救助作業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 07:33 UTC 版)
「トランスアジア航空235便墜落事故」の記事における「救助作業」の解説
台北市政府消防局は、基隆河に墜落した機体から乗客を救出するべく、大型クレーンやインフレータブルボートを用い、ダイバー隊も動員した。しかしながらダイバー隊員たちは濁った川の水や鋭利な残骸などに阻まれ、作業は危険を伴い難航を極めた。救助のため機体をクレーンで吊り上げたところ、コックピットおよび客室前方はほぼ全壊だった。 2月7日になると川の濁りが収まって水位も下がり、救助活動がしやすくなったため装備や救助隊員が拡充された。増員による578名の動員、金属探知機の使用、人の輪による環状検索など総力を挙げており、新たに5名の遺体が発見された。 2月8日の政府の事故対策本部の発表によると、陸海空による絨毯式の総当たり体制で対応しており、新たな捜索範囲として、基隆河の合流先である本川、淡水河の河口までとその範囲を拡大し、船舶やヘリコプターなどによる目視検索を中心に捜索が行われた。 捜索の実態は厳しく、折からの寒波到来で水温は摂氏4度で、これにウェットスーツ装備で横一文字列の歩行検索、あるいは潜水検索に当たるため、30分も作業するとすぐ岸に上がってきては暖を取る状態で、また8日の河川の濁りは前日より悪化しており、効率が落ちていた。台湾は亜熱帯であるため、少なくとも日本の救助隊では一般的である防寒用ドライスーツは配備されておらず、軍の1部隊がわずかに使用しているのみであった。救助活動の継続に危機感を抱いた警察と消防はメディアを通じて緊急支援を呼びかけ、これに対し台湾国内の宗教団体の信者や一般市民が合計7着のドライスーツを寄贈した。また、慣れない冬季の水難救助に対応するため、台北市政府消防局はストーブを追加投入し、軍から野戦入浴車を借り受けて配備した。なお日没後は潜水および入水による捜索は中断されるが、水面および岸辺の捜索は休まず続けられた。 2月9日の捜索も、前日までの問題を払拭できずに難航していた。装備としてはソナーを新たに投入することで、捜索の円滑化が期待された。また、前述の通りの防寒装備の不足により、水中捜索隊員が風邪にかかることが続発しており、南部地方から応援要員を呼ぶことでしのいでいる。なお捜索隊の小隊長が風邪の疑いで病院へ搬送され加療中に肺炎であることが判明し、集中治療室へ移送されて治療を受けるという事態に発展した。 2月10日の捜索でも不明者の発見に至らなかった。台北市政府消防局は今後、潮の満ち引きを考慮しながら建機積載用の平台船を現場へ派遣し、これに高圧放水車を積んで高圧放水により川底の汚れを洗い流す作業を行うことで、不明者の発見につなげたいと発表した。これは不明者を発見できない理由が、座席ごとシートベルトで固定されたまま放出されていたり、深い汚泥に埋もれていることなどにあるのではないかとの見立てによる。 2月11日の捜索において、同じ座席にシートベルトで固定されたままだった2人の遺体が発見され、残るは1人となった。連日の捜索で、基隆河が蛇行する南湖大橋付近に遺体が集中して流れ着いていることから、付近を集中捜索した結果の発見であった。2組4座席が機体から流出し未発見のままであることから、座席の発見が遺体発見につながるものと見て捜索が続けられたが、2月12日の水中捜索終了間際に最後の遺体が発見された。 なお、連日の捜索に参加していた民間ダイバーの1人が、2月11日に低体温が原因と思われる動脈瘤破裂により搬送先の病院で死亡している。馬英九総統はダイバーの遺族に電話して哀悼の意を述べた。
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