Sonate für Klavier Nr.3 C-Dur Op.2-3とは? わかりやすく解説

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調

英語表記/番号出版情報
ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調Sonate für Klavier Nr.3 C-Dur Op.2-3作曲年: 1793-95年  出版年1796年  初版出版地/出版社Artaria 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 1.Satz Allegro con brio1000
2 第2楽章 2.Satz Adagio8分00
3 第3楽章 3.Satz Scherzo3分00
4 第4楽章 4.Satz Allegro assai5分30秒

作品解説

2009年1月 執筆者: 岡田 安樹浩

草稿自筆譜ともに失われているため成立年代特定難しいが、おそらくop.2-1および2-2完成させたのちにヴィーン完成した思われるop.2の3曲は共に師であるハイドン献呈されているが、この第3番は前2作と比べると、少々間に合わせの感が否めない。しかし中間楽章調性選択や、ぎこちないながらも動機操作こだわったソナタ形式楽章内容は、後の我々のよく知るベートーヴェン十分に予感させる。また、第1楽章後半リピート省略されている。

第1楽章ハ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
提示部
3度重音によるトリル風の音型をもつ主要主題開始される主題後半ではスフォルツァンドsf記号によって第2拍目にアクセント移されるバス声部主題確保分散和音による推移経て副次主題がまずト短調あらわれる。続いてト長調でもう1つ副次主題提示される注)。この2つ副次主題は、ボン時代作曲したピアノ三重奏曲》WoO.36-3からの転用である。
推移部の楽想や主要主題トリル風の動機発展オクターヴ奏でシンコペーション動機経て属調でコデッタは終止する。

展開部+再現部
まずトリル風の動機反復され次に分散和音の音型が繰り返されニ長調転調するこの分和音はおそらく推移部の動機発展させているのであろうが、あまりうまい関連づけとはいえない。主要主題スフォルツァンドによるシンコペーション動機組み合わされ展開する
属和音上にトリル風の動機繰り返され再現部を導く。確保に当たる部分変形されており(第147小節~)、コデッタにおけるシンコペーション動機スフォルツァンド記号によるシンコペーション強調全て提示部における素材由来しているが、なんともぎこちない副次主題はともにハ短調長調再現されるが、コーダ拡大されている。

コーダ]
まず変イ長調(同主短調VI度調)へ、ドミナント和音から偽終止進行転調すると、これまでの動機とは関連の無い分散和音繰り返されハ長調ドミナント(I度の第2転回形)へ回帰するが、これもカデンツァ風の楽句によって引き伸ばされる。この和音上にこうした楽句挿入されるのは、再現部直前コーダ直前習慣的に演奏されるカデンツァ、またはアインガングを実際に記譜したものとも考えられよう。
後年ベートーヴェン自作協奏曲カデンツァ全て書き残したことを考えれば、この楽句はこうした文脈でとらえるのが妥当であろう
このカデンツァ風楽句の後に主要主題がもう1度あらわれ提示部コーダ同様に楽章しめくくっている。

第2楽章ホ長調 4分の2拍子
主要楽章ハ長調対しアダージョ第2楽章ホ長調書かれていることは、3度関係で調性構築する後年ベートーヴェン様式先取している。2つセクション交互にわられる5部分形式形式図式化すれば[A-B-A-B-A]。
第1部付点リズム特徴づけられる動機和声的書法による動機からなる主題よる。第2部ホ短調で、分散和音背景として上声部と下声部楽想展開される冒頭主題回帰する第3部挟んで第4部第2部楽想短縮されあらわれる。再び冒頭主題回帰する第5部では、主題若干発展しながら収束する

第3楽章ハ長調 4分の3拍子 スケルツォ
前作op.2-2と同様、メヌエットかわってスケルツォ用いられている。1拍半のアウフタクトをもつ動機主部支配しており、1小節を3拍を刻む動機組み合わせられることでリズム対比なされている。リズム上の仕組みは、次の八分六拍子フィナーレ予感させているのかもしれない
トリオ分散和音の音型の中に第3拍目を強調するパターン組み入れられている。ダ・カーポ後のコーダでは半音強調されパッセージ繰り返されるこうした音楽作り優雅なメヌエットでは成し得ずベートーヴェンメヌエットかわってスケルツォ導入したのは、彼の音楽的な要求からの必然であったのかもしれない

第4楽章ハ長調 8分の6拍子 ロンド・ソナタ形式
ロンド・ソナタ形式フィナーレは、急速に上昇する6の和音による主要主題によって開始され続いて3度順次下降する和声の上装飾的なパッセージ置かれる
属調(ト長調)で特徴的なリズムによる分散和音副次主題提示主調での主要主題回帰の後に下属調(ヘ長調)で新たな主題提示される
 この新主題和音転回順次下降する和音によっており、主要主題反行形考えられる。これがバス声部などに置かれ展開された後、主要主題副次主題再現部経てコーダ到達する
コーダ拡大され長いトリルともなって主要主題がもう1度展開され、この動機幾度も反復して楽曲しめくくる

第3番ソナタは、動機関連づけへの傾倒コーダ拡大など独創的な側面追及しながらも、ボン時代作品の主題転用などもあり、「間に合わせのような印象も受けるが、こうした若書き中にみられる独創的な部分は、どれも後年ベートーヴェン固有特徴つながっていることは興味深い

注)このような副次主題複数もつソナタ形式楽章は、モーツァルトにもハイドンにもみられる研究者によっては、ソナタ形式論じる際に用いる「第1主題」と「第2主題」という言葉にまどわされて、「どちらが真の第2主題か」などという議論繰り広げる者もいるが、こうした考え方19世紀後半になって楽式論上でソナタ形式簡潔に説明するために生み出されたものである。よって、ベートーヴェンソナタ形式主題2つしか存在できない理由など無く、ここでの同一主音上の長短調による主題両方ともに「主題」であるといってよい。




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