1980年代後半、ナンパゲームの時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 05:03 UTC 版)
「恋愛ゲーム (ゲームジャンル)」の記事における「1980年代後半、ナンパゲームの時代」の解説
8ビットパソコンが普及し始めた1980年代の前半には、『野球拳』の様なゲームや、光栄(現コーエー)が発売したストロベリーポルノシリーズの様な、アダルトソフトしか存在しなかった。これには、当時のパソコンの外部記憶メディアの主流がカセットテープであり、画像データの扱いに時間が掛かってしまう事や、フロッピーディスクを搭載した機種がビジネス向けの16ビットパソコンに限られていた事も関係している。 8ビットパソコンにもフロッピーディスクが普及し始め、また16ビットパソコンが低価格化して行った1980年代後半に入って、ナンパケームや恋愛アドベンチャーゲームが出る様になり、「擬似恋愛」の過程を楽しむ事へのニーズが掘り起こされて行くことになった。 1985年:エニックス(現スクウェア・エニックス)、パソコン用の成人向けゲーム『TOKYOナンパストリート』を発売する。ゲーム自体は、現れる女性たちを次々とナンパしていく内容で、個々の女性についてのストーリー描写はなかった。 1986年:マイクロキャビン、8ビットパソコンの有力機種(NEC PC-8801、富士通FM-7)および16ビットパソコンPC-9801用シミュレーションゲーム『ギャルっぽクラブ』を発売する。内容は首都圏各地に学舎を持つ大学に入学し、アルバイトで自活しながら、各ブロックの「ギャルっぽクラブ」会員の女子学生をナンパしてデートに誘い、告白に成功してハートマークを獲得すると、それが単位となって大学を卒業できるというもの。ゲーム中に性描写は全くなく、唯一卒業時に報酬として登場人物とは無関係なヌード画像を1枚見る事ができる。また、ゲーム中のキャラクターは全て8色グラフィックのビットマップ(タイリングによって肌色などの中間色が表現される)による大きめのアイコン1枚ずつで表現され、主人公(プレイヤー)のみが、ゲーム開始時の性格設定によるキャラクターの選択や、体調などによる表情の変化に対応していた。なお、これらのアイコンは、都度、フロッピーディスクから読み出されて表示されていた。 1987年:グレイト、8ビットパソコンの有力機種(NEC PC-8801、シャープX1等)用に、成人向けアドベンチャーゲーム『学園物語』を発売する。ストーリーは何者かに脅迫されて学校を辞めさせられようとしている憧れのノリコ先生を、プレイヤーが謎を解いて救い、お礼に筆下ろしをしてもらうというもの。アドベンチャーゲームとしては他の一般作品と同じ様な難易度ではあるが、後の『同級生』のように、正解のストーリーによって、ノリコ先生の人間像が語られる訳ではない。また不正解のストーリーの一部では、他の女性との性行為に及ぶ事になる。またこの作品は、テレビで「擬似恋愛に夢中になる若者達」と言った切り口で報道されており、その際、取材されたプレイヤーは、不正解のストーリーの女性を好んでいると話していた。全てのヒロインにストーリーが用意された『同級生』が登場する5年前から、ストーリー性に対するニーズがあった事がうかがわれる。なお、グラフィックは、8色グラフィックの線画とタイリングペイントによって表現され、シーンごとにソフトウェアで描いていた。当時はグラフィックのデータ量を軽減する為の努力が必要だった。
※この「1980年代後半、ナンパゲームの時代」の解説は、「恋愛ゲーム (ゲームジャンル)」の解説の一部です。
「1980年代後半、ナンパゲームの時代」を含む「恋愛ゲーム (ゲームジャンル)」の記事については、「恋愛ゲーム (ゲームジャンル)」の概要を参照ください。
- 1980年代後半、ナンパゲームの時代のページへのリンク