無権限者に対する弁済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 17:55 UTC 版)
債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者を受領権者という(478条)。原則として弁済を受領する権限を有しない者に対してなした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ弁済の効力を有する(479条)。 ただし、債権者としての外観を信頼した弁済者を保護するため、受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する(478条)。弁済を受領する権限を有する債権者は、弁済を受領する権限を有しないにもかかわらず弁済を受領した債権の準占有者に対して不当利得返還請求をなすことができる。 2017年の改正前の民法478条では「債権の準占有者」という用語が使われていたが、判例で範囲が拡張され、用語自体もわかりにくかったことから、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に変更された。 また、2017年の改正前の民法480条に受取証書の持参人に対する弁済の規定があった。通説・判例はこの規定が適用されるためには受取証書が真正なものでなければならないとし、偽造の受取証書の持参人に対する弁済は478条の債権の準占有者に対する弁済として保護される余地があるとしていた。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では民法480条の規定内容は478条に実質的に包含されていることから削除された。 詳細は「善意支払」を参照
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