中華人民共和国の国際関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/19 04:04 UTC 版)
概要
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2021年7月) |
1949年に中華人民共和国が成立する前から、中国大陸は多くの出来事を含む激しい変動を経てきたが、その歴史の概要を把握するためには清朝とアヘン戦争の時代まで遡る必要がある。
中華人民共和国の外交政策の目標は世界の中で力強く、独立し、団結した大国である中国を作り出すことである。中華人民共和国の外交はこの目標を踏襲している。世界最多規模の領土紛争に関与し、言論の自由や民主化運動を弾圧し、東北アジアと東南アジアの一帯に影響力を拡大している事から解る通り、「富国強兵」や「大東亜共栄圏」に象徴される大日本帝国の領土拡張主義に極めて近い。中華人民共和国の軍拡政策と領土拡張政策や政治的抑圧は、近隣諸国から危惧の視線を向けられている。
最近の中華人民共和国の外交政策立案者は、国際関係論において自由主義ではなく現実主義と接近しているようである。しかし、ソビエト連邦やアメリカ合衆国とは対照的に、冷戦時代のように共産主義や民主主義のようなイデオロギーを世界に拡散させることには興味を持っていない。
20世紀前半における中国(当時は中華民国)の外交政策は、欧米日の植民地主義時代の被害者意識と屈辱的な過去から脱却することを決意する感情に基づいていた。
中華人民共和国政府は、全領土における主権を主張しており、中華民国政府(台湾)、チベット亡命政府、東トルキスタン共和国亡命政府との外交関係を一切認めていない。一方で、中華民国政府も1949年までの全領土における主権を主張しており、中台関係の緊迫を生んでいる。
中華人民共和国に対するグローバルな認識
調査対象国 | 肯定 | 否定 | どちらでもない | 肯定-否定 |
---|---|---|---|---|
日本 | 9% |
86% |
5 | -77 |
スウェーデン | 14% |
85% |
1 | -71 |
オーストラリア | 15% |
81% |
4 | -66 |
デンマーク | 22% |
75% |
3 | -53 |
イギリス | 22% |
74% |
4 | -52 |
アメリカ | 22% |
73% |
5 | -51 |
韓国 | 24% |
75% |
1 | -51 |
カナダ | 23% |
73% |
4 | -50 |
オランダ | 25% |
73% |
2 | -48 |
ベルギー | 24% |
71% |
5 | -47 |
ドイツ | 25% |
71% |
4 | -46 |
フランス | 26% |
70% |
4 | -44 |
スペイン | 36% |
63% |
1 | -27 |
イタリア | 38% |
62% |
0 | -24 |
調査対象国 | 肯定 | 否定 | 肯定-否定 |
---|---|---|---|
スペイン | 15% |
68% |
–53 |
アメリカ | 22% |
70% |
–48 |
インド | 19% |
60% |
–41 |
トルコ | 29% |
54% |
–25 |
フランス | 35% |
60% |
–25 |
インドネシア | 28% |
50% |
–22 |
イギリス | 37% |
58% |
–21 |
ドイツ | 20% |
35% |
–15 |
カナダ | 37% |
51% |
–14 |
オーストラリア | 46% |
47% |
–1 |
ブラジル | 45% |
38% |
7 |
ギリシャ | 37% |
25% |
12 |
ペルー | 49% |
34% |
15 |
ロシア | 44% |
23% |
21 |
メキシコ | 55% |
26% |
29 |
ケニア | 63% |
27% |
36 |
パキスタン | 63% |
12% |
51 |
ナイジェリア | 83% |
9% |
74 |
中国 | 88% |
10% |
78 |
調査対象国 | 肯定 | 否定 | 肯定-否定 |
---|---|---|---|
チェコ | 25% |
69% |
–44 |
フランス | 21% |
63% |
–42 |
ルクセンブルク | 24% |
61% |
–37 |
ドイツ | 26% |
61% |
–35 |
スウェーデン | 31% |
64% |
–33 |
イタリア | 29% |
60% |
–31 |
スペイン | 29% |
59% |
–30 |
オランダ | 32% |
60% |
–28 |
デンマーク | 32% |
59% |
–27 |
ベルギー | 34% |
61% |
–27 |
オーストリア | 34% |
57% |
–23 |
フィンランド | 36% |
55% |
–19 |
マルタ | 30% |
47% |
–17 |
スロベニア | 41% |
53% |
–12 |
ポーランド | 37% |
48% |
–11 |
ハンガリー | 40% |
50% |
–10 |
ポルトガル | 36% |
45% |
–9 |
スロバキア | 36% |
44% |
–8 |
アイルランド | 39% |
47% |
–8 |
ギリシャ | 45% |
49% |
–4 |
イギリス | 39% |
41% |
–2 |
エストニア | 43% |
35% |
8 |
リトアニア | 49% |
36% |
13 |
クロアチア | 54% |
