Fantasie-Impromptu cis-Moll Op.66 CT46とは? わかりやすく解説

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ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 (遺作)

英語表記/番号出版情報
ショパン幻想即興曲 嬰ハ短調 (遺作)[Fantasie-]Impromptu cis-Moll Op.66 CT46作曲年1835年  出版年1855年  初版出版地/出版社Schlesinger, Meissonnier  献呈先: le Baronne d'Este

作品解説

2008年7月 執筆者: 朝山 奈津子

 「Impromptu」とはラテン語由来し、「準備のできていない」ことを意味する。この言葉1822年偶然に二人作曲家同時に自作品に用いたのが最初とされる音楽ジャンルとして即興曲は、演奏技術として即興とはあまり関係がない。それは単に、即興風の雰囲気反映した楽曲という意味であり、19世紀以降音楽ジャンルである(なお、即興風の音楽というアイデア自体はけっして19世紀固有のものではないが、それ以前には、トッカータカプリッチョなど様々な名称で呼ばれた)。
 19世紀前半において、即興曲伝統大きく2つ流れがあった。ひとつは、流行しているオペラ・アリアの旋律民謡旋律などを変奏しながら続けるもので、チェルニーカルクブレンナーなどの他、リストにも佳作がある。もうひとつが、特定の形式もたない抒情的な音楽内容のもので、この言葉最初に用いたというヴォジーシェクマルシュナーのほか、シューベルト即興曲がその代表である。ただし、形式定まらないといっても、多くはA-B-Aのアーチ型をしている。
 ショパンは、シューベルト連なる伝統継承し、その創作中期に《幻想即興曲》および3つの即興曲》を残したいずれも明確なアーチ型であり、中間部を「ソステヌートsostenuto」と称する

 本作最初に書かれた《即興曲》であり、1835年エステ夫人献呈その音楽帳に作曲家自ら浄書した。しかしこの時ショパン出版意図していなかった。初版死後友人フォンタナの手によって1855年ドイツ翌年フランスで出る。しかしこれはどうやらエステ公家音楽帳とは異な資料に基づくとみられるフォンタナによればショパンが《即興曲作曲したのは1834年とすれば初版譜は自筆浄書より古い稿として資料的価値があるということになる。これらの大きな違いは、中間部が「Largo/Moderato cantabile ♩=88」から「più lento/sostenuto」に改められ一切メトロノーム記号削除されたことである。初版では、冒頭Allegro agitatoにも「二分音符=84」の指定があった。初版がもし本当に消失したもうひとつ自筆譜に基づくのだとすれば1834年から35年わずかな期間に、ショパン即興曲対す根本的な考え変化ないし確立したということができる。初版ショパン友人フランショムの筆写譜にも一致する点が多くもうひとつ自筆譜存在した可能性きわめて高い。なお、《幻想即興曲》の名称もフォンタナ初版帰するもので、ショパン自筆譜にはただ《即興曲》とのみ書かれている
 この作品用いられる即興技法は、第1番第3番みられるものとほぼ等しいが、実際にそれほど効果上げていない。また、左手3分割であるのに対して右手2分割とし、平行しながら決し交わらない2つ流れ生み出している。しかしこれも、切迫する2拍子刻み振りきるには至っていない。この曲の魅力は、結局のところその旋律美しさなのだ。これだけ感傷満ちた旋律執拗に繰り返しながらも――全体短調であるのにほとんど深刻さ感じさせないのは、この見え透いた感傷お陰である――、まさに天才的な旋律美のなせる技といえよう




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