顧客側の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 21:52 UTC 版)
第一には、登録印鑑と払戻請求書に捺された印影との差異を指摘して、印鑑照合に瑕疵があり無権限者に対する不正出金を排除できなかった過失があったと主張する。 加えて、窓口に来た者を預金者本人と見るに疑わしい点を指摘し、疑念を抱いて本人確認をすべき特段の事情があったと主張する。具体的には、 来店者の素性が異常である 預金者本人と来店者の性別や年かっこうが違う 来店時間が開店直後や閉店間際である 開店直後や閉店間際の混雑してあわただしい時刻にあえて取引するのは、印鑑照合がおろそかになり、また、人相を覚えられないことを狙うもので詐取の定石である 取引実績のない本支店での取引である 真の預金者の顔を覚えている行員がいない店舗を選ぶのは詐取の定石である 住居や職場から遠く離れた本支店での取引である 通常はそのような所へわざわざ出かけるはずがない 通常の取引金額より著しく多額であるとか預金の全額・大半である そのような多額の払戻しは通常ではあり得ないし、預金の全額・大半を下ろすのは詐取を疑ってしかるべきである ATMで少額の入金を行った直後に窓口で多額の払戻しを行うのは異常である 最初から払戻しを行えばよいのに、わざわざ異常な行動を行うのは、取引停止処置が取られていないことと口座残高を確認する行為であって当然無権限者による払戻しを警戒すべきであった 当該口座に置かれた資金は特定用途に使用することと行員も承知している それ以外の預金払戻しに疑問を抱くべきであった 預金払戻請求書に記載の住所や氏名に誤記・脱字・修正があった 本人が間違えるはずがない 筆跡が全く異なる 昨今は印影偽造の手口が広まっており、印鑑照合のみならず筆跡の比較もすべきで、印鑑登録記載の署名と比較すればすぐわかるはずである 残高より過大な払戻請求を行うのは不自然 キャッシュカードで預金を下ろした取引が記帳されておらず、通帳を持参した者が現在の残高を正しく把握せずに払戻しを行うのは不可解である など。それゆえ預金通帳の真贋の確認や印鑑照合のみで本人と認めるのは誤りで、加えて本人確認をすべき特段の事情があったのにそれを怠った過失があったと主張する。 また、真正な通帳や真正な磁気記録を持つキャッシュカードを用いた過誤払いに関しては、おおむね約款に「銀行が預金者本人と認めて行った取引の結果について、銀行は責任を負わない」という内容の免責条項があるが、これは消費者に対して一方的に不利な条項であり無効であると主張することが考えられる。 そのほかに、 多額の資金の移動に際しては本人確認法(現: 犯罪収益移転防止法)による本人確認が義務付けられているのに、それを怠った過失があり、取引に瑕疵(かし)があることになるので無権限者に対する弁済は無効である、 近年はスキャナ等を用いた印影偽造が多発しており、印鑑照合はもはや本人確認の手段としての効力を喪失しているのに、これに対応することなく漫然と取引を行った過失がある。 また、預金通帳に副印鑑を登録してあるのはセキュリティ上問題である。欠陥のあるシステムを運用している銀行には過失がある。 そもそも民法第478条は債権の譲渡関係・帰属があいまいな場合の弁済の有効性を規定した条文であり、全く無関係の第三者に払い戻す場面には適用できない。 等の主張がなされる。
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