ジンサンシバンムシとは? わかりやすく解説

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ジンサンシバンムシ(成虫)

ジンサンシバンムシ Stegobium paniceum (Linné)

ジンサンシバンムシ(成虫

形態
 体長2~3.5mm前後全体に徴毛を密生し光沢はない。幼虫白色で各体節沿って短毛列があり、成熟して約4mmに達す乳白色淡黄色体長約3mm。卵は0.3mm前後白色
被害
 小麦粉などの穀粉乾燥麺類ビスケット菓子類などの加工食品唐辛子などの香辛料乾燥果実や乾物などを食害する放置していた油粕などの肥料ペットフードなどから大量発生し不快害虫となることもある。ドライフラワー時には家具書籍加害することもある。また朝鮮人参はじめとする各種漢方薬からも発生する食品医療品などに迷入して混入異物となる。
本種が多発すると、天敵であるシバンムシアリガタバチ発生し二次的にこのハチによって起こる刺咬被害は、さらに深刻なものとなる。
生態
 「ジンサン」の名の由来は、乾燥した薬用人参ニンジン)に多く発生することによるまた、ジンサンシバンムシは漢方薬やその原料大発生することがあるため、「くすりやなかせ」の異名がある。
 極めて食性で、合水量6~15のいろん乾燥植物質食べ穀粉類、菓子類、香辛 シイタケソバなどの食品加害されることが多いが、そのほかに木製品顔料鉛板錫箔ケーブル線、書籍など食害されることがあるトリカブト球根など多く毒素をもった薬草でも育ち、際めて強い解毒能力持っている野外における本種の発生源としては、ハトの巣およびハナバチの巣が知られている。
 年に1~3回発生で、幼虫越冬する夏期において、卵期間は約10日幼虫4045日間で4齢を経て成熟し、繭を作って蛹化する。期間は10日前後成虫羽化1週間程繭の中に留まった後、脱出して交尾する。 雌は3週間に約75卵を1個ずつ産むが、産卵終えた後も3~5週間生きる生育日数温度条件などによって大きく変化し生育適温域外では過剰脱皮行って最大8齢を経過する。ジンサンシバンムシの生育適温域は2230発育停止する発育零点は約13である。
 タバコシバンムシ同様、シバンムシアリガタバチ宿主になっており、本種が大量発生した場合には、このハチによる刺咬被害起きる。ただし本種の場合発生源を見つけにくいことがある
特記事項
 納戸の隅の油粕肥料天井裏殺鼠剤使用していない蛍光灯カバー内に溜まった昆虫死骸などからも発生するので、清掃が大事である。食品密閉性の良いものに保管し使いかけのものは早めに使い切り古くなったものは処分する

ジンサンシバンムシ

和名: ジンサンシバンムシシバンムシ科
英名: biscuit beetle, drugstore beetle
学名: Stegobium paniceum(Linnaeus) [Anobiidae
ジンサンシバンムシ
ジンサンシバンムシ
分布 日本を含む世界共通種
形態 幼虫は白いウジ状。成虫体長2-3.5mm。褐色で微毛を有する
加害する食品 乾燥動植物質の固形物に食入
加害形態 古来より「薬屋泣かせ」として知られる飼料工場での発生も多い。
防除方法 清掃をよくし、こぼれた粉粒などをそのまま放置しない。乾燥動植物は缶などに密閉して貯蔵する
その他  

ジンサンシバンムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 01:30 UTC 版)

ジンサンシバンムシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 鞘翅目 Coleoptera
亜目 : 多食亜目 Polyphaga
上科 : ナガシンクイ上科
Bostrychoidea
: シバンムシ科 Anobiidae
亜科 : シバンムシ亜科 Anobiinae
: Stegobium
: ジンサンシバンムシ
S. paniceum
学名
Stegobium paniceum
(Linnaeus, 1761)
英名
drugstore beetle

