高根第一発電所
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高根第一ダムは高さ133メートルと完成当時は木曽川水系のダムでは最も堤高が高いダムであり、現在でも揖斐川の徳山ダム、木曽川本流の味噌川ダムに次いで3番目に高く、飛騨川流域では随一の高さである。またアーチダムとしても木曽川水系で最初の施工例であり、1995年(平成7年)に同じ中部電力が管理する川浦(かおれ)ダムがアーチダムとして完成するが木曽川水系では希少、高さでは黒部ダム(黒部川)、温井ダム(滝山川)、奈川渡ダム(犀川)、川治ダム(鬼怒川)に次いで日本5番目のアーチダムでもある。ダムには表面取水設備が備えられているが、これは朝日ダム濁水問題で岐阜県と締結した濁水防止協定に則して設置されたものであり、ダム建設における環境対策としてコンクリート生成時に生じる濁水を清浄にするための高度水処理対策と並んで実施された。この表面取水設備は洪水で濁水が生じたときに比較的清浄な貯水池上層の上澄み水を下流に放流して濁水を防止するものであり、現在日本各地のダムの多くに備えられている。2006年(平成18年)の集中豪雨で発生した洪水において長期間の濁水防止に威力を発揮、財団法人ダム水源地環境整備センターより「ダム・堰危機管理業務顕彰奨励賞」を受賞している。 高根第一発電所は飛騨川流域最大規模の出力・34万キロワットを発電するが、中部電力としては初となる地下式の水力発電所である。また採用されたデリア(斜流式)水車は当時世界最大容量かつ世界最高落差を持つ大規模な水車であった。4つの水車発電機を有しており1・2号機は日立製作所が、3・4号機は三菱電機が受注し製作している。発生する電力は高根幹線と呼ばれる電圧27万ボルトの超高圧送電線によって高根第一発電所を起点に東西に分岐、東は長野県塩尻市にある中信変電所に送電、西は岐阜県関市の関開閉所へとつながる。また朝日発電所から川辺発電所に至る飛騨川本流の発電所群を連結する濃飛幹線にも連結されており、飛騨川流域で発生した電力はこれら送電線網を通じて名古屋市などの中京圏や長野県へと送られている。 高根第一発電所の運転開始後、飛騨川流域では揚水発電所として1976年(昭和51年)に馬瀬川第一発電所(28万8,000キロワット)が完成しており、飛騨川流域の水力発電所による電力供給は強化された。飛騨川流域一貫開発計画は1987年(昭和62年)の新上麻生発電所運転開始により事実上終了するが、中部電力による揚水発電開発は1980年(昭和55年)の奥矢作第一発電所(31万5,000キロワット)と1981年(昭和56年)の奥矢作第二発電所(78万キロワット)を経て1995年(平成7年)中部電力最大の水力発電所・奥美濃発電所(150万キロワット)に結実する。しかし電力需要はその後低下し、計画されていた木曽中央・川浦・徳山の各揚水発電所が中止あるいは規模を縮小している。
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