろふ)のあるかなきか知らぬ果敢なさ 改 ひと時は目に見しものを蜻蛉かげろふ)のあるかなきか知らぬ果敢なさ 訳 ひと時(とき)は目(め)に見(み)しものをかげろふのあるかなきかを知(し)らぬはかなき 祝 ひと時は目に見しものをかげろふのあるかなきか知らぬはかなきひと時は目に見しものをかげろふのあるかなきか知らぬはかなき53手習逸 さめがたかゆめのつゞきにあなかしこ法(のり)の御山程近く居る 天 さめがたかゆめのつゞきかあなかしこ法の御山程近く居る 眠 さめがたかゆめのつゞきかあなかしこ法の御山程近く居る 理 覚めがたか夢のつゞきかあなかしこ法の御山程近く居る 明 覚めがたか夢の半(なかば)かあなかしこ法(のり)の御山(みやま)に程近く居(い)る 流 覚めがたか夢の半(なかば)かあなかしこ法(のり)の御山(みやま)に程近く居(い)る 改 覚めがたか夢の半(なかば)かあなかしこ法(のり)の御山(みやま)に程近くゐる 訳 ほど近(ちか)き法(のり)の御山(みやま)をたのみたる女郎花をみなへし)かと見(み)ゆるなりけれ 祝 ほど近き法の御山をたのみたる女郎花かと見ゆるなりけれ 角 ほど近き法(のり)の御山(みやま)をたのみたる女郎花をみなへし)かと見ゆるなりけれ 第54夢浮橋逸 ほたるだにそれのよそへてながめつれ君がくるまの灯の渡りゆく 天 ほたるだにそれのよそへてながめつれ君がくるまの灯の渡りゆく 眠 ほたるだにそれのよそへてながめつれ君がくるまの灯の渡りゆく 理 だにそれとよそへて眺めつれ君が車の灯の渡りゆく 明 だにそれのよそへて眺めつれ君が車の灯の過ぎてゆく 流 だにそれのよそへて眺めつれ君が車の灯の過ぎてゆく 改 だにそれのよそへて眺めつれ君が車の灯の過ぎてゆく 訳 明(あ)けくれに昔(むかし)こひしきこころもて生(い)くる世(よ)もはたゆめのうきはし明けくれに昔こひしきこころもて生くる世もはたゆめのうきはし明けくれに昔こひしきこころもて生くる世もはたゆめのうきはし

※この「内容とその変遷」の解説は、「源氏物語礼讃歌」の解説の一部です。
「内容とその変遷」を含む「源氏物語礼讃歌」の記事については、「源氏物語礼讃歌」の概要を参照ください。

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