双眼鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 21:51 UTC 版)
使用法
眼幅の調整
玩具や防振型、固定架台上の大型双眼鏡を除き、ほとんどの双眼鏡は中心軸(左右の鏡胴の中間にあり、双方を連結しているピン)のところで蝶番のように全体を折り曲げることで眼幅(左右瞳孔の間隔)に接眼レンズの光軸の間隔を合わせるようになっている。一度正しく調整した後は中心軸の接眼側にある目盛によって眼幅を知り、次回からすぐに合わせることができる。
焦点距離の調整(ピント合わせ)
多くの双眼鏡ではセンターフォーカス(CF)方式といい、中心軸にあるリングで両方の鏡胴の焦点を同時に変更できるようになっているが、防水型では左右両方に調整リングがあり、それぞれ独立に調整するようになっている(独立調整(IF)方式)。動物とくに野鳥の観察には、すばやく焦点距離の調節が出来るCF方式が便利だが、防水式の主な用途である海上及び軍用では焦点の素早い調節はあまり必要でないため、左右独立式でも大きな不便はない。同様に天体観測用の大型双眼鏡もIF方式が多い。双眼鏡によって最短合焦距離は1メートル程から80メートル以上と様々で、特に短いものは美術品の鑑賞にも使われる。
視度の調整
左右の眼の視力に差がある場合、両目ともにピントの合った像を得るためには左右の光学系の焦点調整に差を付ける必要がある。左右独立に焦点調整するタイプでは通常の焦点調整によって差を付けることが可能である。中央の調整リングで左右の焦点距離を同時に調整するタイプでは、片方(多くの場合、右眼側)の接眼レンズの近くにあるダイヤル、あるいは中央の調整リングを引き出す、などの方法で視度の調整が可能である。厳密には観察対象までの距離に応じて視度調整を微調整をする必要があるが、通常、一度調節すれば以後行わなくても大きな支障はない。
測距と採寸
レチクルとよばれる照準目盛が描かれている双眼鏡では、距離を測定したり、相手の大きさを計ることができる。また、応用として相手の速度の算出も可能であるが、あくまで概略を簡易計算する程度に過ぎない。測距では、相手の大きさをすでに知っている必要があり、採寸では相手までの距離をすでに認知していることが前提条件となる。
持ち方
陸上では両手の指を全て(親指は下に)鏡胴にまわし、軽く掴むように持つのが普通だが、漁船など小型船舶では船の揺れに抗して対象を視野の中央に保つため、指をほとんどあるいは完全に開いて、両手の指の付け根あたりで鏡胴を左右から挟んで保持する方法も場合によっては使われる。
視軸の調整
左右の光学系の光軸を、平行に、あるいは一定距離の被写体で交差するように調整することで、正しく両眼視でき、また疲れないで使用できる状態になる。この調整は、通常、工場やサービスセンターなどで実施される。
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