労災補償
【概要】 医療従事者が事故によりHIVに感染する可能性が指摘され、これに対する補償を定めたもの。平成5年10月29日づけで労働省から通知が発表された。MRSA(耐性ブドウ球菌)とHCV(C型肝炎ウイルス)とともに、新たに業務上の疾病として取り扱われることとなった。
【詳しく】 HIVに感染したら定期的な検査や発症予防治療が開始されることがあるから、無症状でも疾病として取り扱い、保険給付が行われる。認定のためにはHIVに汚染された血液などを取り扱う業務に従事し、接触事実が認められ、6~8週以後にHIV抗体が陽性と診断され、業務以外の原因がなければよい。つまり事故当時に陰性であったことは必須要件ではない(証明できない人を救うため)。「業務以外には感染の危険はなかった」と診断書に書けばよい。取扱は労働基準局である。
【URL】http://www.jisha.or.jp/ http://www.phc-japan.net/aids/aidsrousai.html

労災補償
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
千日デパートビル火災によって犠牲になった死亡者または重軽傷者は、全員が7階プレイタウンの客と従業員であるが、それらはいずれも有職者であったことから、労災保険の補償適用が如何に為されるかについて関心が高まった。大阪労働基準局(現・大阪労働局)や天王寺労働基準監督署(現・大阪中央労働基準監督署)が係官を動員し、客、ホステス、プレイタウン従業員、バンドマンについて労災保険の実態を調査した。死亡した客については、プレイタウンに個人で来店していた場合であれば労災補償の適用外であるが、業務上の接待でプレイタウンを利用していた場合に労災と認められるのかどうかの判断が難しいとされた。1968年11月に兵庫県・有馬温泉で発生した「池之坊満月城火災」の例では、会社の慰安旅行で宿泊していた客が犠牲になったケースで、「自由意思で参加する慰安旅行は、労災保険法で定める業務とは認められない」とする判断が示されたことがあり、客や会社の自己申告や一方的な証言に頼ることからも労災補償の適用は微妙だとされた。客については、実際に労災補償を申請したケースは確認されなかった。 プレイタウンのホステスの労災補償適用について、右の死亡したホステスらは、プレイタウンを経営する千土地観光との間で直接の雇用契約を結び、労働基準法に基づく雇用契約も結んでいたのは明らかであり、千土地観光も労災保険に一括加入していたことから、プレイタウンのホステス全員は、れっきとした労働者であって労災補償の適用は問題ない、とする見解を大阪労働基準局が示した。また死亡したプレイタウン従業員も同ホステスと同じく、千土地観光との間で直接の雇用契約があり、労基法による雇用契約を同社と結んでいることは明らかであるので、同局は労災補償適用は問題ないとした。負傷して入院している29人のプレイタウン従業員(うちホステス11人)については、休業補償および療養費が支給され、後遺症が出た場合には、程度に応じて障害補償金が支給されることも確認された。火災から8日後の5月21日、プレイタウン従業員および同ホステスの9遺族が天王寺労基署(当時)に労災保険による遺族補償の給付請求を出した。受取人は死亡者の親6人、妻1人、子供11人の計18人で、同労基署は基礎日額の算定を急いで翌週には支給したいとした。同月28日、天王寺労基署は同月21日に出された請求のうちの5遺族分について支給を決め、遺族は年金支給前払い(一時金)の形で葬祭料込みで同月末から受け取ることになった。労災補償の支給は、申請があり次第、算定の上で支給されるとされ、1972年8月までの時点で死傷したプレイタウン従業員および同ホステスの遺族または被災者本人ら全員に労災補償が支給された。 プレイタウンのバンドマン10名については、千土地観光との間で直接の雇用契約を結んでおらず、いわゆる「専属契約」ではなかった。バンドマンらは、請負契約の形で営業中のプレイタウン・ホール内で演奏を行っていたが、千土地観光はバンドマンらを労災保険に加入させておらず、同保険による労災補償の適用は難しいとされた。バンドマンらの場合は、バンドリーダーがバンドメンバーを雇用する形態と見做され、一括して労災保険に加入しておく必要があったが、実際にはメンバー全員が未加入であった。1972年当時の労災法では、5人以上の労働者を雇う場合は強制的に労災保険に加入することが義務付けられていたことからすれば、9人のメンバーを抱えるバンドが労災保険未加入というのは、バンドメンバーらの落ち度ではなく、リーダーの過失であると考えられた。したがって死亡したバンドマン2人や負傷した他の7人のメンバーらは、労働基準法上の労働者であることは間違いないことから、労災補償を受け取る権利と資格がある、と大阪労働基準局によって判断された。
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