SD以後
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武者ガンダムは『プラモ狂四郎』完結後も、1987年のガシャポン「ガシャポン戦士スーパーディフォルメガンダムワールド」MK13『武者ガンダム』、および1988年のプラモデルSDガンダム BB戦士No.17『ムシャガンダム』、元祖SDガンダムNo.14『武者精太』としての立体化、また1987年のファミコンソフト『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』でのボスキャラクターとしての採用、1988年のカードダス「SDガンダムワールド」パート4での「武者ガンダムMk-II』(127)の登場等をそれぞれの契機として、SD体型での商品展開が行なわれることとなった。以後次々と武者タイプのモビルスーツが立体化されていく。 これと前後して最初の武者ガンダムのストーリーライン「SD戦国伝」が生まれているが、この成り立ちはプラモデルシリーズ「SDガンダム BB戦士」の組立説明書に掲載されていた漫画『コミックワールド』(MARSHIこと今石進作)を端緒とする。実質上のSD戦国伝第1話と言えるBB戦士No.17『ムシャガンダム』における『コミックワールド』第11話「七人の頑駄無」は本来、今石が後の展開を意識せず即興的に描いたものであったが、この設定が原型となり以後のBB戦士「武者七人衆編」シリーズが展開することとなった。ガンダムに「頑駄無」の字をあてたのも今石の発案である。『コミックワールド』でも武者ガンダムをモチーフとしたストーリーは「武者七人衆編」と題されて連載形式となり、ここから今石のデザインとともに新たな設定が生まれ新商品に繋がるというサイクルが自然発生的に生まれている(例えばBB戦士No.42として発売される『殺駆三兄弟』の初出はBB戦士No.23『武者精太』付属の『コミックワールド』第17話である)。 同時期、BB戦士のデザインクリンナップを担当した鳥山劣こと横井孝二もコミックボンボン誌上でのプラモデルのタイアップ作品である連載ギャグ漫画『元祖! SDガンダム』に武者ガンダムを積極的に描きキャラクター性を拡げていった。しかしこうした現場では『コミックワールド』を描く今石と『元祖! SDガンダム』を描く横井の間に連携はなく、互いに無計画に展開を進めていたという。 こうした一種場当たり的なキャラクター展開が進む一方、BB戦士の販売元バンダイはそれまでと将来の商品展開を総括して整合性のあるストーリーラインに纏めるために、コミックボンボン誌と連携し1989年6月号より「SD戦国伝」と題したタイアップ企画を展開する。これらは主にボンボン誌上のグラビア・特集記事の形でイラストやプラモデルの写真と文字情報を中心に構成されており、文芸設定はレイアップの平松昭彦が担当した。この新設定によって武者ガンダムのみならずそのシリーズ展開自体に物語性が付与され、SDガンダムというジャンルの中から「武者ガンダム」というジャンルが独立していった。 またコミックボンボン誌上ではSD戦国伝のストーリーラインと平行して、プラモデル(BB戦士)としてのSDガンダムを主な題材にした漫画『超戦士ガンダム野郎(ハイパーせんしガンダムボーイ)』(原作クラフト団・作画やまと虹一、1989年1月号より)も連載されている。主人公天地大河(あまち・たいが)の愛用したオリジナル武者ガンダム「天地大河スペシャル」がBB戦士シリーズで『農丸頑駄無 天地大河スペシャル』として発売され、SD戦国伝の世界観の中でも農丸頑駄無のデザインに流用されたことに顕著なように、『超戦士ガンダム野郎』とBB戦士シリーズでも密接なタイアップ展開が行なわれた(こうした漫画発の商品展開への流用は横井孝二の『元祖! SDガンダム』でも同様であるが、漫画の性質上BB戦士と「SD戦国伝」シリーズへの流入は行なわれなかった。他に、BB戦士の改造作例紹介記事『G研』や、読者公募によるオリジナルSD武者ガンダムがカードダスやガシャポンに多くフィードバックされている)。 やまとは『超戦士ガンダム野郎』連載のかたわら、ムック『完全保存版 SD武者ガンダム全百科』(コミックボンボンスペシャル38・1989年)掲載の読み切り漫画『SD武者ガンダム風雲録』を経て、翌1990年「デラックスボンボン」創刊とともに同名の連載『SD武者ガンダム風雲録』(原作・クラフト団)を執筆。『コミックワールド』が2ページ1話という性質上描ききれなかったSD戦国伝の物語を、文芸設定に合わせ長編ストーリーとして纏め上げた。また1989年、この連載に先行してOVAシリーズ『機動戦士SDガンダム』の映画版『機動戦士SDガンダムの逆襲』でもオリジナルストーリー「SD戦国伝 暴終空(あばおわくう)城の章」としてSD戦国伝の初のアニメ化が行なわれている。翌年1990年にはOVA『機動戦士SDガンダム』でもSD戦国伝のエピソードがアニメ化されている(第3巻・第5巻)。 SD戦国伝は「武者七人衆編」終了後も続編タイトルが次々と発表され、「SD戦国伝」3部作、続編「新SD戦国伝」4部作、「超SD戦国伝」3部作の全10章構成となり1999年に完結した(以後のシリーズ展開については#ムシャ戦記以降参照)。SD戦国伝シリーズ初期の主要なメカデザインは今石進が担当したが、後の「SD戦国伝 天下統一編」以降レイアップの寺島慎也がデザインに加わり、「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」からは大半のメカデザインを寺島が行なっている。文芸設定を担当した平松昭彦は「武者七人衆編」以後、より密にSD戦国伝シリーズの文芸設定を担当。「新SD戦国伝 超機動大将軍」以降は平松に代わりレイアップの後輩栗原昌宏が主要なストーリーワークを務めている。やまとによる漫画「SD武者ガンダム風雲録」シリーズは「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」まで継続し、続編「新SD戦国伝 七人の超将軍編」以降は神田正宏が「新武者ガンダム」シリーズおよび「超武者ガンダム」シリーズとして漫画化を行なっている(原作・クラフト団)。
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