キュー‐オー‐エル【QOL】
読み方:きゅーおーえる
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)
クオリティー・オブ・ライフ
【詳しく】 個人は自分の置かれた環境の中でできるだけ快適に生活し幸福を求める権利がある。「ただ生きていること」から「どう生きていくか」という質が問われる。しかし、現実の医療においては、延命や治癒を目的とする治療が、生活を阻害したり副作用などのためにかえって患者を苦しめることがある。これではQOLが高いとは言えない。治療成績を、単なる治癒率や生存率で示すだけではなく、QOLも定性的・定量的に評価して比較しようと言う試みが始まっている。
《参照》

QOL(きゅーおーえる)
QOLとはquality of life(クオリティオブライフ)の略で、通常「生活・生命の質」と訳されます。かつてのがん治療の現場では、がんを完全に治すことが一番の目標とされ、治療の副作用で障害が生じるなどの障害が発生して、患者の生活が不自由になってもあまり気にされませんでした。しかしここ最近、ただ治るだけでなく、生活・生命の質=QOLを保ちつつ最大限の効果が得られる治療法方法を考えることが重視され、後遺症の少ない縮小手術や副作用の少ない薬剤や投与方法の開発が盛んになりました。また、がんの痛みを緩和する方法などの研究が進みました。QOLは肉体的健康面だけでなく、家庭社会面(家庭や職場での人間関係)や精神面からの評価も必要です。
→疼痛緩和
クオリティー・オブ・ライフ/生活の質、生命の質(Quality of life:QOL)
QOL
人生の質、生活の質などと訳される。1940年代末から臨床場面でとりあげられてきたが、近年は地域社会におけるヘルスプロモーション活動の最終ゴールをもQOLと位置づけるようになってきている。健康になることだけがゴールでない。今ある健康を手段として用い、いかにQOLを高めるかもまたゴールとされている。Spilker Bによれば、QOLは5つの領域から構成される。身体、心理とウェルビーイング、人間関係、経済・仕事、宗教・スピリットの5つである。QOLは、健康と直接関連のあるQOLと健康と直接関連のないQOLに分類される。健康と直接関連のあるQOLがカバーする領域は身体、心理とウェルビーイング、人間関係、宗教・スピリットなどである。これらを評価するための尺度としては、健康プロファイル型尺度としてSF-36, WHOQOL等がある。選考に基づく尺度としては、EuroQOLなどがある。健康と直接関連のないQOLがカバーする領域は、価値観、ソーシャル・ネットワークや仕事、物的環境(水、空気など)、文化施設など幅広い。この領域を包括的にカバーする尺度はまだ開発されていない。(神馬征峰)
参考URL:http://www.niph.go.jp/toshokan/hoken53.htm
QOL Quality Of life
クオリティー・オブ・ライフ。生命の質、人生の質、生活の質などと訳される。
クオリティ・オブ・ライフ
(QOL から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/19 02:29 UTC 版)
クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、略称: QOL)とは、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた『生活の質』のことを指し、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。驚くべきことに、規律性の高い人は長生きする傾向があるが、規律性の低い人よりも生活の質が低くなる可能性がある[1]。
1970年代以降に注目されるようになった概念で、もとは健康関連の概念だったが、それ以外にも拡張されるようになったため、健康に関するQOLは健康関連QOL(HRQOL、Health - related QOL)ということもある[2]。
クオリティ・オブ・ライフは、個人の収入や財産を基に算出される生活水準(英: standard of living)とは分けて考えられるべきものである。
クオリティ・オブ・ライフと対比される概念として、クオリティ・オブ・デス(英: quality of death、略称: QOD『死の質』)がある[3]。
健康関連QOL
定義
国際的に定義について必ずしも合意が得られているとはいえないが、1947年の世界保健機関(World Health Organization:WHO)の健康憲章から「(略)not merely the absence of disease, but physical, psychological and social well-being(単に疾病がないということではなく、身体的にも精神的にも社会的にも完全に満足のいく状態にあること)」と定義されることが多い[2]。ただし、この部分には1998年に「spirituality(霊的/宗教的/実存的)」という文言が加えられており、その意味については多くの議論がある[2]。