39% |
15 |
ブルガリア | 47% |
31% |
16 |
ルーマニア | 56% |
34% |
22 |
ラトビア | 51% |
29% |
22 |
キプロス | 58% |
27% |
31 |
BBCワールドサービスやピュー・リサーチ・センターやユーロバロメーターが定期的に実施している世界各国を対象とした対他国感情に関する調査によれば、調査対象国における対中・対中国人感情は否定的な回答を示しており、中国は世界に対して悪影響を与えていると評価されている。なかでも人権意識が強い欧米諸国は、チベット問題やウイグル問題や香港問題の影響から、中国に対する悪感情が形成されており、中国を否定的にとらえる回答が多い傾向にある。さらに、2020年にパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症が主要因となり、中華人民共和国国家安全部のシンクタンクである現代国際関係研究院は、反中感情が天安門事件以来の高まりとなっていると結論づけており[4]、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、欧州連合などの欧米諸国に限らず、係争地域で死者の出る衝突が起きたインド、韓国、日本、南シナ海問題を抱える東南アジア諸国連合関係国などのアジア諸国を含む国際社会での反中感情は過去最悪となっている[5]。
2020年にシンガポールのシンクタンクであるISEASユソフ・イサーク研究所がASEAN諸国の政府高官、学者、専門家など1300人を対象に実施した調査によると、ASEAN諸国では中国の政治・経済的影響力への警戒感が広がっており、中国に不信感があるという割合は、2019年の52%弱から2020年には60%強に上昇し、また40%近くが「中国は現状の秩序を打ち壊そうとする勢力で、東南アジアを自らの影響圏に入れようとしている」との認識を示した[6]。ISEASユソフ・イサーク研究所は、「中国の著しい、そしてなお増大し続けている影響力に対する地域の懸念は、中国による強大なパワーの使い方に不透明感があるからだ」として、中国の台頭が平和的ではないとの懸念を高めていると指摘しており、特に中国に対する不信感は、南シナ海問題で中国と争っているベトナムとフィリピンで際立っている[6]。
2021年5月、中国の習近平総書記(国家主席)は「自信を示すだけでなく謙虚で、信頼され、愛され、尊敬される中国のイメージづくりに努力しなければいけない」と語り、外国から「愛される中国のイメージづくり」を指示し、中国共産党が組織的に取り組み、予算を増やし、「知中的、親中的な国際世論の拡大」を実現するよう対外情報発信の強化を図るよう訴えた[7]。これは近年の中国外交は批判に対して攻撃的に反論する戦狼外交を展開してきたが、戦狼外交は中国内では支持を得ているが、国際社会では反中感情を高めており、高圧的な対外発信で中国の好感度が下がっていることへの反省があるとみられる[7]。
- ^ “Unfavorable Views of China Reach Historic Highs in Many Countries”. Pew Research Center (2020年10月6日). 2021年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月21日閲覧。
- ^ “2017 BBC World Service poll”. BBC. p. 36 (2017年7月4日). 2021年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月21日閲覧。
- ^ “China's Image in Greece (page 33)”. p. 33 (2018年10月). 2021年6月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月21日閲覧。
- ^ “コロナ受け「反中感情は天安門事件以来の高まり」 中国が報告書 ロイター報道”. 毎日新聞. (2020年5月5日). オリジナルの2021年2月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ “コラム:中国、世界で最も「扱いにくい貿易相手国」に”. ロイター. (2020年6月29日). オリジナルの2020年9月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “東南アジア諸国、米の後退に伴う中国台頭に警戒感増大=調査”. ロイター. (2020年1月16日). オリジナルの2020年3月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “「愛される中国」目指せ 習氏、イメージアップ指示”. 時事通信. (2021年6月6日). オリジナルの2021年6月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Japan courts India to counter China: Analysts”. エコノミック・タイムズ. (2007年8月23日). オリジナルの2020年10月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ The Hindu News Update Service Archived 2012-11-02 at the Wayback Machine.
