Extensible Messaging and Presence Protocol 特徴

Extensible Messaging and Presence Protocol

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 08:12 UTC 版)

特徴

Jabber は Jabber 社が開発した XML ベースのプロトコルである XMPP を採用している。他のメジャーなインスタントメッセンジャーはその仕様もプロトコルも非公開となっているのが普通だが、Jabber はサーバもクライアントもオープンソースであり、その仕様は全て公開されている(オープン標準)。そのため、たとえばメールサーバと同じように、ドメイン名サーバさえあれば自分専用の XMPP サーバを立ち上げることができる。この点でほかのインスタントメッセージと異なる。

他のインスタントメッセージングサービスゲートウェイとなる機能も持つ。この機能を利用し、Jabber クライアントから AOL Instant MessengerMSN Messenger(.NET Messenger Service)、Yahoo!メッセンジャーIRCICQ などのネットワークにメッセージを送ることができる。ただしサービスを提供しているサーバによっては、日本語が通らないこともある。

Google Talk は、Jabber を核にしたものである。

歴史

ジェリミー・ミラー英語版1998年に Jabber テクノロジーに取り組み始め、1999年1月4日に jabberd英語版 の最初のバージョンをリリースした[2]。初期の Jabber コミュニティはオープンソースソフトウェアに焦点を当てており、主に jabberd の開発をしていた(2000年5月にバージョン1.0、2000年10月にバージョン1.2、2001年2月にバージョン1.4を発表)が、一番の成果は XMPP プロトコルを作ったことである。

1999年から2000年に開発された初期の Jabber プロトコルは XMPP の基礎となり、XMPP は RFC 3920RFC 3921 として公表されている。(IETF の XMPP Working Group による規格化の際に主に変わった部分は、伝送路の暗号化用に TLS の追加と認証用に SASL が追加されたところである。)XMPPはよく SIMPLE (インスタントメッセージングプロトコル)英語版 の競合相手とみなされる。SIMPLE は Session Initiation Protocol (SIP) プロトコルを基礎とする、インスタントメッセージングとプレゼンス通知の標準プロトコルである[3][4]

XMPP をベースにした最初の IM サービスは Jabber.org であり、1999年以降連続稼動していて XMPP のアカウントをフリーで提供している[5]。1999年から2006年2月まではサービスに jabberd を使用していたが、それ以降は ejabberd英語版 に移行した。(どちらもフリーソフトウェアのサーバアプリケーションである。)2010年1月には Isode Ltd. によるプロプライエタリの M-Link へ移行する予定である[6]

2005年8月に GoogleGoogle Talk を発表した。これは VoIP と IM システムをあわせ持ち、インスタントメッセージングの機能に XMPP を使用していて、音声とファイル転送のシグナリングプロトコルのベースに XMPP を使用している。(最初のリリースにはサーバ間通信は含まれていなかったが、2006年1月17日にこの機能は有効になった。)[7]

2008年9月にシスコシステムズは Jabber, Inc. と商用プロダクトである Jabber XCP の開発者を買収した[8]

2010年2月、ソーシャルネットワーキングサイトの Facebook は XMPP を通してチャット機能をサードパーティのアプリに開放した[9]。Facebook の開発者のサイトでは、次のように注意を呼びかけている。Facebook のチャットは内部で実際に XMPP サーバを稼働させているわけではなく、単にクライアントに XMPP のインターフェースを提供しているだけである。したがって、ユーザリストの編集など、サーバサイドの機能は XMPP 経由ではできないことがある[10]

Google Talk だけでなく、多くの公共 IM サービスが XMPP を採用しており、Live Journal の LJ Talk[11] や Nokia の Ovi[12] などがそうである。さらに、企業の IM ソフトウェアプロダクトには、ネイティヴでは XMPP を使用できなくても XMPP へのゲートウェイを含むものがある。例えば、IBM Lotus Sametime[13][14]Microsoft Office Communications Server (OCS)[15]などである。

長所

  • 中央サーバを持たない : XMPP ネットワークの構造は電子メールに似ており、誰でも自分の XMPP サーバを立てることができるので、中央サーバが存在しない。
  • オープン標準 : XMPP はインスタントメッセージングサービスとプレゼンス技術として XMPP という名前で IETF により承認された。XMPP の仕様は RFC 3920RFC 3921 として公表されている。これらを実装するのにロイヤルティーは一切かからず、特定のベンダーに縛られることがない。
  • 歴史 : XMPP は1998年から利用されている。XMPP 標準のクライアント、サーバ、コンポーネント、ライブラリの実装は数多くあり、サン・マイクロシステムズや Google などの大きな企業に支えられている。
  • セキュリティ : XMPP サーバは公共の XMPP ネットワークから切り離してもよく(例えば、会社でのイントラネットなど)、強固なセキュリティ(SASL や TLS を使用)が XMPP のコアに組み込まれている。伝送路の暗号化を促進するために、2009年10月30日まではXMPP Standards Foundationxmpp.netに中間認証局の設置も行っており、XMPP サーバの管理者にフリーのデジタル証明書を提供していた。また、PGPによるエンドツーエンドの暗号化にも対応している。
  • 柔軟性 : XMPP に加えてカスタムの機能を実装できる。相互運用性を保つために、一般的な拡張は XMPP Software Foundation により管理されている。IM 以上の機能を持つ XMPP アプリケーションとして、ネットワークマネージメント、コンテンツ配信、グループウェア、ファイル共有、ゲーム、リモートシステムの監視などがある。

  1. ^ Jabber Inc. - About Us
  2. ^ Open Real Time Messaging System
  3. ^ "XMPP rises to face SIMPLE standard", Infoworld magazine, April 17, 2003 XMPP rises to face SIMPLE standard
  4. ^ "XMPP vs SIMPLE: The race for messaging standards", Infoworld magazine, May 23, 2003 Infoworld.com
  5. ^ Chatting Up the Chef Linux Journal March 1, 2003 by Marcel Gagné
  6. ^ Jabber.org - XMPP Server Migration” (2009年8月12日). 2009年12月14日閲覧。
  7. ^ Burd, Gary (2006年1月17日). “XMPP Federation”. 2007年11月30日閲覧。
  8. ^ Cisco Announces Definitive Agreement to Acquire Jabber”. 2010年1月2日閲覧。
  9. ^ Facebook Chat Now Available Everywhere”. 2010年2月11日閲覧。
  10. ^ Integrating with Facebook Chat”. 2010年2月21日閲覧。
  11. ^ Question FAQ #270
  12. ^ Ovi Contacts
  13. ^ "Lotus Sametime 7.5 Interoperates with AIM, Google Talk", eWeek, December 6, 2006 Eweek.com
  14. ^ "Lotus ships gateway to integrate IM with AOL, Yahoo, Google", Network World, December 6, 2006 Networkworld.com
  15. ^ "Unified Communications: Uniting Communication Across Different Networks", Microsoft Press Release, October 1, 2009 Microsoft.com
  16. ^ [Standards-JIG] Distribution of stanza types
  17. ^ [Standards-JIG] proto-JEP: Smart Presence Distribution






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

Extensible Messaging and Presence Protocolのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Extensible Messaging and Presence Protocolのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのExtensible Messaging and Presence Protocol (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS