2-アザナフタレンとは? わかりやすく解説

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イソキノリン

(2-アザナフタレン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 15:34 UTC 版)

イソキノリン
識別情報
CAS登録番号 119-65-3 
PubChem 8405
ChemSpider 8098 
UNII JGX76Y85M6 
EC番号 204-341-8
DrugBank DB04329
ChEBI
ChEMBL CHEMBL12315 
特性
化学式 C9H7N
モル質量 129.16 g mol−1
外観 無色の油状液体または吸湿性の板状結晶
密度 1.099 g/cm3
融点

26 ~ 28 ℃

沸点

242 ℃

酸解離定数 pKa pKBH+ = 5.14[2]
磁化率 −83.9·10−6 cm3/mol
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

イソキノリン (isoquinoline) は、ベンゼン環とピリジン環が縮合した構造を持つ複素環式芳香族化合物の一種である。キノリンの構造異性体にあたり、その構造を、2-アザナフタレン2-ベンズアジン と表すこともできる。ピリジン環の 3, 4 位の結合部位にベンゼン環が縮合していることから ベンゾ[c]ピリジン とも表される。無色で吸湿性の油状物質で、強い臭いを呈する。広義では、イソキノリン骨格を持つ各種誘導体の化合物群を示す。イソキノリンは天然に存在するパパベリンモルヒネなどのアルカロイドに含まれる。生体内で、それらのイソキノリン環はチロシンから誘導されている。

化学的性質

常温のイソキノリンは無色で吸湿性の油状物質で、突き刺すような悪臭を持つ。他の含窒素複素環式化合物によくあるように、純度の低いサンプルは褐色を呈する。低温では板状結晶となり、水への溶解度は低いが、エタノールアセトンジエチルエーテル二硫化炭素、ほか通常の有機溶媒に容易に溶ける。希酸にも、プロトン化されたイソキノリニウムの形で溶ける。

ピリジン環を有するため、イソキノリンは弱塩基性を示し、pKb の値は 8.6 である。塩化水素のような強酸で処理するとプロトン化され、イソキノリニウム塩(isoquinolinium salt)となる。BF3 のようなルイス酸とは付加体を作る。

産出、合成

イソキノリンは Hoogewerf と van Dorp により 1885年に、コールタール中から部分結晶法で硫酸塩の形として単離された。Weissgerber は 1914年にイソキノリンがキノリンよりも塩基性が強いことを利用して、コールタールからのより迅速な選択的抽出法を開発した。

イソキノリンの誘導体を化学合成する手法はいくつか知られているが、無置換のイソキノリンを直接得る方法は比較的少ない。Pomeranz–Fritsch 反応はイソキノリンを得る有効な方法である。

イソキノリンのさまざまな誘導体の合成法を以下に示す。

誘導体の用途

イソキノリン誘導体にはさまざまな用途がある。例を挙げると:

  • 麻酔薬:dimethisoquin
  • 降圧剤:キナプリル、quinapirilat、debrisoquine(いずれも 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン誘導体)。
  • 抗菌剤:2,2'-ヘキサデカメチレンジイソキノリニウムジクロリド
  • 消毒剤:N-ラウリルイソキノリニウムブロミド
  • 血管拡張作用:パパベリン
  • イソキノリン誘導体は染料顔料殺虫剤防腐剤としても用いられる。また、樹脂からテルペンを抽出するための溶媒としても用いられる。

出典

  1. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 212. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ Brown, H.C., et al., in Baude, E.A. and Nachod, F.C., Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955.

参考文献

  1. Gilchrist, T. L. Heterocyclic Chemistry (3rd ed.). Essex, UK: Addison Wesley Longman, 1997.
  2. Harris, J.; Pope, W. J. J. Chem. Soc. 1922, 121, 1029-1033.
  3. Katritsky, A. R.; Pozharskii, A. F. Handbook of Heterocyclic Chemistry (2nd ed.). Oxford, UK: Elsevier, 2000.
  4. Katritsky, A.R.; Rees, C.W.; Scriven, E.F. (Eds.). Comprehensive Heterocyclic Chemistry II: A Review of the Literature 1982-1995 (Vol. 5). Tarrytown, NY: Elsevier, 1996.
  5. Nagatsu, T. Neuroscience Research 1997, 29, 99-111.
  6. O'Neil, Maryadele J. (Ed.). The Merck Index (13th ed.). Whitehouse Station, NJ: Merck, 2001.




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