飼育下での繁殖の取り組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:57 UTC 版)
日本の飼育下におけるトキの個体数年孵化受入放鳥中国移送死亡12月末の総計1993(平成5) 2 1994(平成6) +2 -1 3 1995(平成7) -1 -1 1 1996(平成8) 1 1997(平成9) 1 1998(平成10) 1 1999(平成11)+1 +2 [1] 4 2000(平成12)+2 +1 [1] 7 2001(平成13)+13 -2 18 2002(平成14)+14 -2 -5 25 2003(平成15)+19 -3 -2 39 2004(平成16)+22 -3 58 2005(平成17)+22 80 2006(平成18)+23 -6 97 2007(平成19)+18 +2 [1] -13 -9 95 2008(平成20)+31 -10 -4 112 2009(平成21)+46 -19 -10 -6 123 2010(平成22)+66 -13 -18 158 2011(平成23)+56 -36 -8 -8 162 2012(平成24)+60 +2 [2] -30 -12 182 2013(平成25)+53 +4 [2] -34 -7 -11 187 2014(平成26)+61 -35 -11 202 2015(平成27)+38 +1 [2] -38 -15 [3] 188 2016(平成28)+44 -37 -4 -18 173 2017(平成29)+53 -37 -8 181 2018(平成30)+44 +3 [4] -38 -11 179 2019(令和元)+45 +1 [2] -37 -11 177 2020(令和2)+45 -18 -8 173 中国からの贈与又は供与 放鳥トキ又は野生下トキを保護 野生復帰ステーションからの逸出1羽を含む 野生下トキの保護1羽、中国からの供与2羽 1993年(平成5年)4月1日に国内希少野生動植物種となり、同年11月26日に保護増殖事業計画が定められた。 1999年(平成11年)9月15日に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律により、保護繁殖を特に図る必要がある鳥獣に指定され、2003年(平成15年)4月15日に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律を全部改正した鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律により、希少鳥獣に指定される。 1981年に捕獲され、佐渡トキ保護センターにおいて人工飼育下に移されたトキは足輪の色から「アカ」「シロ」「ミドリ」「キイロ」「アオ」と命名された。この時点において、1981年以前に捕獲されたトキのうち、生き残っていたのは「キン」のみであり、日本産トキはわずか6羽、うちオス個体は「ミドリ」の1羽のみとなっていた。また、年内のうちに「アカ」「キイロ」が死亡。その後、人工繁殖が試みられ、「シロ」と「ミドリ」のカップリングに成功したものの、産卵時に卵が卵管に詰まり「シロ」が死亡したため、繁殖には失敗している。1995年に「ミドリ」が死亡し、2003年10月10日朝には「キン」の死亡が確認され、日本産のトキは全て死亡した。 なお、「中国産」と「日本産」の差異は個体間程度のものにとどまる ため、中国産のトキは外来種ではない。また、昭和初期の佐渡島や韓国には、現在日本で繁殖・放鳥が進められている「中国産」トキと同じ、ミトコンドリアDNAのハプロタイプがタイプ2にあたる個体がいたことも判明しており、日本と大陸の間でも遺伝的交流があったとみられる。「ミドリ」や「キン」の組織は冷凍保存されており、この2羽の皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、日本産の遺伝子を受け継ぐ個体を復活させる取り組みを、国立環境研究所が2012年から開始している。 日本産トキと中国産トキの間の人工繁殖の試みとしては、まず1985年、中国産トキのオス個体「ホアホア」と「キン」との間の繁殖が試みられている。これは1989年まで4期に渡って行われたが成功していない。続いて、1990年には「ミドリ」を中国に移し、3期にわたって北京動物園で飼育されていたメス個体「ヤオヤオ」との間の繁殖が試みられたが、これも失敗に終わっている。中国産トキ同士の人工繁殖の試みは、1994年9月、オス個体「ロンロン」とメス個体「フォンフォン」が中国から佐渡に移され、ペアリングが行われた。しかし、同年12月「ロンロン」が急死したため、人工繁殖を中止し、1995年6月に「フォンフォン」は中国に返還された。さらに、これと前後し1995年4月に「ミドリ」が死亡したため、数年間にわたって日本で飼育されているトキは「キン」のみとなり、人工繁殖は不可能になった。
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