- ^ “EU arms embargo against China”. taiwandc. (2005年5月7日). オリジナルの2021年3月9日時点におけるアーカイブ。
- ^ 産経新聞. (2007年3月5日)
- ^ 産経新聞. (2007年2月26日)
- ^ a b “議長サミット「達成感」でひと区切り 河野議長引退表明”. 朝日新聞. (2008年9月18日). オリジナルの2008年9月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ “歴史問題、永遠に言い続けよ」江沢民氏、会議で指示”. 読売新聞. (2006年8月10日). オリジナルの2006年8月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ 宮家邦彦 (2011年3月18日). “中国とモンゴル:中国を毛嫌いするモンゴル人 DNAに記録された蛮行の歴史~中国株式会社の研究(102)”. JBpress (日本ビジネスプレス). オリジナルの2011年3月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c “習近平が「中国人嫌い」な“あの国”を訪問した意図とは?”. 日刊SPA!. (2014年8月29日). オリジナルの2014年8月29日時点におけるアーカイブ。
- ^ “モンゴ政務週間動向(2008.05.19-05.25)”. 在モンゴル日本国大使館. オリジナルの2021年6月2日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 前川愛 (2007年10月16日). “朝青龍問題 ナショナリズム高揚の反映 現代のモンゴルを読み解く”. エコノミスト (毎日新聞出版): p. 44-46
- ^ “極右化するモンゴルの反中感情、強まる警戒感”. AFP. (2010年9月1日). オリジナルの2021年2月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 宮家邦彦 (2011年3月18日). “中国とモンゴル:中国を毛嫌いするモンゴル人 DNAに記録された蛮行の歴史~中国株式会社の研究(102)”. JBpress (日本ビジネスプレス). オリジナルの2011年3月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ “海外安全ホームページ:安全対策基礎データ”. 外務省. (2012年5月8日). オリジナルの2012年12月10日時点におけるアーカイブ。
- ^ Marvin C. Ott (2005年7月22日). “CHINA’S STRATEGIC REACH INTO SOUTHEAST ASIA”. 米中経済安全保障審査委員会. オリジナルの2006年7月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Chinese-funded port in Baluchistan to give Beijing direct access to the Middle East”. AsiaNews. (2007年3月22日). オリジナルの2007年9月29日時点におけるアーカイブ。
- ^ “China-Pakistan rail link on horizon”. アジア・タイムズ・オンライン. (2007年2月24日). オリジナルの2007年2月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Boost all-weather partnership between China, Pakistan”. 人民日報. (2005年4月5日). オリジナルの2007年11月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ Tarique Niazi (2005年4月26日). “China's March on South Asia”. The UCLA Asia Institute. オリジナルの2005年5月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ “印メディア:中国がモルディブで潜水艦基地建設か”. 中国網. (2013年3月22日). オリジナルの2018年7月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ Simon Henderson (2004年9月15日). “China and Oil: The Middle East Dimension”. ワシントン近東政策研究所. オリジナルの2005年3月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ Richard L. Russell (2005年9月6日). “CHINA'S WMD FOOT IN THE GREATER MIDDLE EAST'S DOOR”. 中東国際問題レビュー. オリジナルの2005年12月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ Chietigj Bajpaee (2006年3月14日). “China stakes its Middle East claim”. アジア・タイムズ・オンライン. オリジナルの2006年3月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “Israel and China cultivate agricultural ties”. 中華人民共和国駐イスラエル大使館. (2003年9月21日). オリジナルの2006年6月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ David Isenberg (2002年12月4日). “Israel's role in China's new warplane”. アジア・タイムズ・オンライン
- ^ “China's hi-tech military disaster”. The Times. (2006年6月11日)
- ^ Helen Kaye (2007年5月21日). “China celebrates”. The Jerusalem Post
- ^ “Central Asia: China's Mounting Influence”. イェールグローバル化研究センター. (2004年11月24日). オリジナルの2004年12月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ “China’s Influence in Africa: Implications for the United States”. ヘリテージ財団. (2006年2月22日). オリジナルの2006年3月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ Brian Smith (2006年4月10日). “Western concern at China’s growing involvement in Africa”. 第4国際国際委員会. オリジナルの2006年4月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ Donovan C. Chau (2007年3月). “POLITICAL WARFARE IN SUB-SAHARAN AFRICA:U.S. CAPABILITIES AND CHINESE OPERATIONS IN ETHIOPIA, KENYA,NIGERIA, AND SOUTH AFRICA”. アメリカ陸軍戦略大学. オリジナルの2007年6月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ Peter T.R. Brookes (2005年4月6日). “China’s Influence in the Western Hemisphere”. ヘリテージ財団. オリジナルの2005年9月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Caribbean sees China acquire more influence”. コロンビアデイリートリビューン. (2005年2月20日). オリジナルの2005年12月8日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Cuba turns to China for transpo needs”. ユナイテッド・トランスポーテーション・ユニオン. (2006年3月10日). オリジナルの2007年9月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ Al Pessin (2006年3月15日). “China Increasing Military Ties in Latin America as Law Restricts US Military”. GlobalSecurity.org. オリジナルの2006年3月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c d e f “China”. ザ・ワールド・ファクトブック. オリジナルの2010年2月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ Ugyen Penjore (2010年1月14日). “Joint field survey next on agenda” (英語). Kuensel Newspaper. 2011年11月21日閲覧。
- ^ “最近のブータン情勢と日本・ブータン関係”. 外務省. オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ 河添恵子「中国に侵蝕されるブータン王国」『WiLL』、ワック・マガジンズ、2010年11月。
- 1 中華人民共和国の国際関係とは
- 2 中華人民共和国の国際関係の概要
- 3 外交政策担当機関
- 4 国及び地域ごとの外交関係
- 5 国際問題
- 6 国際機関
- 7 文献案内
- 中華人民共和国の国際関係のページへのリンク