ジンサンシバンムシ(人参死番虫) Stegobium paniceum は、タバコシバンムシと並んで貯蔵食品害虫として知られるシバンムシの一種。世界中に広く分布し、日本国内にもほぼ全土に分布し、大多数の家庭で発生して乾燥食品などありとあらゆる乾燥動・植物質を食害する。和名の「ジンサン」とは漢方生薬朝鮮人参のことであり、生薬を加害することからつけられている。英名の"drugstore beetle"も同様の由来である。こうした食性からまたの名をクスリヤナカセ(薬屋泣かせ)と称す。

形態

成虫体長は1.7-3.6mmでタバコシバンムシよりやや細長い長楕円形であり、やや円筒形気味。濃い赤褐色で背面には黄褐色の微毛がびっしり生えており、前胸背板上の毛は毛斑を描く。触角は11節で、タバコシバンムシと違い、基部の第1節のほかに先端の第9-11節が大きく発達し、中間の第3-8節は顕著に小さく糸状。鞘翅はタバコシバンムシのようにのっぺりと平滑ではなく、左右のそれぞれに11本の条線が刻まれている。

幼虫は老熟すると体長4mmに達し、強くC字型に体を曲げている。全身は黄白色で、繊細な短毛が頭部に密に、他の部分はまばらに生える。頭部は黄褐色で、斑紋などの強く着色した部分はない。

生活史

成虫は保温性がよく暖かい部屋では周年みられるが、西日本の気候では4月の中旬から下旬にかけての時期より出現しはじめる。羽化した成虫は、4-12日の間はの中に留まって性成熟を待つ。 繭を食い破って脱出した成虫は摂食せずに10-21日間生存し、その間に交尾産卵を行う。1個体の雌は20-60個のを産む。

卵は9日前後で孵化して活発に歩き回った後で食物中に穿孔していく。通常終齢は4齢だが、温度が20℃以下になるなど環境が不良だと過剰脱皮が起こり、時には8齢に達することもある。老熟してになるまで最短条件の30℃相対湿度60-90%で約40日かかり、卵から成虫までの有効積算温度は625日度という数値が得られている。発育に適した温度帯はタバコシバンムシの25-32.5℃に対して、22-30℃で、この範囲を外れると極端に発育が低下する。温度の低下や食物条件の悪化がみられると蛹化が抑制されて耐久性のある幼虫の状態で耐えるので、越冬態は幼虫である。東日本や西日本では年2化経過し、北日本では1化のみである。

老熟幼虫は食物の齧りかす(フラス)や肛門から出る分泌物でつづって繭を作り、その中で蛹化し、4-5日で羽化する。

被害

タバコシバンムシと同様ほとんどすべての動・植物質を食害するが、タバコシバンムシがクシヒゲシバンムシと同様にを加害することがあるのに対して、ジンサンシバンムシが畳を食害することは知られていない。ただし、タバコシバンムシが食害しない木材書籍を加害することがある。畳が根深い発生源とならないため、タバコシバンムシよりは防除も容易である。

食物の範囲はタバコシバンムシより若干狭く、温度に対する適応力も多少劣るが、家庭での発生頻度はタバコシバンムシより高く、同所的に発生するとジンサンシバンムシのほうが競争力が強く、たいていタバコシバンムシのほうが駆逐されてしまう。

発生がみられたときには放置されている乾物油粕肥料を点検してそれごと廃棄すればよいが、時には殺鼠剤や、照明器具の中に誘引されて死んだ昆虫の遺骸から発生していることがある。そのほか、漢方生薬、貯蔵種子ドライフラワー、植物標本、昆虫標本から発生する点はタバコシバンムシと同様である。

ジンサンシバンムシにもタバコシバンムシの天敵であるシバンムシアリガタバチが寄生し、このハチによって刺される被害を引き起こすことがある。

参考文献

酒井雅博(1995)シバンムシ, 家屋害虫辞典, 井上書院 p.266-p.279. ISBN 4-7530-0091-5




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