芸術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 09:30 UTC 版)
概説
美学者の佐々木健一は、広義のart(仕業)を、「人間が自らの生と生の環境とを改善するために自然を改造する力」と定義している[1]。その中でも特に、芸術とは、予定された特定の目的に鎖されることなく、技術的困難を克服し、現状を越え出てゆこうとする精神の冒険性に根ざし、美的コミュニケーションを志向する活動であるとする[1]。この活動は作品としてコミュニケーション媒体となる[1]。時代や場所によって、その形態や機能は変化する[1]。芸術の定義をめぐる問いは美学の分野で議論・研究されている。
日本では「藝術󠄁(芸術)」が明治期になって新しい語として使用されるようになったため、近代以前の『伝統芸術』を芸道と呼んだり、また芸能とも呼ばれ、「芸術」とは意味が異なるものとして想定される場合もあり、語用統一されていない。
なお芸能は、芸術の諸ジャンルのうち、人間の身体をもって表現する技法と定義され、職業として芸能に携わる者を芸能人と呼ぶとされるが[5]、これは「身体芸術」とも「舞台芸術」ともまた異なる概念である。
分類
表現者が、どのような手段、媒体を用いるかによって、芸術を多くのジャンルに分けることができる。下記は、芸術の表現方法のうち、歴史的に比較的様式の定まった具体区分に、詳細な学説的分類を加えたものである。
文芸
美術
音楽
総合芸術
デザイン
- デザイン(応用芸術)
- ファッション
- 衣服
- テキスタイル
- グラフィック
- 工業デザイン
- インダストリアルデザイン
- インタラクションデザイン
- プロダクトデザイン
- ユニバーサルデザイン
- メカニズムデザイン
- カーデザイン
- CAD(コンピューター・デザイン)
- ストラクチャーデザイン
- スペースデザイン
- 空間デザイン
- インテリアデザイン
- ランドスケープデザイン
- アーバンデザイン
- ペーブメントデザイン
- 構造デザイン
- グラフィックデザイン
- ビジュアルデザイン
- パッケージデザイン
- キャラクターデザイン
- ウェブデザイン
- ゲームデザイン
- タイポグラフィ
- エディトリアルデザイン
- ブックデザイン
- ジャケットデザイン
- 情報デザイン
- 環境デザイン
- フラワーデザイン
- ガーデンデザイン
- エコロジカルデザイン
- エクステリアデザイン
- サウンドデザイン
- 音響デザイン
- 照明・ディメンション・デザイン
- フードデザイン
- コミュニケーションデザイン
- プロセスデザイン
- ペルソナデザイン
- ボディデザイン
- メカニックデザイン
- メタデザイン
- ユーザーエクスペリエンスデザイン
- 参加型デザイン
- 先端デザイン
- パブリックデザイン
- トータルデザイン
その他
- 芸能
- 芸道
- 武芸
- 茶道
- 香道
- 料理
- 菓子
- 漫画
- アニメ
- 前衛演劇
- アヴァンギャルド
- インスタレーション
- イラストレーション
- イルミネーション
- アンダーグラウンド (文化)
- カウンター・カルチャー
- アクアリウム
他の分類
上記分類は、表現者が一定の枠内に収まった表現方法を用いた場合に分類可能となるというだけであって、表現者がこれらの枠に収まらない表現を用いる場合や、複数の表現を組み合わせたりする場合なども多い。より包括的な分類方法として「空間芸術」・「時間芸術」・「総合芸術」・「大衆芸術」などもある。
空間芸術とは、物を用い、空間に形を表現する芸術であり、二次元(絵画・平面装飾など)的なものと三次元(彫刻・建築など)的なもの、その複合も存在する。その空間だけで一瞬ですべてを表現する芸術である。
時間芸術とは、文芸・音楽・演劇・映画など、ある一定の時間をかけて(物語性のあるものを)鑑賞する芸術。時間芸術と空間芸術は対義語であるといえる。
総合芸術とは各種芸術が協調・調和した形式でオペラ(歌劇)・映画などがこう呼ばれる。
また、ある作品や活動の程度が非常に高いとき、これを芸術と呼ぶ場合がある。この用法では、作品や活動の独創性は要件に入らない。
用語解説
- 退廃芸術 - ナチスが近代美術を、道徳的・人種的に堕落したもので、ドイツの社会や民族感情を害するものであるとして禁止するために打ち出した芸術観
- 反芸術 - 伝統的な展覧会の文脈の中で展示されながら、真剣な芸術をあざ笑うかのような内容を持つ作品、また芸術というものの本質を問い直し変質させてしまうような作品
- 教祖祭PL花火芸術 - パーフェクト リバティー教団(PL) の宗教行事
- イランの芸術 - イラン文化圏(Greater Iran)における芸術
- 世紀末芸術 - 1890年代から20世紀初頭にかけて、おもにヨーロッパの都市を中心に流行した諸芸術のなかで一定の傾向を示す一群
注釈
出典
- ^ a b c d e 佐々木健一 1995, p. 31.
- ^ 『後漢書』5巻孝安帝紀の永初4年(110年)2月の五経博士の劉珍及による「校定東觀 五經 諸子 傳記 百家蓺術 整齊脫誤 是正文字」の「蓺術」等の用例に由来する。
- ^
范曄 (中国語), 後漢書/卷5, ウィキソースより閲覧。
- ^ 早稲田大学図書館古典籍総合データベース https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/chi06/chi06_03890_0185/index.html
- ^ ウィキペディア項目「芸能」参照
- ^ 世界大百科事典内言及. “聴覚芸術(ちょうかくげいじゅつ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年6月5日閲覧。
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