日本では、2000年に旧厚生省大臣官房障害保健福祉部が公表した「障害者・児施設のサービス共通評価基準」の用語解説にある「日常生活や社会生活のあり方を自らの意思で決定し、生活の目標や生活様式を選択できることであり、本人が身体的、精神的、社会的、文化的に満足できる豊かな生活」をQOLとする定義がある[2]。
QOLの評価法
健康関連の QOL の評価法は、一般的に患者に聞き取るか、評価者自身が評価する。評価項目は、その文化圏で一般的な汎用評価法と、特定の疾患や病態の患者を対象とした疾患特異的評価法、QOL の構成概念の各領域ごとの評価法などがある。
汎用評価法
- WHO Quality of Life 26 (WHOQOL-26)
- Sickness Impact Profile (SIP)
- Nottingham Health Profile (NHP)
- Medical Outcomes Study 36-Item Short Form-36 (SF-36)
- EuroQoL (EQ-5D)
- Patient Generated Index (PGI)
疾患特異的評価法
- European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC QLQ-C30)
- General [Geriatric] Oral Health Assessment Index (GOHAI)
- Kidney Disease Quality of Life Short Form (KDQOL-SF)
年代別評価法
- COHIP(コーヒップ) 対象年齢8~17歳の 口の状態がQOLに与える影響アンケート 34-Item (SF-19)
日常生活動作
- Barthel Index of Disability (BI)
QOLと医療
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この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2022年3月)
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疾患は病名により医学的に定義されるが、障害もしくは合併症状の生活面の影響は、医学的には充分考慮されていない。
たとえば治療行為に伴い生じた運動・視力・食事・排泄などの障害には、それぞれに何らかの合併症名が与えられるが、障害の程度には総じて「QOL の低下」と表現される。また医学的検査で原因が不明瞭な感覚的障害(痛み、痺れ、倦怠感など)では、課題として軽視する傾向がある。障害(合併症状)の影響は患者の生活にとって重要であり、これを QOL として認識し指標化する医療上の課題がある。
癌などの治療選択や治療評価においては、生存率や縮小率などを指標とする場合が多いが、予後の QOL を考慮していない場合もある。 患者の立場からは、QOL も考慮されることが望ましいが、医療機関や医師、患者本人との価値観の差異などもあり、具体的に言及されることが少ない。最近は、インフォームド・コンセントの普及に伴い QOL の概念が重要視される傾向にある。
疾病の増悪や治療において生じた障害の生活支援として、公的な障害年金制度がある。
概念の拡張
本来は健康関連の概念だったが、道路や公園等の環境整備状況に関する市民のQOLも評価が行われるようになった[2]。
QOLは、国家の発展、個人の人権・自由が保障されている度合い、居住の快適さとの関連性も指摘される。
指標として人間開発指数、世界幸福度報告などが提案されている。
脚注
- ^ “Big 5 - Get In: Know yourself”. Coursera. 2022年9月7日閲覧。
- ^ a b c d e 吉川明守、宮崎隆穂「重度・重複障害者におけるQOL評価法の検討」 新潟青陵大学
- ^ “超高齢社会のフロントランナー日本:これからの日本の医学・医療のあり方”. 日本学術会議 臨床医学委員会. 2018年1月12日閲覧。
参考文献
関連項目
医療との情報関係
- 予後
- ホスピス
- 緩和医療
- 代替医療
- 支持療法
- ターミナルケア
- 日常生活動作(ADL)
- QOML
- 死ぬ瞬間
- 生命の尊厳
- クオール - クオリティ・オブ・ライフを社名の由来とした調剤薬局を経営する日本の企業
労働慣行
外部リンク
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